先日、両国国技館で開催されたCAPCOM CUP 11も大盛り上がりを見せたように、未だ根強い人気…どころか世界規模で人気ジャンルといえる格闘ゲーム。また近年ではストリーマーやYouTuber/VTuberをはじめとした配信活動が盛んなこともあり、そうしたところから興味を持った方も居るかもしれない。
一方で格闘ゲームというジャンルは、それなりに参入障壁が高いゲームジャンルでもある。自分の操作するキャラクターや相手のキャラクターの技や特徴を網羅する必要がある他、技の起こりを見極め対処するには高い動体視力と反射神経が必要。ある意味、一番わかりやすくeスポーツをしているジャンルとも言えるはずだ。プレイしやすくなると聞いて、アーケードコントローラー(以下、アケコン)を検討したものの、結局「どれを選べばいいか分からない」なんて方も多いのではないだろうか。
そこで今回紹介するのが、世界的ゲーミングデバイスブランドRazerから販売されているレバーレスタイプのアケコン「Razer Kitsune」。光学式スイッチによる素早い反応速度と、薄くて軽い、持ち運びやすいデザインが特徴の製品だ。本記事ではストリートファイター6にて、普段マスター帯でしのぎを削っているプレイヤーに試用してもらいインタビューを敢行。その特徴やメリット、逆に向いて無さそうな方など、細かく解説していきたい。2023年9月に発売され、メーカー直販価格は48,880円(税込)だ。
製品概要

Razer
アーケードコントローラー
Razer Kitsune

製品名:Razer Kitsune
直販価格:48,880円(税込)
発売日:2023年9月14日
製品ページ:https://www.razer.com/jp-jp/console-controllers/razer-kitsune
スト6マスターランクが語るアケコンの選び方
今回協力してもらったのは、先にも記載した通りストリートファイター6(以下、スト6)でマスターランクに位置するプレイヤー、hurau氏。ストリートファイターシリーズは5から6にかけて、通算5年ほどプレイしており、それ以外にもLeague of Legendsでの最高ランクはチャレンジャー、VALORANTではダイヤと、オールジャンルでゲームに強い方でもある。スト6では主にベガを使用しており、「比較的簡単なコンボで高い火力を出せるのが魅力」とのことだ。
製品について細かく掘り下げる前に、最初は軽めの質問からお伺いしていこう。
―本日はよろしくお願いします。
まずはアケコン全般ついて、hurauさんの思うアケコンの選び方について教えてください。
hurau:
よろしくお願いします。
アケコンの選び方ですか…個人的に重視しているのは「軽さ」と「大きさ」ですね。
まず前提として、私は机の高さに左右されるのが嫌で、アケコンは机ではなく膝置きにしているんです。そのため、あまり重いと長時間のプレイでは疲れてしまって…また大きさの部分では、私があまり手が大きい方ではないから、というのも有ります。

―なるほど。確かにレバータイプのアケコンって箱型で多少重そうな印象もあります。
hurau:
そうですね、ただそれぞれメリット・デメリットが有りまして
レバータイプの場合(レバーレスと比べて)重くて大きい反面、膝置きや入力は安定しやすいんです。またボタンやレバーの交換に対応するものも多く、掃除などを含めメンテナンスがしやすい印象です。
一方レバーレスの場合、基本的に薄くて軽い製品が多いので持ち運びには便利ですね。またコマンド入力が早かったり、歩きガードなどもしやすいです。ただ左手に関してはレバータイプより疲れるかもしれません。
ただ一番は「自分にあっているか」だと思います。私の場合、自分に合わないデバイスを使っていると、それが気になってゲームに集中できなくなってしまうので。


まとめると、安定感とカスタマイズ・メンテナンス性のレバータイプ。軽さと操作性のレバーレスといったところか。実際、軽さと大きさ重視のhurau氏は、普段からレバーレスを使用しているとのこと。以降では普段使用しているアケコンとも比較しつつ、「Razer Kitsune」についても掘り下げていこう。
薄くて軽いのに膝置きでも安定。「Razer Kitsune」の魅力
hurau氏の好みが分かったことで、既になんとなく相性が良さそうな雰囲気が出てきた「Razer Kitsune」だが、実際はどうだったのだろうか。以降ではデザイン、操作性、そして向ている方・向いていない方について、hurau氏の感想をヒアリングしてみたい。
背面のグリップで膝置きが安定。ケーブルロックも有って大会向き
―それでは、「Razer Kitsune」についてお伺いしていきたいのですが
率直に、使ってみていかがでしたか?
hurau:
最初に感じたのは、アケコンの中だと結構小さめだなと。デザインはアルミ製のシンプルな外観で、高級感があってカッコいいですね。

また個人的には軽さが良いです。 膝に置いても全然重さを感じないくらい軽くて。あと「Razer Kitsune」のような薄型レバーレスだと膝置きが安定しないこともあるんですけど、裏面が滑り止めのグリップになっているのでそんなことも無く。これだけ薄くて軽いのに、嬉しい誤算でした。


―(ご依頼したコチラとしても)それは良かったです!
ちなみにケーブル抜けを防止する、内蔵ロックが搭載されていますがコレはメリットを感じるのでしょうか。
hurau:
必要な機能だと思います。
大会などの試合中は、基本的にゲームを中断する行為はすべて負けになってしまうんですよ。当然ケーブル抜けも対象になるので、これがあるだけで安心してゲームができます。もちろん普段のプレイ中にも抜ける心配が無いのでありがたいです。
先ほど言った通り、薄くて軽いので簡単にカバンに入りますし、大会などオフラインで持ち運びをする方にオススメできると思います。


