MSIから新シリーズ「PRO MAX」が登場。Macとの連動を意識したクリエィティブ向けモニター「PRO MAX 341QPXW14G」と、120B級LLMが動く4LクラスのミニPC「PRO MAX EDGE AI+ 11M-008JP」

MSIは2026年10月29日、ビジネス・クリエイティブワーク向けの新ラインとして「PRO MAX」シリーズを発表した。
今回登場したのは、第5世代QD-OLEDを採用し、Macとの連動をうたう34インチのウルトラワイドモニター「PRO MAX 341QPXW14G」と、128GBのユニファイドメモリを積むローカルAI向けのミニPC「PRO MAX EDGE AI+ 11M-008JP」の2製品。後半には、実際にモニターを試した映像監督・加藤氏のトークセッションも行われた。
製品概要

MSI
PRO MAX 341QPXW14G

製品名:MSI PRO MAX 341QPXW14G
発売日:2026年10月1日
市場想定売価:170,000円前後(税込)
製品ページ:https://jp.msi.com/Business-Productivity-Monitor/PRO-MAX-341QPXW14G
製品名:MSI PRO MAX EDGE AI+ 11M-008JP
発売日:2026年11月5日
市場想定売価:818,000円前後(税込)
製品ページ:https://jp.msi.com/Business-Productivity-PC/PRO-MAX-EDGE-AI-11M-008JP
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目次
ワンランク上のビジネス向け、PRO MAXとは何者か
MSIといえばゲーミングのイメージが強いが、法人・ビジネス向けの「PRO」シリーズも展開している。普段使いのスタンダードモデルに加え、付加価値を持たせたビジネスプレミアムがあり、今回追加されたPRO MAXはさらにその上、高精度なワークロードやクリエイティブ作業を想定した位置づけとのこと。コンセプトは「作業そのものに没頭できる環境」で、MAXの名にはModernity(現代性)、Acceleration(加速)、Experience(体験)の意味を込めたという。

現状のラインナップはモニターとデスクトップPCで、今回メインで扱われた2製品のうちモニターの「PRO MAX 341QPXW14G」はすでに発売済み。発表に合わせて後者のAI向けミニPC「PRO MAX EDGE AI+ 11M-008JP」が加わった形だ。

Mac向けのカラーモードや連動機能を備えたクリエイター向けウルトラワイドQD-OLEDモニター「PRO MAX 341QPXW14G」。
まずはモニターから。「PRO MAX 341QPXW14G」は34インチ、解像度UWQHDのウルトラワイドで、製品としては2026年10月1日に発売済みだ。MSIのQD-OLEDモニターとしては初めてフラット形状のウルトラワイドを採用したとのこと。

パネルは、ゲーミングモニターで先行していた技術をビジネス向けに落とし込んだ第5世代のノングレアQD-OLEDだ。5層タンデム構造により、従来比で明るさを30%高めているほか、白地に黒文字を表示する場面で出やすかったフリンジ(色滲み)を抑えており、文書やチャットを長時間眺める仕事用途で視認性の向上が期待できるという。

加えてゲーミング製品にも採用されている「ダークアーマー・フィルム」がこちらでも採用され、色かぶりを抑えつつ黒レベルを最大40%向上させるとのこと。コントラストが上がることにくわえ、従来比2.5倍の耐傷性もあるという。さらに、MSI独自の「VisiClarity」技術でノングレアパネルと同等の低反射を実現した。会場の後方には実機が展示されており、取材時間中に映り込みの少なさを確かめられるよう案内されていた。



色の面も見逃せない。出荷時にキャリブレーション済みで、色精度はΔE≤2。Adobe RGBとDCI-P3を広くカバーする。ウルトラワイドの画面を左右に分け、それぞれ別の色プロファイルで表示するモードもあり、Web向けと印刷向けの見え方を1台で見比べる、といった使い方を想定しているらしい。リフレッシュレートは144Hz、応答速度は0.03ms(GTG)と、仮にゲームで使用したとしても十分なスペックだ。


