【Questyle M18i MAX レビュー】輪郭が際立つ、表情豊かな音楽を楽しめるポータブルDAC

Questyle M18i MAX_top

Questyleというブランドに対して、筆者は以前から少し特別な思い入れがある。

QP1RをきっかけにQP2R、QPM、そして現在も据え置きDAC/アンプのCMA400iを使用しているが、どの製品にも共通して感じてきたのは、「音作りを何よりも優先するブランド」であるということだった。

決して多機能とは言えない。最新のトレンドを積極的に取り入れるブランドでもない。それでも、音だけは一切妥協しない。そのある種不器用とも言えるものづくりに惹かれ、気付けば長くQuestyle製品を使い続けてきた。

直近ではフラッグシップモデルであるSIGMA PROもレビューしたが、そこでも「やはりQuestyleはQuestyleだ」と、改めてその音作りの魅力を実感している。

だからこそ、2026年6月に発売された新たなポータブルDAC「M18i MAX」にも、自然と期待が高まっていた。これまで触れてきたQuestyle製品と同じように、今回も自然で滑らかな音を想像しながら試聴を始めた。

しかし、実際に聴き始めて最初に感じたのは、その印象とは少し異なるものだった。

製品概要

Questyle

ポータブルアンプ

M18i Max


製品名:M18i MAX
価格:55,000円(税込)前後
発売日:2026年6月12日
製品ページ:https://questyle.jp/m18iMAX/

※商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームよりメディア運営元のONESELに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報、または自動で更新されています。

目次

「輪郭」から見えてきた音作り

今回の試聴では、普段からリファレンスとして使用しているfinal A8000を組み合わせた。

しかし、M18i MAXから最初に受けた印象は、これまでのQuestyle製品のものと少し異なる「音が硬い」というものだった。A8000との組み合わせということもあってか、高域寄りのバランスにも感じられ、「今回はこれまでのQuestyle製品と少し異なる方向性なのだろうか」と考えながら試聴を進めていた。

ところが、聴き進めるにつれて、その印象は少しずつ変わっていく。

高域が強調されているわけではない。低域が控えめというわけでもない。Questyleらしさは感じられる。では、この硬さはどこから来ているのだろう。

Questyle M18i MAXにイヤホンなどを接続した状態

そう考えながら、ギターへ意識を向けてみる。すると、カッティングや歪みの表現が思っていた以上に分かりやすい。同じようにベースへ意識を向けると、今度はミッドローを中心にしっかりと存在感を感じ取ることができた。

そうして聴き進めるうちに、「硬い」と感じていた理由が少しずつ分かってきた。

それは帯域を強調しているからではなく、一音一音の輪郭をより明瞭に描いているからだった。

SIGMA PROも決して輪郭が曖昧なわけではない。しかし、SIGMA PROが音のつながりを自然に描くことで結果として輪郭を感じさせるのに対し、M18i MAXは輪郭をより明確に描くことで、それぞれの楽器へ自然と意識を向けられる。その描き方の違いが、試聴開始直後に「硬い」と感じた理由だったのだと思う。

だからといって、音を無理に分離させたような不自然さは感じない。それぞれの音が独立して存在しながらも、楽曲として違和感なくまとまっている。

直前まで試聴していたSIGMA PROとは方向性こそ異なるものの、その違いを理解してからは、「こういう鳴らし方もあるのか」と感じるようになり、気が付けばその魅力へ引き込まれていた。

ここまで試聴を通して感じた印象は、果たして特定の楽曲だけで感じたものだったのだろうか。

そこで今回は、普段から聴き慣れている2曲を用いながら、その印象を改めて確かめてみることにした。

最初に試聴したのは、YOASOBI「群青」である。この楽曲では、M18i MAXの第一印象となった「硬さ」を感じる一方で、ギターやベースへ意識を向けたときの聴こえ方にも変化を感じた。

その印象が偶然ではないことを確かめるため、続いて試聴したのが布袋寅泰「バンビーナ」である。ギターカッティングが印象的なこの楽曲は、試聴中に感じていた仮説を確かめるには、これ以上ない選曲だった。

