【SHANLING UA7 レビュー】真空管サウンドを身近に楽しめる本格USB DAC

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真空管と聞くと、どこか特別な存在のように感じる。
オーディオの世界では長い歴史を持ち、その温かみのある音は代えがたく、今もなお支持され続けている存在だ。

個人的にも、真空管という言葉には特別なワクワク感がある。
ギターアンプやオーディオ機器など、これまで触れてきたものの中でも、最先端の技術というわけではないのに、あえて真空管が採用されている機器特有の“あの感じ”には、どこか理屈を超えた魅力があった。

一方で、真空管機器というと、価格やサイズの面でハードルが高いと感じる人も多いだろう。
「気軽に使う」というよりは、腰を据えて向き合うものというイメージを持っている人も少なくない。さらには、「大きい」「発熱する」といったイメージも強く、扱いに少し気を使うという印象を持っている人も多いはずだだろう。

しかしだからこそ、そうしたハードルを感じさせない形で、身近なものとして落とし込んだ製品には、自然と興味を惹かれてしまう。

そんな真空管の魅力を、日常使いできる形で体験させてくれるのが、今回紹介するShanling UA7だ。

製品概要

SHANLING

ポータブルDAC/AMP

SHANLING UA7

Orange


製品名:SHANLING 「UA7」
価格:オープン価格
カラー:Black/Gray/Orange
発売日:2025年12月19日(金)
製品ページ:https://musinltd.com/portal/article/index.html?id=1259&cid=74

※商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームよりメディア運営元のONESELに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報、または自動で更新されています。

目次

真空管モードもトランジスタモードも、どちらも主役になれる完成度

SHANLING UA7には、真空管モードとトランジスタモードの2つのモードが用意されている。
正直に言って、どちらかがオマケという印象はまったくなく、いずれも明確にキャラクターが分かれており、しかも、そのどちらもが「しっかり良い音」で鳴っているのが、この製品の面白いところだと感じた。

事前のイメージとしては、やはり真空管モードがメインになるのだろうと思っていた。
ところが実際に切り替えてみると、トランジスタモードの完成度の高さに、良い意味で意表を突かれる。
単に「真空管をオフにした音」というよりも、きちんと作り込まれているのだ。

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真空管モードをオンにすると真空管部がオレンジに点灯する。
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真空管モードOFFの状態
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真空管モードONの状態

トランジスタモードでは、全体の見通しがよくなり、音の輪郭がよりシャープに感じられる。
ひとつひとつの音が整理されて前に出てくるような感覚があり、情報量の多い楽曲でも音が混濁しにくい。
特にボーカルは、声の立ち上がりがはっきりとし、定位も分かりやすくなる印象を受けた。

個人的に、バンドサウンドはこちらのモードで聴くことが多かった。
ギターの歪みも、ただ太くなるのではなく、歪みの粒が立って聴こえるような感覚がある。
エッジ感が出て、リフやカッティングのニュアンスがより明確になるため、演奏の輪郭を追いやすい。

一方で、真空管モードに切り替えると、音の印象はまた大きく変わる。
トランジスタモードのクリアさをベースにしながら、そこに温かみと広がりが加わったような鳴り方だ。
音がふわっと自然に広がっていく感覚があり、音場もやや奥行き方向に伸びる印象を受けた。

オーケストラアレンジされた楽曲などを試聴すると、ホール感がより分かりやすくなり、空間の広がりを楽しめる。
個人的には、ゲームミュージックのオーケストラアレンジ曲は、こちらのモードで聴くと非常に心地よかった。
音に包まれるような感覚があり、長時間聴いていても自然と耳が馴染んでいくような印象だ。

真空管モードをオンにすると真空管部がオレンジに点灯する。

楽曲別に感じた、UA7のモードの違い

ここからは実際に試聴で使用した楽曲それぞれの聴こえ方の違いについて紹介しようと思う。
今回の試聴では、先日レビューでAZLA TRINITYをはじめ、final A8000などの手持ちのイヤホンを中心に使用している。
なお、先日紹介したAZLA TRINITYはUSB-Cコネクタタイプのものであったが、その後運よく限定色の「Frozen Mint」3.5mmステレオミニプラグ版を購入することができたので、そちらを使用した。

今回はジャンルの異なる楽曲や、同じ楽曲でもシングル音源とライブ音源などで、UA7の2つのモードでどう表情が変わるかを中心に確認した。
楽曲によって、どちらのモードがよりしっくりくるかが分かりやすく変わる点も、UA7の面白さだと感じている。

