「ROG Phone 7 Ultimate」の性能を「原神」をプレイしてチェック
さてここからはお待ちかね、動作検証タイムに入っていくとしよう。今回も前回のROG Allyと同様に「ゲーム機の性能はゲームプレイによって測るべき」というコンセプトのもと実際のゲームプレイに基づいて性能に言及していこうと思う。
今回使用するゲームは、スマートフォンでプレイできる今最も熱いアクションRPGタイトルと言っていい「原神」だ。
「原神」は中国のソーシャルゲーム会社「HoYoverse」が提供しているAndroid、iOS、Windows、PlayStationにまたがるクロスプラットフォームのゲームタイトルで、正式ジャンルはオープンワールド・アクションロールプレイングゲームとなる。 PCなどを含んだクロスプラットフォームであることや、オープンワールドという特性、そして美麗なアニメ調のグラフィックなどの影響もあってか、描画負荷が高めのタイトルとしても有名であり、特にスマートフォンにおいてはこのゲームが快適に遊べるかどうかが一つの指標になると言っていい。
ちなみにここで一つ余談を話すと、我々onesuite編集部の編集長はそんな「原神」をサービス開始の当日からプレイしている古参ファンの一人である。今回のテストでは彼にも協力してもらい、特に負荷の差が出やすいシーンだという「戦闘」、そして「ワープ移動後の1歩目」という2つの項目について検証を行った。
「原神」テスト時の検証条件と共通設定
テストの結果を報告する前に、まずは検証を行った際の条件や設定について明示しておく。どんな実験であっても前提条件は大事だ。(結果が先に見たい人は読み飛ばしていただいてもOK)
まずテスト行ったスマートフォンは「ROG Phone 7 Ultimate」を含む2台、3パターン。
①ASUS ROG Phone 7 Ultimate :Xモード / スマートフォン単体
②ASUS ROG Phone 7 Ultimate :Xモード / AeroActive Cooler 7装着
③SAMSUNG Galaxy S22(SCG13 au版)
というラインアップだ。
今回の主題である「ROG Phone 7 Ultimate」に加えて「SAMSUNG Galaxy S22」を同時に検証している理由としては、CPUがちょうど一世代前の同ランクであるQualcomm Snapdragon 8 Gen 1を搭載していることや、メモリもちょうど半分の8GBと、昨年発売された上位クラスのAndroidスマートフォンとして理想的な条件だったからだ。
また追加条件として検証中は輝度を最大に設定し、スマートフォン本体の冷却能力を高めるためバッテリー駆動かつケース装着は無しで行った。加えて各パターンはプレイ時間を30分で区切り、その間の平均フレームレートを計測している。
最後に「原神」側の設定。こちらは意図的に負荷を高めるため可能な限り高負荷になるようセッティングを行った。Android版は最高フレームレートが60FPSだったためそちらを選択し、その他の描画設定も高負荷なモノを採用。これで準備は整った。
「螺旋 11層-12層」をプレイして戦闘時の描画負荷を検証
テストに合わせプレイは我らが編集長に依頼した。こういったモノは実際にプレイしている人に頼めるなら頼んだ方が良い。筆者からは「なるべくエフェクトが激しい戦闘で、かつ描画負荷が高いと思われるエネミー数が多い戦闘」を依頼してある。
その結果、戦闘時の負荷を試すシーンとして選ばれたのは、原神におけるエンドコンテンツである深境螺旋の11層/12層、通称「螺旋 11層-12層」だ。
この「螺旋」に挑むにあたり編集長のセレクトしたパーティがこちら。選考基準としては戦闘時のエフェクトが激しいモノ、そして流行りの構成だという。
その結果、各パターンの平均フレームレートは以下となった。
①ROG Phone 7 Ultimate :平均56.93 fps
②ROG Phone 7 Ultimate + AeroActive Cooler 7:平均56.59 fps
③Galaxy S22:平均49.69 fps
実際にプレイした編集長の感想として、「ROG Phone 7 Ultimate」を使用した①②のパターンでは、戦闘中一瞬カクつくシーンが見られたものの概ね安定してプレイが出来たそうだ。カクつく瞬間は星5キャラのカットインが入る”元素爆発”のシーンがわかりやすく、一方で重くなることが予想されていた元素反応の重なる瞬間は問題なかったとのこと。
記録を見る限りフレームレートは低下しておらず、スマートフォンのスペックそのものよりは別の所に要因がありそうだ。