Mac向けのカラーモードに加え、独自ソフトM-Mateにより連動性を確保
そして個人的に注目したいのが、本製品が持つMacとの連動性である。
MacBookに近い色味を再現するモードに加え、目玉として新しいmacOS向けユーティリティソフト「MSI M-Mate」が用意されており、インストールすることでMac上からキーボードとマウスで設定や入力切り替えができる。そのほかにもMacBookの輝度・音量キーに連動して、モニターの明るさと内蔵スピーカーの音量も変えられる「M-Sync」など、クリエイティブジャンルにユーザーの多いMacと組み合わせるモニターとして、完成度を高めてきた印象だ。

その他にもKVMスイッチは、1組のキーボード・マウスで最大3台のPCを切り替えられる少々珍しい仕様。USB Type-Cが2系統あるので、MacBookとミニPC、さらにiPadといった組み合わせも視野に入るほか、映像、データ、給電(USB PD 98W)はUSB Type-Cケーブル1本にまとまり、ノートPCとの接続もすっきりするだろう。
ちなみにWindows PC同士なら、モニターを経由してファイルを転送できるため、Windowsユーザーならこちらも注目して欲しいポイント。クラウドやUSBメモリを挟まずに済むため、外出用のノートPCと自宅用のデスクトップPCで2台運用している方なら地味に助かる機能になるはずだ。

有機ELの不安には「OLED Care 3.0」で先回り
OLEDで気になるのは、やはり焼き付きだろう。しかしこの点については、MSIがゲーミング向けとしてすでに多くのOLED採用モニターを販売している点が効いてくる。
既にご存知の方も居るかもしれないが、MSIのOLED採用モニターには独自のパネル保護機能「OLED Care」が用意されており、「PRO MAX 341QPXW14G」にはその第三世代にあたる「OLED Care 3.0」搭載されている。
中心になるのは、NPUベースの「AI Care Sensor」で、使用者が席を離れたことを検知し、明るさを落としたり、表示を一時的にオフにしたりすることが可能だ。それ以外にもピクセルシフト、静止画検出、ロゴ検出といった防止機能も多数備え、初期設定では24時間ごとのパネルプロテクトを電源オフ時やスタンバイ時に自動で実行してくれる。
焼き付きのリスクを完全にゼロにする方法はないものの、長時間同じ画面を出しがちな業務用途に合わせて対策されているため、非常に心強い機能と言えるだろう。

映像監督が語る階調表現の滑らかさと、素材の質感まで映す表現力
発表会の後半では、事前に「PRO MAX 341QPXW14G」を試用した映像監督 かとうみさと氏が登壇した。普段はミュージックビデオを中心に、ドラマや広告、今年は商業映画も手がけているそうで、企画から絵コンテ、撮影、編集までを自らこなすという。

最初の感想は、やはりウルトラワイドの広さだった。普段はワイド画面を使っているため、横幅の大きさに驚いたとのこと。これまで編集ソフトを全画面で使い、修正の指示書は横に置いたノートPCやスマートフォンで確認していたところ、ウルトラワイドなら編集画面も指示書も一枚で実現できる点に魅力を感じたようだ。

発色への評価も高い。一般的なモニターでは黒がべったりと潰れがちなのに対し、黒の階調がきれいで奥行きを感じたという。黒に限らず色彩全般が鮮やかで、素材の質感がよく伝わりスマートフォンの画面では分からない違いまで見えるとのこと。カラーグレーディングは専門家と色を詰めていく工程だが、MacやiPhoneに近い色味で確認できれば、視聴者が実際に見る環境に近い状態で判断できる点がありがたいとも語っていた。

映り込みの少なさも好印象だったようだ。自宅では無意識に反射を避けて色を確認しているため、そうした手間なくフラットに見られるのは大きいとのこと。加えてKVMなど機能についても外出先のカフェで企画書を書き、続きを自宅でやるときも、ノートPCを接続するだけですぐ作業に戻れる点を便利に感じたという。自宅のモニターでは音量をつまみで調整しているが、このモニターならキーボード操作で済む、との話も出た。