Vaundy「怪獣の花唄」

普段好んで聴くことが多いバンドサウンドとの相性を確認したく、この曲を選んだ。

トランジスタモードで聴くと、ボーカルがより近くに感じられ、楽曲全体の疾走感がはっきりと伝わってくる。音の輪郭がシャープになり、リズムのキレも分かりやすくなるため、サビに向かって一気に駆け上がっていくような勢いが素直に出てくる印象だ。

トランジスタモードのクールで引き締まった音作りが、この楽曲のエネルギー感とうまく噛み合っているように感じた。

クロノ・トリガー「風の憧憬」
(アルバム:光田康典「Millennial Fair ~ハルカナルトキノカナタへ~」)

真空管モードに合いそうな楽曲として選んだのが、先日オーケストラコンサートが行われた、クロノ・トリガーの「風の憧憬」だ。音の伸びを維持しつつ、自然な広がりを感じられる楽曲を聴きたいと思い、アルバム「Millennial Fair ~ハルカナルトキノカナタへ~」に収録されたアレンジを選曲した。
(なお筆者はチケットが外れてしまい、残念ながらコンサートには参加できなかった…。)

冒頭のピアノは、温かみがありながらも輪郭が曖昧になることはなく、自然に空間へと広がっていく印象を受けた。音が立ち上がってから消えていくまでの流れがなめらかで、余韻を含めて音を味わえる感覚がある。

Official髭男dism「ミックスナッツ」
(YouTube公式ライブ映像 / シングル音源)

同じ楽曲を、YouTubeの公式ライブ映像と、通常のシングル音源の両方で試聴した。
ライブ映像では観客の手拍子も含まれており、会場全体の響きや空気感がより分かりやすく伝わってくる。

このライブ音源では、真空管モードのほうが空間の広がりや会場の雰囲気が自然に表現され、より臨場感のある印象だった。観客の声や拍手も含めて、音に包まれるような感覚があり、ライブならではの一体感が伝わってくる。

Official髭男dism「ミックスナッツ」YouTube公式ライブ映像

一方で、シングル音源では、トランジスタモードでかっちりと鳴らしたほうが、リズムや音の輪郭がより明確になる。各音の分離が分かりやすくなり、個人的にはこちらのほうが楽曲の持つポップさや勢いを素直に楽しめた。

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音楽再生時にディスプレイに音符マークが流れてくるという遊び心もあり非常にかわいらしい。

手に取って分かった、UA7の外観と操作感

カラーバリエーションはBlack/Gray/Orange3色展開で、今回はOrangeを使用した。

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UA7のDACチップは、ESS社のハイパフォーマンスDACチップ「ES9069」を採用。真空管はJAN6418真空管を2基搭載している。サイズ感は、よくある一般的なUSB DACと比べても遜色がなく、真空管が搭載されているためか、少し厚みがあるように感じた程度であった。
極端に大きいという印象はなく、真空管を内蔵していることを考えると、むしろうまくまとめられているサイズ感。筐体を実際に手に取ってみると、角が良い意味で立っていて、精度が甘く角がだれているというような印象は全くなかった。全体として、精度の高さを感じることができるしっかりとした作りで、価格帯を考えても安っぽさを感じることはない。

一方、真空管が露出しているため、そのままで使用するのは少しはばかられると感じる人もいるかもしれない。デザイン上、簡単に触れてしまうような位置ではないが、持ち運びや日常使用を考えると、やはり気は使うポイントではある。

なお、純正のケースを使えば、真空管部分を保護された状態で使用できるため、その点では安心感がある。個人的には、ケースを併用した状態で使うほうが、スマートフォンなどに接続されるこの製品の性格には合っているように感じた。

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操作はタッチパネルなどではなく、ボリューム操作も兼ねているマルチファンクションダイヤルで行う。従来のダイヤル操作のように上下に動かすことに加えて、押し込み操作にも対応しているものの、操作系は比較的シンプルだ。
実際に使ってみても、直感的に扱える印象で、操作に迷う場面はほとんどなかった。

またAndroid限定にはなるが、本体操作に加えて専用アプリからの設定にも対応している。
モード切り替えや各種設定をアプリ側から行えるため、より大きな画面で設定が可能となり、使いやすくなる印象だ。

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オーディオソースとの接続方式はUSB-Cで、スマホからPC、ゲーム機まで幅広く使用できる。
UA7本体にはバッテリーや充電機能を持たず、接続機器からの給電で動作する設計のため、「充電を忘れて使えない」といった心配がないのも安心できるポイントだ。

