皆さんはタブレットを普段どう使っているだろうか。タブレットが登場したばかりの頃こそ、スマートフォンに対しては画面サイズなどで優位性があり、PCにはその軽さやバッテリー持ちなどで勝っていたタブレットもそれぞれの大画面化や軽量・省電力化によって徐々にその地位を追われつつあるように思う。
特にタブレットはタッチパネルを前提としているため、Bluetoothでキーボードを繋いだとしても操作に難があることが多く、一歩仕事用に踏み込んでみると絶妙に使いづらかったりするのだ。そのため現在のタブレットといえば正に「帯に短し、たすきに長し」といった状況で、特にAndroid系のタブレットはその最適な用途を見つけるのが難しい状況にあると思う。
しかしそんな認識に風穴を開けてくれる存在が、タブレットとPCの2in1で使えるデタッチャブルなChromebookだ。
今回は発売されたばかりの「ASUS Chromebook CM30 Detachable(CM3001)」を発売前にお借りする機会を得たので、2in1だからこそ実現できる手軽な持ち出し端末の便利さについて語っていこう。
2in1で使える「ASUS ChromebookCM30 Detachable(CM3001)」
早速本題、と行く前にそもそもChromebookとはどんなモノかについて軽く触れておこう。 数年前にはテレビで盛んにCMが流れていたため、存在自体はご存じの事と思うが念のためだ。
Chromebookとは、タブレットとPC両方の側面を持つノートPC
ChromebookとはGoogleの開発するChrome OSを搭載したノートPCの総称で、WindowsやMacなどといったOS単位での住み分けだと思っていただければいい。
意外にもその歴史は長く、市場に現れてからかれこれ10年ほどは経過しているだろうか。ちょうど上記のテレビCMを行っていたころにAndroidとの連携が強まり、Androidアプリが標準動作するようになった結果タブレットとPC、それぞれの要素を兼ね備えた製品として大きく注目を集めた過去がある。さらにアプリの動作に加えOSそのものの動作が非常に軽く、システム的な負荷が少ない事からバッテリー持ちが良い製品や低価格で購入できる製品が多いというのも特徴の一つだろう。
タブレットとしても使える持ち出しやすいサイズの「CM30 Detachable(CM3001)」
さてChromebookの概要を掴んだところで、今回体験した製品「CM30 Detachable(CM3001)」を見ていく。
本製品はその名の通りDetachable、取り外し可能なキーボードとキックスタンドを備えたいわゆる”Surfaceライク”な形状をしたChromebookだ。主な性能としてはMediaTek Kompanio 520(8186)という8コアのArm系CPUを搭載し、メモリには4GBのLPDDR4X-3600、メインストレージには64GBのeMMCを採用している。
キーボードや背面のキックスタンドはいずれもマグネットで本体に張り付いており、必要に応じて簡単に取り外すことができる。面白いのがキーボードを取り外した際の挙動で、いままでPCらしいデスクトップを表示した画面が自動的にタブレットらしいアプリアイコンを並べたものに変化する仕様だ。もちろん画面の回転にも対応しており、縦画面で使えば電子書籍の閲覧やブラウジングなど、よりタブレットらしい使い方をすることが出来るだろう。
また画面サイズは10.5型というノートPCとしては小さめ、タブレットとしてはちょうどよいサイズ感になっており、キーボードなどを取り外した際にはiPadなどとそう変わらない携帯性を発揮する。
OS機能と付属のキーボードでノートPCとしての役目もバッチリ
取り外し可能なキーボードがポイントなら、タブレット+キーボードでいいのでは?と思った方も多いかもしれないが実際はそうではない。冒頭でも述べた通りOSがPC用かタブレット用かというのは大きな違いになるのだ。
中でも一番大きな差は「Chrome OSは、ほぼフル機能のChromeが使える」コレだ。
AndroidタブレットやiPad OSはベースになっているものがスマートフォン系のため、必然的にChromeもアプリがベースの挙動になっている。そのためPCではできる事がタブレットではできないなんてことも多い。各種拡張機能やデベロッパーツールは最たるもので、NotionやVisual Studio Codeのオンライン版などオンラインツール系のサイトでも不可解な挙動を示すことがある。
