コロナ禍の折に在宅ワークが始まり、その後現在の職種へと転職したことで、メインの仕事場が自宅になった筆者。在宅ワークなったばかりの頃は、当時ゲームに使用していたヘッドセットでオンラインMTGなどに出ていたものだが、音質面などから専用マイクが欲しくなり、その後現在のコンデンサーマイク+オーディオインターフェースに移行した。
とはいえ楽器をやっていたわけでもない筆者にとって、オーディオインタフェースは未知の領域。その頃、配信者向けとして最も有名だったYAMAHAのAG03をとりあえず購入し、比較的安価なMarantz MPM-1000と組み合わせて使ってきたのである。もちろんそれなりに理由はあり、当時は”おうち時間”の充実が叫ばれていたこともあって「いずれ自分も配信とかするかもしれないしな」という思いもあったのだ。
そして時は流れ約5年後の現在、全く配信などしていない自分がいる。これはAG03である必要は無かったのではないだろうか…。
そんな折、たまたま足を運んだInterBeeというイベントで筆者が出会ったのが、本記事で紹介する製品「YAMAHA URX22C」だ。同じくYAMAHAの製品だが、配信をメインとしているAGシリーズに対して、こちらは宅録や音楽制作などをターゲットとして高品位なサウンドクオリティをうたうシリーズ。配信をしない筆者の用途にあっているのは、むしろこちらかもしれない。
というわけで今回は、普段AG03を使っている筆者がステップアップを求めて「YAMAHA URX22C」を試した結果についてお届けしていきたい。発売日は2025年10月09日で、メーカー希望小売価格は28,600円(税込)だ。
製品概要

YAMAHA
URX22C

製品名:YAMAHA URX22C
カラー:ブラック
発売日:2025年10月09日
希望小売価格:28,600円(税込)
製品ページ:https://jp.yamaha.com/products/music_production/interfaces/urx-c/urx22c/index.html
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コンパクトな筐体で、省スペースに置ける「YAMAHA URX22C」
製品の紹介に入る前に、そもそも“なぜAG03から変えたいのか”という背景を紹介しておこう。ただし、これは「筆者の使い方との相性であって、決してAG03の問題点ではない」という点はお忘れ無きようお願いしたい。全ては、筆者がAG03の機能を活かしきれていないことに起因しているのだ。
配信用で手元に置くなら使いやすいAG03
改めてAG03は配信をターゲットとしたオーディオインターフェースだ。そのため、基本的にはAG03を手元に置き、フェーダーによる音量調整やスイッチひとつで使えるリバーブ(EFFECT)などを手早く操作できるよう、配線や操作系は天面部分に集中するよう設計されている。

しかし、上にも記載したように筆者は配信をしていない。その結果、何が起こるかというと“基本的にAG03に触らない”のだ。
筆者の使い方では、マイクや楽器などを繋ぎかえることは無く、音量も一度いい位置が決まったら基本的にそのまま。そうなるとAG03のいい所を活かす機会がなく、むしろ機材上部、縦方向のスペースを潰すだけの結果となってしまう。「それならもっと省スペースに置ける機材がいい…」という思いから、筆者の新たなオーディオインターフェース探しは始まったのだ。
コンパクトな薄型筐体で省スペースな「YAMAHA URX22C」
少々前置きが長くなったが、ここで本題の「YAMAHA URX22C」を見てみよう。まずは筆者がステップアップを意識したきっかけでもある、その外観から紹介していきたい。
AG03と比べた際に際立つのはそのコンパクトさだ。ポートや操作系は本体の前後に集中しており、薄型の筐体で非常にすっきりした見た目となっている。こうした機材に少し詳しい方であれば、Steinbergのオーディオインターフェースにそっくりだと思うかもしれない。

しかし、それもそもはず。
Steinbergは2005年にヤマハにグループ入りしており、多くの方がエントリー向けのオーディオインターフェースとしてイメージするUR22シリーズなどは、ヤマハグループになってから登場した製品である。加えて「YAMAHA URX22C」は元々UR22CとしてSteinbergから販売されていた製品を、2025年の事業移管に合わせてリブランディングしたもの。似ていて当然なのだ。

