何かを購入するとき、すでに使用しているユーザーのレビューや評価を参考にする人は少なくないだろう。筆者もその一人である。
可能な限り情報を集め、自分なりに比較検討を重ねる。その過程で、気付けば製品に対するイメージや性格を自分の中で(勝手に)作り上げていることも多い。
その一方で、オーディオ製品には「試聴」という文化がある。そのため、実際に音を聴きながら、自分が思い描いていた製品像との答え合わせができる数少ないジャンルと言えるだろう。
そして、その答え合わせが良い意味で想像を裏切るものだったとき、その体験は強く印象に残る。
筆者にとって、MOONRIVER IIIはまさにそんな製品だった。
水月雨(MOONDROP)の製品については、これまで高域の透明感やクリアな見通しを評価する声を目にする機会が多かった。そのため、MOONRIVER IIIについても、「高域の抜けや情報量が印象に残るサウンドだろう」と思っていたのだ。
しかし、その答え合わせは、良い意味で想像を裏切るものだった。
製品概要

水月雨(MOONDROP)
MOONRIVER
MOONRIVER 3

製品名:MOONRIVER 3
価格:28,980円
発売日:2026年4月9日
※商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームよりメディア運営元のONESELに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報、または自動で更新されています。
“ちょうど良い”が生み出す音楽体験
今回の試聴には、普段からリファレンスとして使用しているfinal A8000も用いた。筆者にとってA8000は、「高域の透明感や繊細な表現へ自然と意識が向きやすいイヤホン」という印象がある製品だ。
しかし、MOONRIVER IIIと組み合わせた際の第一印象は少し異なっていた。楽曲が流れた瞬間「ん?低域寄りのチューニングか?」と、真っ先に意識が向いたのは低域だったのである。普段であれば高域へ意識が向きやすいA8000だからこそ、この第一印象は自分自身にとっても意外なものだった。
一聴しただけでは「低域をやや強めに意識させるチューニングなのだろうか」という印象を受けたが、聴き進めるにつれて「それもどうやら違うようだ」と気付かされる。
低域の存在感が印象に残る一方で、不思議とボーカルが埋もれる印象は受けない。むしろボーカルを中心に据えながら、その土台として低域がしっかりと支えているような感覚と言えば良いだろうか。
量感そのものを大きく増やしたというよりは、低域の存在を自然と認識しやすいバランスへ調整されている印象であり、楽曲全体に心地よいメリハリを与えているように感じられた。その結果、低域へ意識が向きながらも、ボーカルや他の帯域とのバランスが崩れることはなく、非常にまとまりの良いサウンドに仕上がっている。
高域も十分な透明感を備えているが、そこだけへ意識が向くような鳴り方ではない。低域の存在感、ボーカルの聴きやすさ、高域の抜け感、それぞれが絶妙なラインで成立しているからこそ、「なるほど、この塩梅か」と感じさせる音作りになっているように思えた。
聴き進めるうちに感じたのは、一音一音の描写を際立たせること以上に「楽曲全体を心地よく楽しませることへ重きを置いたDACなのではないか」ということだった。むしろボーカルや低域へ自然と意識が向き、その流れのまま楽曲全体へ引き込まれていく。レビューのために音を分析しようとしていても、気が付けば最後まで聴き入ってしまう。そんな体験を繰り返す中で、「第一印象で好感を抱き、聴き込むほどにその理由へ納得していくDAC」という印象が強くなっていった。
ボーカル、高域、低域、それぞれが成立する絶妙な落としどころ。そのバランス感覚こそが、MOONRIVER III最大の魅力なのではないだろうか。
特定の帯域だけを際立たせるタイプではなく、ボーカルを軸に楽曲全体を心地よくまとめ上げる。そのため、特定のジャンルだけが得意という印象はなく、どのような楽曲に対しても一貫した魅力を感じられた。
その中でも、MOONRIVER IIIのチューニングを象徴しているように感じた楽曲を紹介したい。
Ayase「夜撫でるメノウ」
この曲を再生してまず印象に残ったのは、ボーカルとともに鳴る打ち込みの低域だった。透明感のあるボーカルはもちろん印象的だが、それ以上に低域の存在感へ自然と意識が向き、「やはり低域寄りのチューニングなのだろうか」という第一印象を抱いた。
しかし、前述の通りその印象は長く続かなかった。歌い出しが終わり鍵盤のフレーズが加わると、アタック感を伴った鍵盤の音が心地よく伸び、低域だけが目立つサウンドではないことに気付かされる。高域の抜け感も十分に感じられ、それぞれの帯域が無理なく成立している印象だ。
さらにボーカルが重なり、楽曲全体の情報量が増していくにつれて、本機の魅力はより明確になる。ボーカルを自然と中心に据えながらも、その土台として低域が楽曲を支え、高域が空気感を添える。それぞれが主張しすぎることなく絶妙なバランスで成立しており、第一印象で感じた「低域寄り」という印象は、気が付けば「よく練られたチューニング」という納得感へ変わっていた。
nano.RIPE「影踏み」
Ayase「夜撫でるメノウ」で感じた印象は、打ち込み主体の楽曲だからこそのものだったのだろうか。
そんな疑問を確かめるため、続いて試聴したのが、普段からよく聴いているnano.RIPE「影踏み」である。女性ボーカルを中心としたバンドサウンドであり、生楽器主体の構成は先ほど試聴した楽曲とは大きく異なる。
結論から言うと、楽曲の構成が大きく変わっても、MOONRIVER IIIから受ける印象はほとんど変わらなかった。打ち込み主体の男性ボーカルから、生楽器主体の女性ボーカルへ切り替わっても、その音作りの方向性は一貫していたのである。
冒頭のボーカルとクリーントーンのギターアルペジオでは、高域が過度に主張することはなく、刺さりを感じさせない絶妙なバランス。ディレイを伴ったギターサウンドも心地よく広がり、楽曲が持つ空気感まで自然に伝わってくる。
さらにイントロのギターリフが加わると、その印象はより強くなった。リードだけでなく、背後で鳴るバッキングギターやベースラインまで無理なく整理され、それぞれの存在感を保ちながら楽曲としてまとまって聴こえる。ボーカルが加わっても、その存在を自然と中心に据えながら、楽器隊とのバランスが崩れることはなかった。
思わず「こういうバランスでバンドサウンドを聴きたかった」と感じたほどであり、一つひとつの音へ意識が向くというよりも、楽曲全体の心地よさへ自然と引き込まれていく。レビューのために試聴していたはずが、気が付けば最後まで聴き入ってしまっていた。

