普段使いのスマートフォンとしても十分な性能
さてここからは、本製品の趣旨とは少しずれて「ROG Phone 7 Ultimate」を「普段使いのスマートフォンとして見たときにどうだろうか」という話をしていこうと思う。
「ROG Phone 7 Ultimate」はカメラもキレイ
ゲームを除いた際に、スマートフォンですることと言えば
- 検索やSNSをメインとしたブラウジング系
- NetflixやYouTubeなどの動画・音楽視聴
- カメラ機能を用いた撮影
おおよそこの3つだろうか。
しかし実のところ、このうち上2つに関してはあえて語る必要がないと思っている。
なぜならばココまでで紹介したゲームプレイに影響する性能と、これらの快適性に影響する性能はほぼ同一であり、満足度が低くなる理由は無いからだ。そのためこの項では予想外に良かったカメラ性能について紹介したい。
正直なことを言ってしまうと、実際に撮影してみるまであまりカメラについては期待していなかったというのが本当のところだ。しかし持ち出していくつか撮影をしてみるとコレが意外とよく撮れる。
この写真は散歩中に立ち寄った公園へと続く階段を映したモノ。撮影した時間帯は13時ごろだったこともあり、直射日光の当たっている場所の固い光と木漏れ日の柔らかな光の違いが見事に出ている。また明暗差も激しい場所だったが、HDR機能により白飛びや黒潰れを起こすこともなく、自然に発色していることがわかるだろう。
流石にPC画面で等倍表示した際には解像感など細部に粗さが目立つものの、スマートフォンの画面で見る分には十分な画質と言っていい。
続いてこちらはラーメン屋で注文したつけ麵を撮影した画像。色の転びが違和感になりやすい食べ物を取るシーンにおいても、自然な”味付け”によって美味しそうに撮影することが出来た。
瑞々しいメンマやつるりとしたコシの強そうな麺、しっとりと漬かった味玉に少し赤みの差したジューシーな叉焼、麺の湿気を吸って少し柔らかくなり始めた海苔といった質感の異なる食材をしっかりと描き切っている。
最後はデスクライトに照らされたサボテンをメインに、いくつかの小物を撮ってみた。暗所かつ近接撮影という厳しい条件だったが、ほとんど破綻の無いボケ表現をみせてくれたのが印象的だ。若干根本付近のみ違和感のあるボケ方をしているものの、合焦部であるサボテンの先端付近などは中々の解像感で撮れているのでぜひ拡大して見ていただければ幸いだ。
また個人的に気に入ったのはマニュアル撮影用の「Proモード」で、フォーカスの細かい調整やシャッタースピード、ISO感度、WBなど標準搭載のカメラアプリとは思えないほど自由度の高い設定が可能。加えてフォーカスの調整中には、合焦部の境界線を強調表示してくれるフォーカスピーキングも備えており、少しカメラに凝ったユーザーであれば非常に楽しく遊べるのではないだろうか。
大容量+高速充電でバッテリー周りもストレス無し
カメラ性能がスマートフォンの用途に関わる部分であるならば、もっと基本的な使い勝手に影響する部分がバッテリー持ちと充電速度だ。バッテリー持ちが悪ければ持ち歩きにくく、充電速度が遅ければ短時間で充電したい時にハラハラさせられる。
その点「ROG Phone 7 Ultimate」であれば安心だ。本製品は6,000mAhの大容量バッテリーを搭載し、充電はUSB PDの65Wに対応することで最短約44分で0%から100%まで回復するという。
実際、上で見ていただいた「原神」の検証時には合計1時間ほど、画面輝度最大かつ高負荷な状態でゲームをプレイしていたものの、バッテリーは40%弱しか減らなかった。特に最後の30分は「AeroActive Cooler 7」までスマートフォンのバッテリー動かしているため、そこそこの消費電力量だったはずだが、そんな事はものともせず6,000mAhという”器のデカさ”を見せつけてきた。
また充電速度についても面白い結果が出ており、バッテリー残量が30%ほどのiPhone 13(筆者の私物その2)と0%から充電する本機で比較を行った際には、30%という下駄があったにもかかわらず、「ROG Phone 7 Ultimate」の方が早く100%になってしまったのである。 もちろん、この結果はむしろiPhone 13が遅い(Lightningの規格が原因)というべきなのだが、それでも衝撃的だったことは間違いない。
「ROG Phone 7 Ultimate」はZenfoneで鳴らしたASUSが作る普通のスマートフォン
その他にも「ROG Phone 7 Ultimate」には、現在国内で最も速度が速く安定した通信が可能な規格「Wi-Fi 6E」への対応や、「IP54」クラスの防水・防塵設計といった、普段使いのスマートフォンとして問題なく使用できる要素が当たり前に備わっている。
それもそのはず「ROG Phone 7 Ultimate」を開発したのは「Zenfone」シリーズも手掛ける”あの”ASUSなのだ。
PC業界に浸っているとつい忘れがちだが、ASUSはAndroid 4の頃から日本でスマートフォンを販売しており、もう10年近くスマートフォンを開発している老舗メーカーとしての側面も持つ。
あの頃のスマートフォン市場といえばフューチャーフォンからの過渡期が落ち着きつつあるタイミングで、多くのメーカーが参入しては消えていった時代だ。当時はスマートフォンを作っていたのに今はVRHMD屋さんになったメーカーも存在する中、「Zenfone」の最新モデルは今年(2023年)の9月発表と現在も継続的にスマートフォンを発売しており、今日に至るまでのAndroidスマートフォン市場を支えた立役者の一人とも言えるだろう。
そんな彼らが開発していることを考えれば、ガジェット好きのオモチャじゃなく、ちゃんと使える「普通のスマートフォン」として仕上がるのも当然というものだ。
現状最強のゲーミングスマホ「ROG Phone 7 Ultimate」で快適なゲーマー生活を手に入れよう
ここまで「外観や付属品」「ゲーム性能」「メイン機としての使いやすさ」それぞれの視点から語ってきた「ROG Phone 7 Ultimate」のレビューはいかがだっただろうか。
本当はもう少しスリムに収める予定だったのだが、触れば触るほど面白い端末でついつい筆が乗ってしまい、気づけばそこそこの大ボリュームになってしまった。総評としてまとめるなら、ことゲームにおいては間違いなく現状最強のAndroid端末であり、それでいて普段使いもこなせるゲーム好きにとっては理想の一台と言っても過言ではないだろう。
最後に一点だけワガママを言うとすれば、Felicaが欲しかった。コレだけである。とはいえもう少しすればJRの改札機にもQRコードリーダーが搭載されるらしく、もしかするとこの唯一のウィークポイントも時間が解決してくれるかもしれない。
自宅や外出先問わずどこでも快適なゲームプレイが楽しみたい貴方、それでもスマホは1台で済ませたい、そこの貴方だ。そんな貴方が選ぶべきは、きっとこの端末に違いない。