一方で明確に遅延が目立ったのは「Galaxy S22」で、昨年の上位モデルとはいえ最新のハイエンドモデルかつゲームに特化した「ROG Phone 7 Ultimate」には大きく差を開けられた形になる。このテストの結果だけを取っても、1年前の上位モデルから買い替える価値がありそうだ。
ワープ移動後の1歩目で、マップ読み込み時の描画負荷を検証
戦闘シーンでのテスト同様、プレイヤー目線で変化がわかりやすいポイントとして編集長がピックアップしたのが「ワープポイント移動直後の1歩目」だ。
「原神」の挙動として、この瞬間がカクつきやすいらしく、おそらくワープ先周辺のマップデータの読み込み後、一歩目で進んだ方向に合わせてマップ拡張する処理を行っているためだろう。
このテストでは
・ワープポイント移動直後にダッシュ移動&視点を回転
・ダッシュ移動後、しばらく付近を探索
・まだ読み込んでいないポイントにワープ移動
上記を繰り返す形で検証を行った。検証エリアは以下の通り。
・スメール 森林エリア(アルダラビ河谷、アシャヴァンレルム、ヴァナラーナ 等
・スメール 砂漠エリア(上風/下風蝕地、列柱砂原、千尋の砂漠)
・スメール 北西エリア(荒石の砂漠・ファラクケルトの園)
・フォンテーヌ 地上エリア(ブロー地区、ベリル地区、リファー地区 等)
こちらも平均フレームレートから報告しよう。各パターンの結果はこのようになった。
①ROG Phone 7 Ultimate :平均54.77 fps
②ROG Phone 7 Ultimate + AeroActive Cooler 7:平均53.35 fps
③Galaxy S22:平均40.36 fps
フレームレートからも明らかだが、こちらの方が戦闘シーンに比べカクつきが大きかったようだ。こちらに関しては「ROG Phone 7 Ultimate」を使用した①②のパターンでも発生しており、特に「スメール ヴァナラーナ」の森林や「スメール 列柱砂原」の砂漠など、パーティクルや砂塵といった環境エフェクトがあるワープポイントで振り向きをした瞬間が分かりやすい。
より快適なプレイを目指すのであれば、おそらく「原神」側の画面設定から視覚効果やモーションブラーのランクを下げると良いだろう。
ここでも水をあけられてしまったのがパターン③の「Galaxy S22」で、体感としても快適とは言えないとのことだった。思うに敗因は「ROG Phone 7 Ultimate」と「Galaxy S22」におけるGPUの性能差と搭載されているメモリの速度+容量差ではないだろうか。
このテストでは見えている範囲のマップをレンダリングしながら、その先のマップ情報を並行して読み出したのち描画待ちをしている状態となるはずで、その場合GPU性能そのものに加えメモリ上でデータを扱う速度や量がダイレクトに影響してくるからだ。
「ROG Phone 7 Ultimate」はAndroidで「原神」をプレイするなら最高クラスの一台
さていきなり結論を書いてしまったが、本製品がAndroid機での「原神」プレイにおいて最適解の一つであることはもはや疑いようもない。最高の負荷を与えた状態でも比較的安定してプレイが出来たことが何よりの証拠だろう。
特に昨年の上位モデルであるGalaxy S22との差は分かりやすく、たった一年の差でここまでプレイに影響が出るとは正直思っていなかった。今回使用したGalaxy S22はちょうど先日購入したばかりの私物なため、「ROG Phone 7 Ultimate」の性能が証明できて嬉しい反面、なんだか複雑な気持ちである。
また、ここまでの検証を通して個人的に意外だったのは「AeroActive Cooler 7」の装着によって、そこまで大きな数値の変化が無かったことだ。おそらくこれはテストを行った部屋が室温22℃と比較的低めだったことや、「ROG Phone 7 Ultimate」本体の冷却能力が高く、CPU・GPUのサーマルスロットリング(熱による性能低下)がほとんど発生しなかったからだろう。
この推測を裏付けるデータが下に示すグラフだ。
外れ値などの影響もあり、平均値だけ見た際にはパターン①に比べパターン②の値が低くく見えてしまう。しかし実際の所は必要な役割をキチンと果たし、動作を安定させていたことが読み解ける。
このグラフはテスト中、1秒単位で推移するfpsをまとめて比較したモノ。縦軸は各fps値が記録された合計回数、つまりそのfpsで実際に描画されていた秒数となる。
記録を見てわかる通り、やはり今回のテストにおいて「ROG Phone 7 Ultimate」には「AeroActive Cooler 7」無しでも60fpsで描画するパワーがあったと言えるだろう。一方で60~61fpsを維持するという点においては、冷却ユニットが有効に働いていたことが示唆されている。
これを踏まえると、おそらく夏場や充電中など熱の影響を受けやすいシーンであれば、冷却ユニットの有無がより明確な差となって表れてくるはずだ。