MPG B860I EDGE TI WIFIをレビュー!コンパクトだけどすごいヤツ。MSIのMini-ITXマザーをCore Ultra 7 270K Plusと組み合わせて検証。

Mini-ITXに手を出す際、多くの方にとって気になるのが「どこまで妥協する必要があるのか」という点だと思う。ATXやMicroATXと比べ特に基板サイズによる制約が大きく、拡張性やVRMの余裕を削って小型化を実現するモデルも多いため、この懸念はあながち的外れともいえない。実際筆者自身も何度か使用したことがあるものの、その圧倒的コンパクトさと引き換えに何を取捨選択するか悩まされてきたクチだ。

今回紹介するのは、そんな“何を選ぶのか”が問われるMini-ITXにおいて、絶妙なバランスを実現したMSIのマザーボード「MPG B860I EDGE TI WIFI」だ。比較的多くを選びつつも、最小限の割り切りにより、ハイエンド級の性能を省スペースに実現できる製品となっている。

本記事では、24コアを備えるCPU「Intel Core Ultra 7 270K Plus」と組み合わせ「部屋やデスクのスペースに限りがある中でもゲーミングとクリエイティブ作業を両立したい」「性能では妥協したくない」という方に向けて、この一枚がどこまで応えてくれるのかを確かめていきたい。

MPG B860I EDGE TI WIFI|Overview

総評:「Mini-ITX + IntelならコレでOK!」と言える性能・価格・拡張性のバランス感が最大の魅力

Pros
・Core Ultra 7 270K Plusにも応える電源周り
・5 GbpsのLANポートやWi-Fi 7、フロントType-Cなど妥協のないインターフェース
・Thunderbolt 4搭載で、Dock等を用いたさらなる拡張性も
・市場売価 3万円前後というコスパの高さ

Cons
・干渉しそうなPCIe x16スロット周り
・M.2スロットのヒートシンクがねじ止め式

MSI

マザーボード

MPG B860I EDGE TI WIFI


製品名:MPG B860I EDGE TI WIFI
メーカー希望小売価格:39,980円(税込)
製品ページ:https://jp.msi.com/Motherboard/MPG-B860I-EDGE-TI-WIFI

※商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームよりメディア運営元のONESELに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報、または自動で更新されています。

目次

「MPG B860I EDGE TI WIFI」はコンパクトでも性能に妥協なし

まず外観から見ていこう。「MPG B860I EDGE TI WIFI」は、ホワイトPCBにシルバーのヒートシンクを組み合わせたMini-ITXマザーボードだ。一部スロットやソケットにはブラックが使用されているものの、全体としてはホワイト系のカラーリングで統一されており、昨今の白PCブームに合わせたカラーリングということだろう。

MPG B860I EDGE TI WIFIの全体像
MPG B860I EDGE TI WIFIの全体像。派手さはないが、統一感のある落ち着いた配色で、どんなパーツとも合わせやすそうだ。

中でも目を惹くのがVRAM、I/Oポート周りのヒートシンクが持つ分厚さで、これは内部に組み込まれた強力な電力回路を効率よく冷却するため。電源回路は8+1+1+1フェーズ、110A SPS対応とのことで、マルチコアCPUを載せても電力周りで足を引っ張られにくい設計になっているという。

MPG B860I EDGE TI WIFIの全体像

特に昨今のIntel CPUは多コア化が進み、Ultra 5であっても10コアを超える製品も珍しくない。今回検証に使用した「Intel Core Ultra 7 270K Plus」の場合は24コアと、10年前のCoreシリーズでは考えれらないほどのコア数となっているのだが、そうした環境でもCPUのパワーをフルに引き出すための設計と言える。

ヒートシンク同士はヒートパイプで接続されており、VRMの熱を効率よく逃がす構造
ヒートシンク同士はヒートパイプで接続されており、VRMの熱を効率よく逃がす構造となっている。

PCIe 5.0対応のx16スロットとM.2スロットはしっかり確保

さてパッと見ただけでも、この製品が“コンパクトでも性能は妥協しない”という設計思想で作られているのは明白。では、Mini-ITXゆえの限界はどこに見えてくるのだろうか。それが垣間見えるのはPCIe x16スロットとM.2スロット周りだ。

