先日台湾にて開催された世界的なPC関連機器の展示会「COMPUTEX 2025」。毎年ラスベガスで行われるCESと並んで、PCやガジェット界隈においては無視できない存在だ。筆者自身もその存在はかねてより知っており、いつか行ってみたいと思いつつも中々機会に恵まれなかったのだが、今回ありがたいことにASUS社にお招きいただき、ついに足を踏み入れることが出来た。
というわけで本記事では、COMPUTEX 2025で見つけてきたASUSの最新製品について紹介していきたい。海外発表のため必ずしも日本に来るとは限らないが、中にはASUSから高い確率で日本発売が予告されている製品も存在するため、ぜひ見て行ってもらえれば幸いだ。
既に公式Xでも予告済み。Zenfone 12 Ultra
まずは既にASUS JAPAN公式X(旧:Twitter)でも発売が予告済みのZenfone 12 Ultra。昨年発表された11 Ultraの後継モデルにあたり、SoCがSnapdragon 8 EliteになったほかAI機能の強化など順当なアップデートが施された製品だ。多くの性能を同社のゲーミングスマートフォン「ROG Phone 9 Pro」と共通にしているため、国内版のスペックはそちらを参考にすると良さそうだ。

一番の魅力はAIによる通話の文字起こしやリアルタイム翻訳、またカメラのAuto Zoomなどで、AIを”どう活用するのか”が機能に落とし込まれているいる点。またROG Phoneと性能面の共通点が多いことから多くが共通のため、ゲーム性能にも期待できるはず。

ちなみにカラーラインアップは3色で、内1つはSAKURA WHITEという名称とのこと。その名の通りホワイトカラーをベースにしつつも若干の薄紅色を帯びた桜の花弁のような色合いで、男性でも違和感なく使えつつ女性が持っても可愛らしい絶妙な筐体色に仕上がっていた。
会場では「月内には…」という話だったが、Xでの投稿を見る限り2025年5月28日に何らかの発表があるようなので、気になる方はもう少々お待ちいただきたい。

Snapdragon搭載のVivobook S14/S16が国内登場予定
ASUSには複数のノートPCラインアップが存在しており、Vivobookもその一つ。なかでもVivobook Sシリーズは仕事やエンタメをターゲットにしつつ、比較的お求めやすい価格帯が魅力の製品ラインだ。
そんなVivobook SシリーズにSnapdragon搭載モデルが登場予定だという。会場にて展示されていたのは14インチのVivobook S14と16インチのVivobook S16で、夏ごろを目指して準備中とのこと。


(1枚目、画像右側がVivobook S14。2枚目はVivobook S16)
この2モデルは共に有機EL搭載かつMIL規格に準拠した製品で、美麗なディスプレイと高い堅牢性が期待できる。先日発表されたモデル「Zenbook SORA」にもよく似た性能になると思われるが、大きな違いは重量で、こちらは14インチモデルで約1.35kgと一般的なモバイルノートの重さになっている。価格を取るか重量を取るかはかなり悩ましいが、いずれにせよ選択肢が増えるのは嬉しい限り。こちらも続報に期待したい。
既に一部は登場済み。RTX50シリーズのゲーミングノートPC
先日にはRTX5060も発表され、拡充の進んだRTX50シリーズのグラフィックス。これらを搭載したゲーミングノートPCももちろん登場予定だ。すでにニュース記事で取り扱っている通り、一部はもう販売中となっているが、こちらも会場ではずらりと勢揃いしていた。
まずは薄型軽量で、ゲームやクリエイティブをどこでも楽しんで貰うことを主題としたROG Zephyrusシリーズ。昨年に一新したデザインは踏襲しつつ、内部は最新性能に生まれ変わっている。日本では5月20日より、RTX 5070 Laptop/RTX 5060 Laptopを搭載したモデルが販売中だ。

お次は勝利のためのパフォーマンスを最大限追求したROG Strixシリーズ。18インチのG18や16インチのG16など比較的大型のディスプレイを搭載しており、携帯性を”運搬も可能”というレベルに抑えることで、高い処理性能とそれを安定して発揮し続けるための高い冷却性能を搭載した製品群だ。
日本ではIntel製CPUを搭載したROG Strix G815というモデルラインと、AMD製CPUを搭載したROG Strix G814という大きく分けて2モデルラインで展開されるようで、共に16インチ・18インチが用意されている。スペックシートを見ただけだとCPU以外ほぼ同じかと思ってしまうが、実はゲームスペックに直接影響のない範囲で差異があり、ROG Strix G815(Intel製CPU搭載)の方ではメモリ交換やSSD交換が簡単にできるなど若干リッチな仕様になっている点に注意。またデザインも異なるため、どちらを選ぶかは好みが出そうだ。いずれも5月20日より予約を受け付けており、発売日は27日となっている。