そのためポートや操作系の配置はUR22Cと共通になっており、入力系や操作系は前面側に集中し、背面は出力系や主電源などが主という構成だ。
個人的に嬉しいのがこの配置構成で、筆者が触るであろう音量の調整用のノブやヘッドフォンジャックなどはアクセスしやすい前面に配置され、反対に一度接続した後は触ることがほぼないスピーカー用の出力ポート(MAIN OUTPUT)などは背面と、大変使い勝手がいい。
さらにケーブル類が上に張り出すこともないため、オーディオインターフェースの設置場所に悩まなくて良くなったのもポイントの一つ。極端なこといえば前面さえ露出していればいいので、机の下やモニター台の下に入れることもできる…筆者が求めていたのはこれだったのだ。

オーディオインターフェース初心者はスピーカーとの接続ケーブルを要確認
さて「YAMAHA URX22C」の配置構成に感動したところで、あえてここで筆者がした失敗を一つだけ紹介したい。それは「URX22C、MAIN OUTPUTからスピーカーに接続できない」問題だ。
これは非常に単純な話で、筆者が「YAMAHA URX22C」のMAIN OUTPUTであるTS・TRS出力に対応するスピーカーないしは変換ケーブルを所持していなかっただけである。詳しい方からすれば「よく確認しろよ」で終わる話なのだが、残念ながら自身はオーディオインターフェースに関しては素人も同然。AG03にRCA(赤白)があったように、URX22Cにも当然あるものだと考えていたのだ。

結果として筆者所有のスピーカーに接続できるのは、RCAもしくは3.5mmのジャックのみだったため、追加で手配したL/RのTS-3.5mmの変換ケーブルが届くまではMAIN OUTPUTの音量調節ノブが使えない事態となった。上記は、もし筆者のような方が居た時のために、ここに失敗談として残しておきたい。
専用ソフト「dspMixFx for UR-C」で仕事・ゲーム・配信も高品質なボイスに
個人的には筐体設計の時点で十分満足してしまったのだが、「YAMAHA URX22C」の真骨頂はここから。PCと接続する際の専用ソフト「dspMixFx for UR-C」がとにかく凄いのだ。
おそらく本来主体になるのはDTMなどの音楽用途と思われるものの、TeamsやGoogle Meet、Discordなど仕事やゲームなどでもしっかりと効果を発揮してくれる。加えて配信向けのエフェクトや機能も存在しているため、このソフトだけで多くの方が満足いく設定ができるだろう。
とはいえ、できることが多い分その設定は少々複雑になっているため、ここではレビューの際、実際に筆者が使用した機能やその設定について紹介していきたい。
「dspMixFx for UR-C」のポイントはDAWミックスとStreamingミックスの使い分け
細かい初期インストール設定などは説明書やユーザーガイドを参照してもらうとして、「dspMixFx for UR-C」が使用可能になった状態から説明していこう。
「YAMAHA URX22C」を接続した状態でソフトを起動すると下のような画面が立ち上がる。

配信や音響関係のソフト・機材を触ったことがある方ならお馴染みのミキサーを模した見た目になっており、ソフトの機能としても大枠はミキサーだ。逆に「ミキサーって何?」という方なら、各種音量をコントロールするための画面と思っていただければいい。
さて、ここでまず注目して欲しいのは、画面右側にあるMixエリアと呼ばれるタブの存在。実のところ「dspMixFx for UR-C」を使いこなす最初のコツは、このタブの使い分けを理解するところにあるのだ。

「YAMAHA URX22C」の場合、ここにはDAWミックスとStreamingミックスという二つのタブが用意されており、DAWミックスでは自分が聞くための音を調整し、StreamingミックスではオンラインMTGをはじめとするボイスチャットや配信などに乗せる音の調整が行える。
つまり、それぞれのタブを適切に設定することで、自分と相手とで聞こえる音を全く違う形にコントロールできるというワケだ。

一例として、ゲームをしながらボイスチャットをするシーンを想定して設定してみよう。
まずはゲームの音量とボイスチャットの音量を「dspMixFx for UR-C」でコントロールするため、それぞれの出力先をDAW / MUSIC / VOICEのいずれかに割り振っていく。ちなみにこの3つの名前は仮で決まっているだけであり、それぞれの役割は同じだ。筆者の場合はPC全体の音声出力先(ゲームの音)をMusicに、 ボイスチャットツールの出力先をVoiceに割り振ることにした。