細部まで考えられた製品作り
所有欲を満たす重厚なデザイン
MOONRIVER IIIを手に取ってまず感じたのは、その存在感である。
ステンレス製ユニボディを採用した筐体は、手にした瞬間にひんやりとした金属の質感が伝わってきて、価格帯に見合った高級感を感じさせる仕上がりとなっている。
一方で、その重量は決して軽くない。ポータブルDACとして手に取ると、「思ったより重い」と感じる人も少なくないだろう。しかし、その重量感も含めて製品としての重厚感や所有する満足感へ繋がっているように感じられた。

また、背面には半透明パネルを採用し、水月雨(MOONDROP)らしいデザインがさりげなく取り入れられている。派手さで目を引くというよりは、細部まで丁寧に作り込まれた印象であり、ガジェットとして所有する喜びを感じさせてくれる仕上がりだ。

前面にはボリュームノブを採用しており、音量調整を直感的に行える点も好印象だった。デザイン性だけでなく操作性との両立も図られており、日常的に手に取るオーディオ機器として完成度の高さを感じさせる。

音質だけでなく、手に取った瞬間の質感や所有する満足感まで含めて楽しめることも、MOONRIVER IIIの魅力の一つと言えるだろう。
専用アプリで広がる音作りの自由度
MOONRIVER IIIは、専用アプリ「MOONDROP Link」に対応している。ファームウェア更新だけでなく、PEQ(パラメトリックイコライザー)による細かな音質調整を行える点も特徴である。
特に印象的だったのは、本体のDSPスイッチと連携できる点だ。デフォルトの音とPEQ適用後の音を瞬時に切り替えられるため、調整による変化をその場で確認しやすい。試行錯誤を繰り返しながら自分好みの音を探していく楽しさがある。
また、他のユーザーや公式が公開しているプリセットをダウンロードして試すこともできる。自分だけでは思いつかない音作りに触れられる点も、このアプリならではの魅力だろう。
完成されたデフォルトの音を楽しむだけでなく、自分なりの音を追求できる余地が用意されていることも、本機の面白さの一つである。


PD充電対応がもたらす高い実用性
USB DACは、スマートフォン一台で高音質を楽しめる手軽さが魅力である一方、本体と接続すると充電端子を占有してしまう製品も少なくない。そのため、長時間の試聴ではスマートフォンのバッテリー残量を気にしながら使用する場面もある。
その点、MOONRIVER IIIはPD充電に対応しており、試聴しながらスマートフォンへの給電を行うことができる。
一見すると地味な機能に思えるが、実際に使ってみると利便性は非常に高い。レビュー期間中もバッテリー残量を気にすることなく試聴に集中でき、「USB DACだから仕方ない」と思っていた不便さをほとんど感じなかった。
派手さはないものの、日常的に使い続けるほど価値を実感できる機能であり、MOONRIVER IIIの実用性を支える大きな魅力の一つだと感じている。