YOASOBI「群青」

まず試聴したのは、YOASOBI「群青」である。

冒頭はボーカルを中心に、鍵盤や指を鳴らすようなパーカッシブな音、そして特徴的なリズムを刻む打ち込みの低域から始まる。情報量の多い楽曲ではあるが、鍵盤のアタック感も明確で、それぞれの音がくっきりと聴こえてくる。そのため、試聴を始めた直後は「やはり少し硬い音なのだろうか」という印象を受けた。

しかし、その印象は曲が進むにつれて少しずつ変わっていく。

楽器が増え、サビではボーカルに加えて多人数によるコーラスも重なり、一気に情報量が増していく。それでも特定の帯域だけが前へ出るような感覚はなく、それぞれのパートが無理なく整理されている。

特に印象的だったのは、合唱パートである。一人ひとりの歌声が極端に分離して聴こえるわけではないが、それぞれの存在を自然と認識しやすい。その頃には、試聴開始直後に感じていた「硬さ」は薄れ、「輪郭が分かりやすい」という印象へ少しずつ変わっていた。

この時点ではまだ確信までは至らなかったものの、「ギター主体の楽曲ではどう聴こえるのだろう」という興味が自然と湧いてきた。

さらに、THE FIRST TAKE版も続けて試聴してみた。

スタジオ音源と比べると、全体的な印象はやや穏やかになり、冒頭で感じた「硬さ」も少し落ち着いたように感じられる。一方で、ベースの歪みはより存在感を増し、その粒立ちも非常に分かりやすい。コーラスも単なる厚みとしてではなく、「さまざまな声が重なっている」ことを自然と感じ取ることができた。

特に印象に残ったのは、1番サビ終わりで入るギターのカッティングである。歯切れの良さと輪郭の明瞭さが心地よく、「ギター主体の楽曲ではどのように鳴るのだろう」という興味が自然と湧いてきた。

布袋寅泰「バンビーナ」

その印象が偶然ではないことを確かめるため、続いて試聴したのが布袋寅泰「バンビーナ」である。「群青」のTHE FIRST TAKEを聞いた後、次の再生候補に表示されたのがのがこの楽曲であった。ギター主体の楽曲でも同じ印象を受けるのだろうか。ちょうど確かめてみたいと思っていたこともあり、そのまま再生してみたところ、今回感じていた印象と見事に重なった。

印象的なギターリフから始まるこの楽曲は、M18i MAXで感じていた印象を確かめるには最適な一曲だった。

イントロから鳴り響くギターカッティングは切れ味が良く、一音一音の輪郭がはっきりと伝わってくる。しかし、それはギターだけの話ではない。ベースやドラムが加わっても、それぞれの存在感が埋もれることなく、楽曲全体の疾走感はそのままに楽しむことができた。

特に印象に残ったのはスネアである。スパーンと抜けるような気持ちの良さがあり、その一打一打が楽曲の勢いをより強く感じさせてくれる。ギターだけでなく、ベースやドラムまで含めて、それぞれの輪郭が明瞭に描かれているからこそ、この楽曲が持つ爽快感をより楽しめたように思う。

前曲で感じていた「輪郭の描き方」という印象は、この楽曲を聴いたことでより確かなものになった。ギター主体の楽曲では、その特徴がより分かりやすく表れ、試聴前に抱いていた「気持ちよく聴けそうだ」という予想も、決して間違ってはいなかったようだ。

こちらもTHE FIRST TAKE版が公開されていたため、あわせて試聴してみた。

音源版と比べると、全体としてエッジの立ち方はやや穏やかになり、ベースをはじめ各楽器にも厚みが増したように感じられる。それでも、一音一音の輪郭が曖昧になることはなく、イントロのギターリフは相変わらず心地よい。

また、音場にも広がりを感じられる一方で、広がりだけを演出したような印象は受けなかった。音像のフォーカスはしっかりと保たれており、それぞれの楽器を自然に追いながらも、空間の広がりを無理なく楽しめる。その絶妙なバランスは、スタジオ音源とはまた違った魅力として印象に残った。

4曲を通して試聴した中で共通して感じたのは、M18i MAXは楽曲やミックスが変わっても、一音一音の輪郭を明瞭に描くという軸が一貫していることだった。

スタジオ音源では切れ味の良さが印象に残り、THE FIRST TAKE版では空気感や厚みが増しても、その輪郭が曖昧になることはない。楽曲ごとの違いを楽しみながらも、「M18i MAXらしさ」はしっかりと感じ取ることができた。