またボイスチャットツール(ここではDiscord)ではマイクの設定も必要だ。その際、マイクにStreaming(Steinberg UR22C)を設定してあげることで、Streamingミックスの音が相手に届くようになる。

余談だがStreaming(Steinberg UR22C)以外にも、Voice(Steinberg UR22C)やInput 1/2(Steinberg UR22C)という選択肢も表示されるものの、多くの場合ボイスチャットや配信では使用する機会が無い。そのため「マイクにはStreaming(Steinberg UR22C)」と覚えてしまって問題ないだろう。
PCとボイスチャットツール側の設定が終わったら、いよいよ「dspMixFx for UR-C」側での調整だ。この辺りは好みや状況によっても変化する部分だが、基本的には「DAWミックスは自分が聞く音、Streamingミックスは相手が聞く音」という考えで設定する。
筆者の場合はそれぞれ
DAWミックス:自分自身の声が聞こえてこないようInput 1に繋いだマイクの音をミュートし、Musicから流れるゲームの音は少し抑えて、Voiceから流れるボイスチャットの音は大きめに聞こえるよう調整。
Streamingミックス:MusicとVoiceをミュートし、ゲーム音や相手の声が乗らないように。ただし自分の声は届いて欲しいのでInput 1の音声のみ流れる状態に調整。
とした。

注意点として、DAWミックスとStreamingミックスを全く同じ設定にすると、相手の声がそのまま相手に返ってしまったり、自身の声がループしてハウリングを起こしてしまうので気をつけたい。
加えて「dspMixFx for UR-C」には、どのミックスの音(この場合はDAWミックスとStreamingミックス)をMAIN OUTPUTに繋げたスピーカー/ヘッドフォンジャックから流すか、というボタンがある。ここも間違えると上記のようにループが発生したり、音が出なくなったりするので注意してほしい。先ほどの考え方通り、DAWミックスは自分が聞く音、Streamingミックスは相手が聞く音なので、DAWミックスが流れるようにしよう。

ちなみにだが、ここでStreamingミックスのMusicをミュートにしなかった場合、相手からは声と一緒にゲーム音が聞こえる形になる。例えばゲーム音ではなく、BGMなどを流していれば自分の聴いている音楽を同時に相手にも聞かせられるわけだ。配信やセミナーなどでBGMを流したい場合にはミュートを解除してみよう。
コンプレッサーやイコライザーなど、豊富なエフェクトを駆使して高品質に
もともと「YAMAHA URX22C」ではAG03より情報量の多い 32bit/192Hzの録音が可能であり、その分高音質に音を届けられるのだが、「dspMixFx for UR-C」を使いこなすことで一歩踏み込んだ音作りが可能となる。なかでも「Sweet Spot Morphing Channel Strip」は是非活用して欲しいエフェクトだ。
使い方はまずマイクを接続しているInput 1上部にあるプルダウンメニューから「Ch.Strip」を選択。電源マーク右のeボタンをクリックすることで設定画面を開ける。

すると下記のようなウィンドウが立ち上がり、ここでマイクで拾った声の調整が可能だ。
基本的には左のコンプレッサーで音量の差が大きくなりすぎないよう調整しつつ、右側のイコライザーで低音・中音・高音のバランスを調整、その後右下のOUTPUTノブを回して、その上のINとOUTのゲージが同じくらいになるよう調整…
という流れなのだが、そこは説明書にて”プロフェッショナルエンジニアのノウハウが凝縮されたセッティングがあらかじめ用意されている”と記載のとおり、実はそこまで難しい工程を踏まずとも使えてしまう。
筆者のように慣れてない方であれば、まずは左上のFileと書かれているプルダウンメニューを切り替えて音の変化を確認して欲しい。