ボタン配置はちょっと広め。でも慣れれば逆にメリットに
―先ほど手があまり大きく無い、という話がありましたが「Razer Kitsune」は少しボタン配置が広いようです。その辺り大丈夫でしたか。
hurau:
確かに慣れは必要でした(笑)。
ただ逆に、慣れてしまえばボタンが広いことで間違って触れてしまうことが無くて良いと思います。


また配置がベーシックなので、使いやすいです。 押し心地としては「少し重いかな?」と感じましたが押していて気持ちいいと思います。キーボードを打っている時の感覚に近いですね。ちなみに優しく押すとほとんど音がしないぐらい静かでした。強く押してもあまり気にならないレベルの音だと思います。

―おっしゃる通り配置はベーシックですが、いつかサブボタンも有るようです。この辺りは役立つポイントは有りますか。
hurau:
一番はトレーニングモードでしょうね。
トレーニングモードは、特定の状況を保存してその時の最適解を見つけたりコンボの反復練習などに使う機能で、試合の反省点を改善したり、新しくできる事を増やしたり、この状況でフレームどうなってるんだろうって検証したりすることができます。
その際必須になるレコード機能が近くに配置され、押しやすいのでとても嬉しいです。ボタンが結構近いのでL3R3どちらかにドライブパリィなどを入れても面白いかなと思いました。
また不要なボタンを無効にするロックスイッチがあるため、スタートボタンなどを無効にできるのも良いですね。ケーブルの話と同じく、大会中スタートボタンを押してゲームを止めてしまうと負け扱いになってしまうのでありがたい機能だと思います。


クリエイトボタン:リセット(キャラクターの配置や各ゲージを元に戻す) オプションボタン:設定を開く※画像1枚目
R3ボタン:レコード開始・終了 L3ボタン:再生※画像2枚目
後の先が取りやすい。咄嗟の操作に強いオプティカルスイッチ
―ちなみにボタン部分の大きな特徴として、アクチュエーション距離の短いオプティカルスイッチの採用が挙げられます。入力の速さは体感できましたか?
hurau:
底打ちせずにちょっと圧力を加えただけでも反応してくれるため、従来のアケコンを使っている時より、ボタンが反応するのが早いなと感じましたね。
特に、咄嗟にドライブインパクトを撃たれたときのドライブインパクト返しが瞬時にボタンを押さないといけないのでわかりやすかったです。

ここで少しだけスト6をプレイしていない方向けの解説を交えると、ドライブインパクト返しとは、敵のドライブインパクト(ゲージ消費で行う強行動)に対して発生から26Fの間に、何かしらを対抗手段をとることを指す。
一例としては下記のような形だ。
ドライブインパクトに、ドライブインパクトで返す例(クラシックであれば強P+強K)
ドライブインパクトに、スーパーアーツ(SA)で返す例(今回はニープレスナイトメアなので、↓↘︎→↓↘︎→ + P)
動画のように画面端のシチュエーションであれば、基本的にガードの選択肢が取りづらいため、何かしらインパクト返しを狙うシチュエーションが多いだろう。こうした際に優位性を感じたようだ。
ボタン数やカスタマイズ性を求める方には不向き
―ありがとうございます。
それではココまで主にメリットになりそうな部分をお伺いしてきましたが
逆にデメリットや「こんな人には向いていないかも」といった点が有れば教えてください。
hurau:
そうですね、まずデメリットになりそうな点としてはボタン数だと思います。
現在スト6の公式ルールでは、移動以外の攻撃行動として最大11ボタンまでの割り当てが可能です。
ただ「Razer Kitsune」の場合はボタン数が多い方では無いので、そこがネックになるかもしれません。もちろんシンプルなので分かりやすいってメリットも有りますが。


hurau:
あと、これはレバーレスにある程度共通する部分なんですが、カスタマイズやメンテナンスを重視する方は向いてないかと。アケコンによってはボタンやスイッチのカスタマイズができる製品や、天板のデザインなどが豊富な製品もあるので、そこは気になる方も出てきそうです。
デフォルトのボタンがしっかりしていて耐久性もありそうなので私は気になりませんが、より自分好みにしていきたいって方も結構居るので…
―ボタンの感覚なども含め、標準の「Razer Kitsune」が気に入ればって感じなんですね。
「Razer Kitsune」はこれから始めるPCゲーマーや遠征の多いプレイヤーにオススメ
総合すると、「Razer Kitsune」はhurau氏の好みに比較的マッチする製品だったようだ。当初ネガティブな印象になるかと思われたキー配置の距離も蓋を開ければ好印象で、背面に備えたグリップは膝置きでも活躍することが分かった。また、薄くて軽い筐体デザインと、反応の良いオプティカルスイッチはマスター帯のプレイヤーにとっても十分メリットとして映る様子。
―最後に、アケコン選びで迷っている方に、「Razer Kitsune」を勧めるならどんな点を推しますか?
hurau:
ボタンを押す感覚がキーボードにかなり近いと思うので、PCゲーマーがこれから格ゲーを始めるってときに特にオススメだと思いました。
また小さくてとても軽いので重いアケコン苦手な人だったり、よく遠征する人なんかにいいと思います。
上記の通りすべてのプレイヤーにマッチする製品というよりも、特定のプレイヤーには大きなメリットを提供できる製品と考えると良さそうだ。
薄くて軽く、そして膝上でも操作性の良いレバーレスをお探しの方、「Razer Kitsune」がベストマッチかもしれませんよ?
ギャラリー


















Razer
アーケードコントローラー
Razer Kitsune