試聴を始めた当初は「音が硬い」という印象から始まった。しかし、さまざまな楽曲を聴き比べていく中で、その印象は「輪郭を明瞭に描く音作り」という理解へと変わっていった。その変化こそが、今回の試聴で最も印象に残った体験だった。

Questyle M18i MAXを使用中の画像

高音質を持ち歩くという選択肢

音質面で大きな魅力を感じた一方で、実際に使い続ける中で強く感じたのは、ポータブルDACとしての完成度の高さだった。

直前まで試聴していたSIGMA PROと比べると、本体はひと回りコンパクトで軽量だ。しかし、この違いは単にサイズだけの話ではない。実際に持ち歩いてみると、その取り回しの良さが想像以上に大きな魅力であることに気付かされた。

SIGMA PROとの比較画像

USB DACとしてだけでなく、Bluetoothレシーバーとしても利用できる。BluetoothはLDACをはじめ、aptX AdaptiveやAACなど主要コーデックにも対応。移動中はスマートフォンとケーブルにつながれることなく音楽を楽しみ、自宅ではUSB DACとしてじっくり試聴するといった使い分けも自然に行える。実際に日常の中で使ってみると、この自由度の高さは想像以上に快適だった。

ちなみにメーカー公称のバッテリー駆動時間はBluetooth接続で最大10時間、USB接続で最大8時間となっている。

今回、USB接続・final A8000を4.4mmバランス接続でボリューム30の状態で約1時間使用したところ、バッテリー残量は100%から92%へと変化した。リチウムイオンバッテリーは残量が必ずしも一定のペースで減少するわけではないため、この結果だけで実際の駆動時間を判断することはできないが、少なくとも今回の使用ではバッテリー消費が極端に速いという印象はなく、日常的な使用で不安を感じることはなかった。

利用シーンが往復2〜3時間程度の通勤・通学であれば、バッテリー残量を気にせず使えるだけの余裕は十分に感じられるだろう。

Bluetooth接続時に接続コーデックが表示されている様子
Bluetooth接続時は接続コーデックが表示される
LDAC接続時の様子
LDACにも対応。

さらに、別売りの専用ケースはMagSafeに対応しており、有線接続時のスマートフォンとの一体感も高い。ポケットやカバンから取り出してすぐに使える気軽さは、ポータブルDACとして大きな魅力と言えるだろう。

MagSafeに対応し、スマートフォンと一緒に使用している様子

出力についても、Questyleの据え置き機のような圧倒的な余裕とまでは言わないものの、ポータブルDACとしては十分以上の駆動力を備えている。イヤホンを中心とした運用であれば不足を感じる場面はほとんどなく、高音質を気軽に持ち歩ける安心感があった。

また、本機は充電専用ポートを備えているだけでなく、USB接続したスマートフォン側からも給電を受けながら利用することができた。本来はPCなどとの接続を想定した使い方と考えられるが、筆者の試用環境ではスマートフォン接続時でも本機への給電を確認できた。そのため、うっかり本体の充電を忘れてしまった日でも、そのまま音楽を楽しめる場面が多く、日常的に使い続けるうえで安心感につながっていた。

レビュー期間を通して気付けば最も持ち出す機会が多かったのはM18i MAXだった。音質だけでなく、携帯性や取り回し、日々の使い勝手まで含めたバランスが非常に良く、「今日はこれを持って行こう」と自然に手が伸びる。音質と携帯性を高いレベルで両立した、本機ならではの魅力を強く感じた。

ハードウェアにも宿るQuestyleらしさ

M18i MAXは音質だけでなく、ハードウェアとしての完成度も高い。

まず目を引くのは、内部基板が見えるスケルトンデザインだ。精密な基板や部品が覗くデザインは非常にメカニカルで、ガジェット好きであれば思わず所有欲をくすぐられるだろう。アルミ筐体の質感も高く、手に取った瞬間から価格に見合った満足感を得られる。