当然ながら性能の面では抜かりなく、PCIe x16スロットはPCIe 5.0に対応。最新のグラフィックスカードを組み合わせても、その性能を十全に発揮してくれるだろう。加えてM.2スロットは2基用意され、表面にはPCIe 5.0対応を1つ、背面にはPCIe 4.0対応を1つという組み合わせ。Mini-ITXなりの数に抑えられているが、コンパクトな筐体に収める前提であれば十分な数だ。

PCIe x16スロットは1基
PCIe x16スロットは1基。ちなみに背面のハンダには補強が行われ、グラフィックスカードの重量を支えられるようになっているとのこと。
大柄のヒートシンクに覆われたPCIe 5.0対応M.2スロット。
大柄のヒートシンクに覆われたPCIe 5.0対応M.2スロット。
背面に備えたPCIe 4.0対応M.2スロット。
背面に備えたPCIe 4.0対応M.2スロット。

では、取捨選択の捨にあたるのが何かといえば“組み立てを便利にする機構”である。

この基板サイズで性能を突き詰めた弊害か、PCIeやM.2周りがかなり過密に設計されており、GPUのクイックリリース非搭載やM.2用のヒートシンクがねじ止めになっている点が分かりやすくオミットされた部分だろう。

特にGPUのクイックリリースについては気になるところで、検証時にベンチ台上で組んでみた限りでは大きな支障はなかったものの、狭いITXケースに収めた場合、組み立て難易度が上がる可能性は高い。元々Mini-ITXはある意味玄人向けのため、問題になる方は少ないかもしれないが、ケース選びや組み立て順には注意した方が良いはずだ。

x16スロットのロックピン横にあるのはフロントパネル用のピンヘッダ(ロックを挟んで奥側)とTPM用のピンヘッダ(ロックを挟んで手前側)
x16スロットのロックピン横にあるのはフロントパネル用のピンヘッダ(ロックを挟んで奥側)とTPM用のピンヘッダ(ロックを挟んで手前側)。手前はほぼ使わないため大丈夫だが、かなり密集した配置になっている。

Wi-Fi 7+5Gbps LAN、Thunderbolt 4やフロントType-Cも抜かりなく

インターフェース周りもMini-ITXとは思えないほど充実している。5Gbpsに対応したLANポートに加えWi-Fi 7にも対応しており、背面のThunderbolt 4やケースのフロントI/O用にUSB Type-Cの内部ポートも用意しているなど盛りだくさんだ。特にネットワーク周りの仕様やThunderbolt 4の搭載は、拡張性に制限がつきがちなMini-ITXマザーとして恩恵が大きく、手軽にNAS・外付けSSDといったストレージ類やUSBポートを始めとしたインターフェース類を増強できるできるだろう。

Thunderbolt 4やフロントType-C
5Gbps対応のLANポートに加え、Wi-Fi 7にも対応。Thuderbolt 4や10Gbps 対応のUSB Type-CやUSB Type-Aも用意されている。
5Gbps対応のLANポートに加え、Wi-Fi 7にも対応。Thuderbolt 4や10Gbps 対応のUSB Type-CやUSB Type-Aも用意されている。

そのほかにもフロントI/O用のUSB 3.0や内部用にSATA 3.0も2基用意されている。もちろんUSB 2.0の内部ポートも用意されているため、CPUクーラーやフロントI/OでUSB 2.0を使いたい方も安心だ。

フロントI/O用のUSB 3.0や内部用にSATA 3.0も2基用意

余談だが、試しに有線LAN経由でデータを転送してみた結果が下記。約3.5GBのデータを同一LAN内のPCからコピーした際の転送時間は約11秒、約2.5Gbpsで転送することができた。