ちなみに会場では発見できなかったものの、このほかにTUF Gamingブランドのゲーミングノートや、ASUS Gamingという新たな製品も計画されているようで、2025年はこれまで以上にASUS製ゲーミングノートがたくさん登場する年になりそうだ。
ここからは願望込み。日本に来て欲しいASUSの最新製品
さてここまで紹介したのは、ある種日本上陸が内定している製品。この先は会場で見つけた筆者が気になるor是非日本に来て欲しい製品についても紹介していきたい。もちろん未確定のため「日本でも登場したらいいな」くらいの気持ちで見てもらえたら幸いだ。
分割式の75%ゲーミングキーボード「ROG Falcata gaming keyboard」
こちらは既に個別で取り上げているゲーミングキーボード「ROG Falcata gaming keyboard」。
近年流行りのラピッドトリガーに対応した新型の磁気式スイッチを搭載しつつ、さらにホットスワップも出来てしまう他、なんと分割式。そんな特徴てんこ盛りの75%ゲーミングキーボードである。

筆者自身は「このスタイルは流行る」と思っているため、是非日本にも来て欲しい所。またかつては日本に導入するにあたってキーレイアウトの調整などの問題もあったが、昨今のゲーミングキーボードにおいて英字配列のみは比較的普通になりつつあるため参入障壁も低そう。勝手に高い確率で出してくれるのでは…?と期待している製品だ。詳細については下記の記事を参考にして欲しい。

「ASUS TUF Gaming T500」はノートPC用CPU×デスクトップ向けグラフィックスカードなコンパクトモデル。
こちらも個別記事を用意した筆者の個人的注目製品。すでに他社ではノートPC用CPUを搭載したデスクトップPC向けマザーボードなどを出していたり、一部にはノートPC用CPUを魔改造してデスクトップPC向けマザーに搭載できるようにした製品も存在してたりするが、まさかASUSがやってくれるとは…。
「ASUS TUF Gaming T500」はタイトル通り、ノートPC用CPUとデスクトップ向けグラフィックスカードを組み合わせることで、コンパクトかつ高い性能を実現したデスクトップPC。搭載するグラフィックスカードが最大でもRTX 5060Tiのため、ハイエンドとは言い難いもののフルHDがターゲットであれば多くのゲームを快適に遊ぶことが出来るだろう。
もし日本で登場すれば、エントリー層やクリエイター層にとって面白い選択肢になるはず。詳細については個別記事をみて欲しい。


ビジネスノート並みの薄さと軽さを備えたゲーミングノート「ASUS TUF Gaming A14」
「ゲーミングノートの薄型軽量化もここまで来たか!」と思わせてくれたのが、こちらの「ASUS TUF Gaming A14」。RTX5060 Laptopを搭載しつつ、本体厚1.69cm・重量1.46kgという驚きの薄さと軽さを実現した14インチクラスのノートPCだ。

ROG Zephyrusシリーズなども十分薄くて軽かったものの、このTUF Gaming A14は見た目にもさらに一段薄い。LoLをはじめとした伝統的なオンラインゲームや、イラスト制作、フルHD素材などの軽めな映像編集など「グラフィックスパワーは必要だけど、そこまで高性能なモノは必要ない」用途かつ、移動もしたい方ならベストな選択肢になりそうだ。


BTF(Back-To-the-Future)対応のグラフィックスカード&マザーボードも継続
個人的に嬉しいのが、昨年登場した新たな自作PCフォーマット「BTF」にもしっかりと後継製品が登場する点だ。一過性の流行りではなく将来的に標準化されて欲しいと願っていた筆者としては、ひとまず安心である。発表されていたのはグラフィックスカード、マザーボード、それにケースで、写真を見る限り恐らくケースは登場済みのモノが続投になるのだろう。
マザーボードについても順当に新チップセットに対応した形だが、注目して欲しいのがX870とB850の記載が有る点。筆者の記憶では、昨年国内発売されたBTF対応マザーはIntel系チップセットのみだったので、これで国内のAMDユーザーにもBTFの選択肢が生まれる可能性が高い。

また意外な進化があったのがグラフィックスカード。パッと見では単にRTX 50シリーズが登場しただけかと思ってしまうのだが、新たなBTFグラフィックスカードはマザーボードを選ばず、BTF対応ではない製品とも接続可能になったのだ。

フタを開けてみれば仕組みは単純で、BTF対応マザーボードとの接続に使用していた専用のコネクタが取り外し可能になったのだという。言ってしまえばそれだけだが、これは意外と大きな変化だ。
なぜならパーツを買い替える際、一度にすべてを交換することは稀で、実際は交換しやすいパーツや性能に影響が大きいパーツから交換するはず。そんなとき従来のBTF対応グラフィックスカードでは自動的にマザーボードやケースも交換になっていたのに対し、グラフィックスカードだけでも交換可能になったのである。