Questyle M18i MAXの外観画像
本体アルミ筐体の質感にフォーカスした画像

一方で、別売りの専用ケースを装着すると、この基板が見えなくなってしまう点は少し惜しく感じた。持ち運ぶ際はケースを装着し、自宅ではケースを外してデザインを楽しむといった使い分けも面白いだろう。

別売りの専用ケース画像
別売りの専用ケース画像
別売りの専用ケースを装着した状態
別売りの専用ケースを装着した状態での操作部分
別売りの専用ケースを装着した状態での接続端子部分
別売りの専用ケースを装着した状態での接続端子部分

出力端子は3.5mmシングルエンドに加え、4.4mmバランス出力にも対応。イヤホンからヘッドホンまで幅広い環境へ対応できる。

また、本機は充電専用USB-C端子とデータ通信用USB-C端子を分けて備えているため、本体を充電しながら利用できる点も実用的だった。一方で、スマートフォンへ給電する機能には対応していないため、その点はあらかじめ理解しておきたい。

3.5mm / 4.4mmに加えて本機の充電端子が設置されている箇所
3.5mm / 4.4mmに加えて本機の充電端子が設置されている
USB接続用端子の箇所
USB接続用端子

本体にはOLEDディスプレイも搭載されており、音量や接続状態、コーデックなどを一目で確認できる点は便利だった。一方で、ディスプレイ全体を活かした表示ではなく、一部のみの表示となっている点は少し惜しく感じた。視認性そのものに不満はないものの、デザイン性の高い製品だからこそ、ディスプレイ全体を活かした表示であれば、より所有欲を満たしてくれたように思う。

本体のOLEDディスプレイ部分

操作系はすべて本体側面へ集約されている。電源ボタン、音量ボタンに加え、Bluetooth・PC・スマートフォンの各モードを切り替えるスライドスイッチ、そしてマルチファンクションボタンを搭載。特にモード切り替えは物理スイッチで直感的に操作できるため、用途に応じた使い分けも迷うことがなかった。

マルチファンクションボタンも状況に応じて役割が切り替わる。有線接続時はゲイン切り替え、Bluetooth接続時は再生・一時停止、さらに通話時には応答・終話ボタンとして機能するなど、限られたボタン数でありながら操作性を損なわないよう工夫されている点も印象的だった。

マルチファンクションボタンが搭載されている部分

細かな仕様には一部気になる点もあるものの、実際に使い続ける中で不便を感じる場面は少なく、デザインと実用性の両面から細部まで丁寧に作り込まれた一台であることが伝わってきた。

製品スペック紹介

M18i MAXの仕様一覧
※メーカー公式製品ページより抜粋: https://questyle.jp/m18iMAX/
Questyle M18i MAXの同梱物
Questyleの印字が入ったUSBケーブル
USBケーブルの片側にはQuestyleの印字入り

自然と手が伸びたポータブルDAC

M18i MAXは、一音一音の輪郭を明瞭に描くDACだった。しかし、その魅力は単に解像度が高いという一言では語れない。

輪郭が明瞭だからこそ、ギターやベースへ自然と意識を向けられる。スタジオ音源とTHE FIRST TAKEの違いも楽しめる。音楽を分析するためではなく、楽曲ごとの表情をより深く味わうための音作りが、本機最大の魅力だったように思う。

さらに、Bluetooth対応や軽量な筐体、高い実用性によって、その音を気軽に持ち歩ける点も大きな魅力だ。自宅で腰を据えて音楽と向き合うだけでなく、外出先でも同じ体験をそのまま楽しめる。この音質と携帯性のバランスこそが、M18i MAXという製品の価値なのだろう。

音質だけを切り取って比較するのであれば、今でも筆者の好みはSIGMA PROにある。しかし、レビュー期間を通して最も持ち出す機会が多かったのはM18i MAXだった。

レビューを書き終えた今、筆者の中でM18i MAXは「輪郭が明瞭なDAC」という印象だけではなく、「音楽のさまざまな表情を楽しませてくれるDAC」という存在になっていた。

そして気付けば、自然と手が伸びる一台になっていた。

ギャラリー

Questyle

ポータブルアンプ

M18i Max


Questyle

M18i Max専用ケース


※商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームよりメディア運営元のONESELに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報、または自動で更新されています。

出典・関連リンク

Questyle 公式サイト

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