実際に転送を行った際のスクリーンショット。
実際に転送を行った際のスクリーンショット。

理論値から比べると遅く見えるが、実測で2.5Gbpsは十二分に速い。NASなどと組み合わせ、クリエイティブ用途で使った場合でも活躍してくれそうだ。

Core Ultra 7 270K Plusとの組み合わせならマルチタスクもサクサクこなす

ここからは検証パートということで、記事冒頭でお伝えした通り「Intel Core Ultra 7 270K Plus」と組み合わせてその真価を見ていこう。今回検証に使用した組み合わせは下記の通り。

検証で使用したパーツ構成

CPU:Intel® Core™ Ultra 7 270K Plus
CPUクーラー:MSI MPG CORELIQUID P13 360 WHITE
マザーボード:MPG B860I EDGE TI WIFI
メモリ:VENGEANCE RGB 32GB (2x16GB) DDR5 DRAM 6400MHz C32
電源:MAG A1000GL PCIE5 WHITE
GPU:MSI GeForce RTX 5080 16G GAMING TRIO OC WHITE

主要パーツだけ組み付けると下記のような見た目。グラフィックスカードを抜きにすれば、非常にコンパクトにまとまっていることがよくわかる。この「省スペースにギュッと詰め込まれている密度感」もまたMini-ITXの魅力と言えるだろう。

CPU、メモリ、SSDを組み込んだ状態。
CPU、メモリ、SSDを組み込んだ状態。スマートフォンと比べてもこの小ささだが、極端なことを言えば、あとは電源ユニットさえ接続すればこのまま起動する。

なお計測はベンチ台+水冷クーラーという条件下で行っており、実際に密閉度の高いITXケースへ組み込んだ場合はこれより厳しい数値になる可能性が高い。あくまで参考値として捉えてもらえればと思う。

Discordで通話・画面共有をしながらApex Legendsを30分プレイ

さて今回検証に使用するCPU「Intel® Core™ Ultra 7 270K Plus」といえば、大きな特徴はそのコア数からくるマルチタスク性能だろう。そのため検証では実際にありそうなシーンを想定して、意図的に複数タスクでCPUに負荷を与えて性能をきちんと発揮できるのかを見ていくことにした。

まず一つ目の検証は、ゲームシーンを想定したものだ。あえて負荷をかけるためDiscordでカメラをオンにしつつ画面共有・ボイスチャットを繋いだ状態で、Apex Legendsを30分間プレイしてみた。その際ゲーム側では最高画質設定にし、解像度はWQHD(2560 × 1440px)のフルスクリーンモード。プレイしたモードはカジュアル(トリオ)で、連戦しつつ30分間で計測を打ち切る形をとっている。

検証1:DiscordでカメラON+画面共有+ボイチャ状態でApex Legendsのカジュアルをプレイした際のCPU使用率と温度変化。
検証1:DiscordでカメラON+画面共有+ボイチャ状態でApex Legendsのカジュアルをプレイした際のCPU使用率と温度変化。

さすがにCPUクーラーにMSI MPG CORELIQUID P13 360 WHITEを使用していることもあってか、温度を示すオレンジの線は概ね60℃以下で安定しており、終盤瞬間的にCPU全体で100%に達するほどの高負荷がかかった際にも80℃以下に抑え切っている。

そして注目すべきはグラフ後半で、瞬間的に使用率が上昇しているシーンである。次の電力推移のグラフも併せて見ていただこう。

検証1:DiscordでカメラON+画面共有+ボイチャ状態でApex Legendsのカジュアルをプレイした際のCPU消費電力の推移。
検証1:DiscordでカメラON+画面共有+ボイチャ状態でApex Legendsのカジュアルをプレイした際のCPU消費電力の推移。

概ね100〜150Wで推移していたところに瞬間的に負荷がかかり、なんとその際の消費電力は279W。記録された時間は1秒にも満たないが、「Intel Core Ultra 7 270K Plus」が持つ仕様上の最大ターボパワーを上回る負荷※がかかっていたことになる。