一例として、下は筆者がかの有名な竹取物語の冒頭を読み上げた音声を録音したものである。この状態では「Sweet Spot Morphing Channel Strip」のエフェクトは一切かかっていない状態だ。
次にこちら、プリセットからSmooth Voiceoverを選択した状態で録音したもの。エフェクト無しに比べて声の響きが強調されつつも聞こえ方が少しフラットになり、少し良い録音環境で録ったナレーションのように声質に変化しているのがわかると思う。
お次はLive Streamingを選択した状態。こちらの方が変化がわかりやすいだろうか。より低音の成分が強調され、少し反響する空間で録ったかのような音へと変わった。ボイスチャットやWebミーティングでは出番がなさそうだが、カラオケ配信や宅録にはもってこいのプリセットだろう。
またプリセットをベースにイコライザーを調整することも可能なため、慣れてきたら自分だけの音作りに挑戦しても良さそうだ。
無音時の環境音や不要なノイズはGateでカット
筆者のようにデスクトップPCを使っていたり、夏場・冬場の空調などで環境音が気になる場合もあるかと思う。そうしたときに役立つのが「Gate」機能だ。この機能を使うことで、自分が声を発していない時に、一定以下の音量をノイズとしてカットすることができる。
ゲートを使うにはStreamingミックスのタブで、中段に現れるプルダウンから「Gate」を選択。「Sweet Spot Morphing Channel Strip」の時同様eボタンをクリックすることで設定画面が立ち上がる。


こちらの操作方法は簡単で、基本的には画面中央のグラフでTのマークを左右に動かし無音時にoutのゲージが動かなくなるように調整するだけ。強くかけすぎると会話の出だしが小さくなってしまうため少々注意が必要だが、設定そのものはそこまで難しくないため、実際にStreamingミックスの音を聴きながら調整すると良いだろう。
バ美肉にも使える?PITCH FIX
最後におまけ的なところとして、「PITCH FIX」というエフェクトにも触れておきたい。おそらく本来は歌声などを録音する際に、ある程度オーディオインターフェース側で楽曲のキーに歌声を合わせるための機能なのだが、恋声やバ美声同様にピッチとフォルマントの調整が可能。またオーディオインターフェース内で変換が行われるため、遅延が少ないのも魅力の一つだ。
メニューの入り方は「Sweet Spot Morphing Channel Strip」と同様なので割愛するとして、実際のメニュー画面がこちら。

単純にボイスチェンジャーとして使用する場合に触るのは、上部にあるPITCHとFORMANTのみ。この二つの値を調整することで、いわゆる「※プライバシー保護のため、一部音声を加工しております」な声になる。なおバ美肉を狙うなら、絶妙な調整に加え自身の声質にも適性が必要だ。
この適性というのは、自身の声にどれだけ男性的な発声成分(喉仏あたりで響く音)が含まれているかで、一応筆者トライはしたのだが適性が無かったためか、そういった音が含まれる箇所は音割れのようになってしまっている。
とはいえ遅延は非常に少なく、自身の変換後の声を聞きながら歌が歌えるほど。興味がある方はトライしてみて欲しい。
もちろん、その他にも「dspMixFx for UR-C」には多彩な機能が用意されており、配信はもちろん、楽曲制作で使う方にとっても役立つエフェクトが満載だ。特にギターと組み合わせて使う方ならより魅力が感じられるはずで、音色の異なるアンプシュミレーターがあらかじめ4種類も用意されている。「YAMAHA URX22C」の本体はこっちのソフトなのでは?と思うほどの作り込みなので、本製品を導入するなら是非活用してもらいたい。
「YAMAHA URX22C」は在宅ワーカーにもおすすめなコンパクト&多機能な製品
ここまで製品の魅力をハード・ソフトの両面から語ってきたわけだが、肝心の音質面についてはステップアップになったのだろうか。
この辺りを検証するため、社内メンバーにも協力してもらい様々なボイスチャットツールを試してみたところ、”確かに良くなっている”という評価が得られた。参加したメンバー曰く「ちょっと良いマイクに変えたのかと思った」というコメントが出たほどで、高品位なサウンドクオリティという表現は間違いないといっても良いだろう。
デスク上でスペースを取らずに設置できるコンパクトさ、楽曲制作はもちろんボイスチャットや配信用途まで対応する高機能な専用ソフト、そしてマイクが変わったかと思うほどの高音質。今回の記事では在宅ワーカーである筆者の視点でレビューしたが、用途が違えばまた違った魅力が見えてきそうなほど多彩な製品に仕上がっている。
「YAMAHA URX22C」は“次”の1台として、まさにステップアップに最適なオーディオインターフェースではないだろうか。
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YAMAHA
URX22C

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