こうすることで「グラフィックスカードはBTF対応にしたから、次にマザーボードを変えるときもBTF対応にしよう」という意識が生まれ、徐々に市場の自作PCをBTF対応にしていく戦略なのだろう。そうなればもう普及は秒読みのはずだ。
ちなみにPCパーツは比較的そのまま国内に来る傾向が強いので、恐らくBTF対応製品は今年も日本発売が有るに違いない。PCパーツの入れ替えを検討している方は、もう少し待ってみては?
グラフィックスカードにもドックの時代!?「ROG XG Station3」
恐らく国内発売される可能性は低いのだが、個人的にASUSらしさが詰まった製品が発表されていたので紹介させて欲しい。それがこの「ROG XG Station3」である。

それこそ一目見ただけではグラフィックスカードのディスプレイスタンドかな?と思ってしまうが、その正体は外付けGPUボックスに類するモノ。さしずめGPUドックといった所だろうか。
本体上部にPCIeスロットを備えており、そこにグラフィックスカードを装着。ノートPCは「ROG XG Station3」とThunderbolt 5で接続することで、グラフィックスカードのパワーを使うことが出来るようになり、飛躍的に性能が上昇する…といった製品だ。また前述のBTFにも対応しているため、BTF対応のグラフィックスカードと組み合わせれば、上の写真のようにグラフィックスカードをディスプレイしているかのようなスッキリとした見た目で使用することが可能だ。


(グラフィックスカードとの接続部。もちろんケーブルは露出してしまうが、BTF対応製品以外も接続可能だ。)
ちなみに”3”とついている通り、実はROG XG Stationという製品は過去にも販売されており、今回登場したのはその3世代目。初代のモデルは2008年とまだThunderboltの規格すら無かった頃に発表されており、あの頃は各メーカー独自の規格でノートPCと接続していた。それから17年が経ち、当時から現在に至るまで外付けGPUを開発しているメーカーはかなり限られてくることを考えると、非常にASUSらしい製品と言えるだろう。
市場に需要が有るのかは未知数だが、面白いことは確かである。
(筆者はASUSのこういう所が好きだったりする。)
国内にはないASUSのスマートモニター「ASUS ZenScreen Smart monitor」
今のところ予定はないらしいのだが、個人的に気になったのがコチラのスマートモニター。32インチクラスの4Kモニターとなっており、OSにGoogle TVを搭載している。sRGBで99%、DCI-P3も98%と色域の広いIPSパネルを搭載している他、90WのUSB PD(USB Power Delivery)にも対応しているため性能は十分。日本でも発売すればある程度の人気は出そうだが果たして…
現在の国内市場ではLGが盛んに力を入れているジャンルなため、色々と難しい部分もあるかもしれないが、消費者心理的には選択肢が増えるのは嬉しいのでいずれ登場して欲しい。

「ASUS Adol 14 Air Fragrance」は”いい香り”がするノートPC
最後に紹介するのは、日本に来る予定はないと明言されていた製品。ノートPC天面に専用のポットを搭載し、香水などの香りを楽しむことができるという「ASUS Adol 14 Air Fragrance」だ。
すでに海外では販売されており、主に女性ユーザーを中心に人気を集めているという。

このノートPCは、天板部分にマグネットで取り付け可能なポットを搭載しており、内部にあるコットン状のシートに、付属または手持ちの香水を染み込ませることで、ノートPCをアロマディフューザーのように香るアイテムにすることが可能。筆者も実物を体験してみたのだが、Francfrancやアパレル店舗に訪れたかのような香りが漂っていた。



(写真中央のポットが外れ、内部に香水を染み込ませたシートを格納する。)
またファッションブランドであるAnna Suiとのコラボモデルも存在しており、こちらはコーポレートカラーである淡い紫や、モチーフの蝶などの装飾が入った可愛らしいデザイン。さらに付属の香水もAnna Suiコラボモデル専用のモノが用意されるなど、かなり気合の入った製品となっている。
前述の通り国内発売の予定はないとのことだが、こういったデザインはノートPCとしては結構珍しいため、もし出たら案外人気が出るのではないだろうか。


(性能自体はCPUにRyzen AI 9 8945HSを搭載。有機ELディスプレイの搭載などノートPC単体で考えても性能は高い)
COMPUTEX 2025でPC・ガジェットの最前線を見てきた
かなり駆け足ではあったものの、COMPUTEX 2025にてASUSおよびROGのブースで発表された製品から、個人的に気になったモノや国内発売が内定しているモノをまとめて紹介してみた。
正直な所、製品点数があまりに膨大だったため割愛したものも多く、すべてを紹介できず申し訳ない限りだ。それでも主要な所はある程度ピックアップできているはずなので、参考になれば嬉しい限りである。また今後追加で日本向けの情報発信が有るとすれば、ASUS JAPANの公式Xアカウントに動きが有るだろう。気になる方はこちらもフォローして随時チェックしてみて欲しい。
中々見ることができないPC・ガジェットの最前線がわかるCOMPUTEX、このうちどれくらい日本に来てくれるだろうか。
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記事内画像はCOMPUTEX 2025にて撮影。