出力側は、3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスに対応。4.4mmバランス出力は最大577mW@32Ωと必要十分な駆動力を備えており、充電不要で使える気軽さと手持ちのイヤホンやヘッドホンを選ばずにそのまま接続できる汎用性の高さも、この製品の使いやすさにつながっていると感じた。

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製品スペック紹介

品番:UA7Black/UA7Gray/UA7Orange
EANコード:6972835393555/6972835393562/6972835393579
希望小売価格:オープン価格
製品仕様
サイズ70×36×15mm
重量約48.5g
DACチップESS ES9069
対応サンプリングPCM768kHz / 32bit、DSD512
デジタルフィルター8種類
真空管JAN6418×2
ディスプレイ0.87インチOLEDディスプレイ
Gain機能High / Low
UACモードUAC 1.0/ UAC 2.0
出力端子3.5mm + 4.4mm
USB端子USB-C
音声出力仕様
3.5mm シングルエンド出力(トランジスタモード)
出力電力2.5V @ 32Ω (195mW @32Ω)
周波数特性20Hz-40kHz (-0.5dB)
THD+N0.0006% @ 32Ω
ダイナミックレンジ119dB
チャンネルセパレーション73dB(A特性High Gain)
S/N比119dB(A特性High Gain)
ノイズ110dB(A特性High Gain)
出力インピーダンス0.5Ω
4.4mm バランス出力(トランジスタモード)
出力電力4.3V @ 32Ω (577mW @32Ω)
周波数特性20Hz-40kHz (-0.5dB)
THD+N0.00095% @ 32Ω
ダイナミックレンジ120dB
チャンネルセパレーション109dB(A特性High Gain)
S/N比119dB(A特性High Gain)
ノイズ105dB(A特性High Gain)
出力インピーダンス
3.5mm シングルエンド出力(TUBEモード)
出力電力2.5V @ 32Ω (195mW @32Ω)
周波数特性20Hz-40kHz (-0.5dB)
THD+N0.15% @ 32Ω (2V)
ダイナミックレンジ119dB
チャンネルセパレーション73dB(A特性High Gain)
S/N比119dB(A特性High Gain)
ノイズ110dB(A特性High Gain)
出力インピーダンス0.5Ω
4.4mm バランス出力(TUBEモード)
出力電力4.3V @ 32Ω (577mW @32Ω)
周波数特性20Hz-40kHz (-0.5dB)
THD+N0.15% @ 32Ω (2V)
ダイナミックレンジ120dB
チャンネルセパレーション106dB(A特性High Gain)
S/N比119dB(A特性High Gain)
ノイズ105dB(A特性High Gain)
出力インピーダンス
付属品USB C to C OTGケーブルUSB A to C変換アダプタクイックスタートガイド製品保証書
※メーカー製品ページより抜粋
https://musinltd.com/portal/article/index.html?id=1259&cid=74
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【SHANLING UA7】真空管サウンドを身近に楽しめる本格USB DAC

SHANLING UA7は、価格帯として見ると、およそ45,000円前後と、USB DACの中では決して安価な部類ではない。いわゆるエントリークラスという価格帯ではなく、購入にあたっては、それなりにしっかり検討する価格だと言える。

しかし、真空管モードとトランジスタモードという2つのモードを備え、それぞれが明確にキャラクターの異なる音で楽しめる点は、この製品の大きな魅力だ。どちらかがオマケという印象はなく、単なる「モード切り替え」というよりも、しっかりと別の音作りとして成立している。

特に、真空管サウンドをここまで身近な形で体験できるという点は、UA7ならではの価値だと感じた。
従来の真空管機器に対して抱きがちな、サイズや取り回し、価格といったハードルを感じさせず、日常的な環境の中で真空管らしい音の魅力に触れられる。
「真空管に興味はあるが、なかなか踏み出せなかった」という人にとっても、ひとつの入り口になり得る製品と言えるだろう。

操作面についても、専用アプリに対応していることで、モード切り替えや各種設定を大きな画面で行える点は実用的。音の楽しさだけでなく、使い勝手という面でも、きちんと配慮されている点は評価したいポイントだ。

総合的に見て、個人的なUA7最大のポジティブポイントは、2つのモードをしっかりと楽しめる音質の良さにある。
真空管とトランジスタを1台で切り替えながら、楽曲や気分に合わせて音を選ぶ楽しさを求める人にとって、UA7は価格に見合った満足感を得られるUSB DACだろう。

ギャラリー

SHANLING

ポータブルDAC/AMP

SHANLING UA7

Orange


※商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームよりメディア運営元のONESELに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報、または自動で更新されています。

edit by onesuite編集部

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