その一方、実際にプレイしていた筆者としては、この現象に全く気づくことがなかった。これだけの高負荷時に、何事もなかったかの様にPCは動作していたのだ。

この理由は明らかで「MPG B860I EDGE TI WIFI」の持つ電力回路が、この高電力をあっさりと“捌ききった”ことによるものだろう。狙ってそこまでの高負荷をかけたつもりはなかったが、期せずして「マルチコアCPUを載せても電力周りで足を引っ張られにくい設計」が証明された形と言える。これなら安心してメインのゲーミングPCとして使っていけるというものだ。

※最大ターボパワーは10ms未満であれば超える可能性があると規定されており、仕様通りの動作。

Teams会議をしながらPremiereでソフトウェアエンコードを実施

二つ目の検証では、Teamsでカメラをオンにしつつバーチャル背景を適用した状態で、Adobe Premiereによる動画のエンコードを30分間実施した。主にクリエイターが使用するシーンを想定したもので、会議中など本格的に手を動かしにくいシーンに裏側で作業を済ませてしまおうという、“あるある”な状況を想定した。

なお30分間エンコードが続いている状況は手持ちの編集データでは作りにくかったため、エンコードの終了と共に再度エンコードをかけている。そのため途中で大きく凹んでいる箇所がエンコードが完了し、再度エンコードが開始されるまでの待ち時間だ。

検証2:TeamsでカメラON+バーチャル背景を使用して通話を行った状態でAdobe Premiereを使用し動画のソフトウェアエンコードを行った際のCPU使用率と温度変化。
検証2:TeamsでカメラON+バーチャル背景を使用して通話を行った状態でAdobe Premiereを使用し動画のソフトウェアエンコードを行った際のCPU使用率と温度変化。

少々面白いのが検証1のゲームプレイと比べ、CPU使用率・温度共に高い値が出ている点で、これは消費電力にもそのまま現れている。次の図をご覧いただこう。

検証2_CPUの電力消費量の推移

ゲームプレイ時ほどの瞬間的な負荷はないものの、常時80〜100Wほどで推移しており、シーンによっては120〜140W以上で駆動している時間も長い。ほとんどの時間を100W以下で抑えていたゲームプレイ時と比べると大きな差だ。

しかし、当然ながらこちらの状況でもTeamsの通話や表示が乱れたり、エンコードが止まったりする様なことはなかった。検証1と合わせ、瞬間的な高負荷や断続的な負荷に対しても「MPG B860I EDGE TI WIFI」なら、上手くコントロールしてくれると考えて間違いないだろう。

ちなみに次の図は、検証2を実施した際のCPU使用率をコア別でグラフ化したもの。こちらを見ると「Intel Core Ultra 7 270K Plus」がまだ余力を残していることがよくわかる。

検証2を実施した際のコア別使用率(※視認性のため4コアごとの平均値をグラフ化)
検証2を実施した際のコア別使用率(※視認性のため4コアごとの平均値をグラフ化)

「Intel® Core™ Ultra 7 270K Plus」×「MPG B860I EDGE TI WIFI」の組み合わせなら、マルチタスクな状況でも十分な速度を発揮してくれそうだ。

「MPG B860I EDGE TI WIFI」はコンパクト&パワフルなマシンを実現できるMini-IXTマザー

総合すると、「MPG B860I EDGE TI WIFI」は“スペースに余裕はなくとも性能は諦めたくない”という、ある種欲張りなユーザーにぴったりな製品と言えるだろう。Mini-ITXながら必要十分な拡張性を備えており、ネットワークやデータ転送に必要なインターフェース類はハイエンドモデル並。十二分にゲーミング・クリエイティブ用途のメインマシンを組むことができるマザーボードだ。

もちろん文中で触れたとおりサイズ故の制約はあるものの、そこは自作PCユーザーとして腕の見せ所。組み慣れている方なら問題にもならないだろう。

また実売価格が3万円前後というのも良いところで、筆者が調べた限り同価格でここまで性能面を重視している製品は他にない。もし、今あなたがコンパクト&パワフルなマシンをIntel系で組もうと思っているなら、間違いなく選択肢に加えていい製品だ。

MPG B860I EDGE TI WIFI全体

ギャラリー

MSI

マザーボード

MPG B860I EDGE TI WIFI


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出典・関連リンク

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