製品スペック紹介
| 項目 | MOONRIVER III |
|---|---|
| DACチップ | Dual CS43198 ×2 |
| 対応フォーマット | PCM 32bit / 384kHz、DSD256 |
| THD+N | 0.00018% |
| S/N比 | 4.4mmバランス:131dB3.5mmシングルエンド:126dB |
| ダイナミックレンジ | 131dB |
| 最大出力 | 4.4mmバランス:500mW(32Ω) |
| 出力端子 | 3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス |
| 入力端子 | USB Type-C(着脱式) |
| PD充電 | 対応(最大60W) |
| ボリュームコントロール | 100段階ボリュームノブ |
| DSP切替 | 物理スイッチ搭載 |
| PEQ | MOONDROP Linkアプリ対応(プリセット共有・ダウンロード対応) |
| 本体素材 | ステンレススチール |

思わずバンドサウンドを聴きたくなるDAC
MOONRIVER IIIは、第一印象で低域の存在感に惹かれ、聴き進めるほどにその理由へ納得していくDACだった。
ボーカルを軸に据えながら、低域が楽曲を支え、高域が空気感を添える。それぞれが絶妙なバランスで成立しているからこそ、自然と楽曲そのものへ意識が向いてしまう。
実際にレビューを進める中でも、特にバンドサウンドでは、ボーカルと楽器隊が互いを引き立て合う自然なまとまりに、思わず「こういうバランスで聴きたかった」と感じる場面が少なくなかった。その絶妙なバランス感覚こそが、本機を象徴する魅力の一つと言えるだろう。
さらに、所有欲を満たす質感の高いデザインや、PEQに対応した専用アプリ、PD充電による高い実用性など、日常的に使い続けるための工夫も随所に盛り込まれている。
派手な個性で圧倒するDACではない。しかし、ボーカル、高域、低域、それぞれが絶妙な落としどころで成立したその音作りは、聴き込むほどに「なるほど、この塩梅か」と納得させられる完成度の高さを備えていた。
筆者にとってMOONRIVER IIIは、レビューを書くために音を分析する機会以上に、普段から聴き慣れたバンドサウンドと改めて向き合いたくなる、そんな心地よさを持った一台だった。

水月雨(MOONDROP) × onesuite 読者向けプレゼントキャンペーンのお知らせ
レビューについてはここまでだが、最後に編集部からキャンペーンのお知らせだ。
今回の記事を作成するにあたり水月雨(MOONDROP)様よりレビュー用にご提供いただいた「MOONRIVER III」について、読者プレゼントに使用して良いか伺ったところ快くOKしてもらうことができた。
本製品が気になる方は、是非キャンペーンに参加し自身の耳でチェックして欲しい。
対象アイテム
水月雨(MOONDROP)MOONRIVER III

応募方法
① X(旧:Twitter)にて @MOONDROP_JP と @onesuite_jp をフォロー
② 下記対象ポストをいいね&リポストで参加
※さらに記事の感想を対象のポストにリプライで当選確率アップ
対象ポスト
応募期間
2026年6月26日 ~ 2026年7月10日 23:59
応募規約
- 本キャンペーン商品の「水月雨(MOONDROP)MOONRIVER III」はレビューに使用した開封品となります。
- 賞品の故障による修理や交換等を含め、一切の保証はありません。
- 応募締め切りは2026年7月10日 23:59までとさせていただきます。
- 当選のご連絡はX(旧:Twitter)のDM機能にて行いますので、DM機能の開放をお願いいたします。
- DM連絡後2日以内に返信がない場合は失効となります。
- プレゼントの応募は日本国内に居住している方限定とさせていただきます。
- 当選につきましては発表時点で、対象のXアカウントをフォローしている方限定とさせていただきます。
- なお当選通知の時点で、対象のXアカウントのフォローを解除している場合、当選は無効となります。
- アイテムの発送は日本国内に限ります。
- 当選にて獲得した権利は、他の方に譲渡することはできません。
- ご入力情報の不備などでお届けできない場合、当選を無効とさせていただく場合がございます。
- 取得した個人情報につきましては、本キャンペーンの発送以外の用途では使用いたしません。
- 懸賞目的及び不正を判断した場合は抽選から除外いたします。
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