しかしChrome OSならほぼフル機能のChromeのため、筆者のテストした限りそんなことは起こらなかった。これならブラウザで完結可能な仕事の多くを本製品で行うことが出来るだろう。
また付属のキーボードの存在はやはり大きく、スクリーンキーボードとは入力効率が全く違う。タブレットの種類によっては純正キーボードが存在するモデルもあるが、タッチパッドが無かったり有ったとしてもOS側のカーソル制御がイマイチだったりとそこまで使い勝手はよくない。
ここでも「CM30 Detachable(CM3001)」はあくまでPCであることが効いてくるのだ。
付属のキーボードはカバーを兼ねていることもあって、薄い作りではあるものの打鍵感は悪くなくタイプ音も静かに抑えられている。加えてJISに゙近い素直な配列なため、筆者としてはストレス無く打ち続けることができた。実際この記事自体も本製品で執筆しており、これくらいの文章量であればほとんど問題になることはないだろう。
外部モニター・nanoSIM・タッチペン対応で幅広く活躍
本製品を持ち歩き用の端末として使う際の利点はまだまだある。「CM30 Detachable(CM3001)」の本体であるタブレット部分には外部モニターへの出力も可能なUSB Type-C、本製品単体で通信可能になるSIMスロット、メモ書きや校正に便利なタッチパネルなどが用意され活躍の場が広い。
特に外部モニター出力は便利で、一般的なPCと同じくミラーリングと拡張の両方に対応。マルチモニター環境を構成して一気に作業効率を上げることも可能だ。
また先ほど外部モニターを接続したUSB Type-Cは充電コネクターも兼ねており、充電する際は付属のACアダプターをこちらに接続する。この辺りも最近のノートPCらしい仕様だ。
丸一日の外作業にも耐えられるバッテリーもちの良さ
せっかくお借りしたのもあって、テストも兼ね丸一日「CM30 Detachable(CM3001)」のみで仕事をしてみた。この日の主な作業は記事の執筆や他メンバーの書いた記事のチェック、ミーティングやメールのやり取りなど典型的な事務仕事を実施した。フル充電から仕事を始め、途中休憩などを挟んで約8時間の作業である。
夕方になって確認したところ、バッテリー残量は50%となっていた。若干作業時間と残量、そして残り時間が釣り合っていない気もするがそこには目をつむってほしい。車の残り航続可能距離のようなものだ。画像・動画の編集やゲームなど高負荷な作業を行っていないこともあってか、かなり優秀な結果といえるだろう。
ASUS「CM30 Detachable(CM3001)」なら仕事も遊びもこれ一台でOK
筆者は仕事柄、外出先でもちょっとした業務対応が必要になることが多く、出かける際はMacBook AirもしくはiPad Airを持ち歩く事が多々ある。出番としてはiPad Airの方が多いのだが、そうした時に記事やシステム系の対応が必要になると、どうしても「失敗したな」という気持ちになりやすい。
その点この製品であれば、キーボードが欲しくなるような”作業”の色が濃いタスクであっても楽々対応できるだろう。仕事が休みの時はタブレットとして使い、Androidに提供されている豊富なアプリ群を利用して暇つぶしの道具にしてもいい。加えてレンタル品なので流石に試してはいないものの、Chrome OSにはLinuxがインストールできるので、GitやVisual Studio Code、Dockerなどを入れてしまえば面白いオモチャが出来上がり。
発想次第で様々なシーンで活躍してくれそうな「ASUS Chromebook CM30 Detachable(CM3001)」。「タブレットで仕事!」に挫折した方には是非一度試してみてほしいデバイスだ。
製品概要
製品名:ASUS Chromebook CM30 Detachable(CM3001)
メーカー希望小売価格:69,800円(税込)
発売日:2023年12月22日(金)
製品ページ:https://www.asus.com/jp/laptops/for-home/chromebook/asus-chromebook-cm30-detachable-cm3001/