仕事で使えるかとの問いには、「ミュージックビデオは細かなディテールの積み重ねで世界観をつくる仕事なので、色彩感や質感、奥行きを表現できるモニターは作品づくりの心強い味方になる」と答えていた。スペック表では伝わりにくい「見え方」を使い手の言葉で聞けたのは、収穫だったと思う。
4Lの小箱でクラウド不要。120B級LLMが動く「EDGE AI+」
続いて、同日に発表されたAIステーション「PRO MAX EDGE AI+ 11M-008JP」。2026年11月5日に販売開始となる、体積わずか4LのコンパクトなPCである。機密情報を外部に送らずにAIを使いたい企業や学校、研究機関などを想定した、ローカルLLMに向いたマシンだ。

CPUにはAMD Ryzen AI Max+ 395を採用。注目すべきはメモリ構成で、128GBのユニファイドメモリのうち最大96GBをVRAMに割り当てることが可能だ。これによりVRAMの制限で動かしにくい大きなモデルであっても動作が可能となり、MSI曰く120B級のLLM(検証は量子化モデル)をローカルで動かせるという。


主要なオープンウェイトのモデルは検証済みで、対話用途なら毎秒20トークン前後出れば十分なところ、それを上回る速度が出ているという。発表直前に試したという最新の大型モデル(約3.5ビット相当の量子化)では、ミニゲームを作らせた際の出力が毎秒約40トークンに達した。これは対話型としてかなり快適な部類だろう。ただし、あくまで検証時の数値で、どのモデルでも同じ速度が出るわけではない点には留意したい。


余談だが、電気代の話も面白かった。ワットチェッカーで測ったところ、AI実行中でも消費電力は200W弱。1kWhあたり30円で計算すると、24時間動かし続けても1日約120円、1か月で約3,600円という試算だった。クラウドのAPI課金と単純比較はできないものの、常時稼働させても電気代が重くならないというのは、ローカルAIを検討する人にとって後押しになりそうだ。
周辺仕様も手堅い。2TBのSSDで複数のモデルを保存でき、最大4画面出力にも対応する。AIチャットを開きつつ、データ分析や資料作成を別の画面で並行する、といった使い方に向く。内蔵GPUの性能も高く、画像生成や動画編集、3Dデザイン、ゲームもこなせるとのこと。

新シリーズ「Pro Max」は、新たなクリエイター向け選択肢となるのか
今回の発表会で見えてきたのは、MSIがクリエイター向けジャンルに本格的な参入を見せてきたことだろう。これまでもノートPCなどでクリエイター向けのラインアップはあったものの、モニターやデスクトップにおいてはゲーミングもしくはビジネス向けが主流だった印象だ。そんな中で登場したPRO MAXシリーズは、わかりやすいラインアップ強化の兆しと言える。
とくに「MSI PRO MAX 341QPXW14G」の仕様は気になるところで、これまで自作PCパーツ、Windows PCで名を馳せてきたMSIがMacへの対応を進めたというのは業界的にも大きなインパクトになりそうだ。
今後同シリーズがどこまでラインアップを広げていくのか、我々onesuite編集部もしっかりと追いかけていきたい。
ギャラリー
























MSI
PRO MAX 341QPXW14G

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この記事を書いた人
元PCメーカーの製品担当。無類のメカやガジェット好きであり、PC・スマホ・マウスキーボードなどの周辺機器他、オーディオやモニター・バイクなど多岐にわたり、メジャーなものから尖ったモノまでジャンルを問わず好む。最近はカメラにハマっており順調にレンズ沼の住人と化している。 好きな飲み物はコーヒーと紅茶で、毎年キロ単位で豆と茶葉を消費しているものの入れ方は雑。財布のひもは緩め。











