昨今のワイヤレスイヤホンは進化が凄まじく、2万円以下だとしても侮れない製品が増えてきた。特にノイズキャンセリングに関して目を見張る製品が多く、もはや高価な製品じゃなくても満足できる印象だ。そんな2万円以下のワイヤレスイヤホンとして、満足度の高いノイズキャンセリング性能と音質を持った製品がAnkerから登場。その名も「Soundcore Liberty 4 Pro」だ。
本製品はAnker主催のプレスイベント「Anker Power Conference 2024 Fall」へ取材に行き、その来場者特典として実機を頂いた上でのレビューだ。筆者が1週間ほど使ってみた感想をまとめたので、前モデル「Liberty 4」と比較しつつ違いやメリットとデメリットを紹介していこう。
製品概要
Anker
Soundcore
Soundcore Liberty 4 Pro
ミッドナイトブラック
製品名:Soundcore Liberty 4 Pro
カラー:ミッドナイトブラック、パールホワイト、スカイブルー、ディープグリーン
発売日:2024年10月3日
価格:19,990円(税込)
Liberty 4 ProとLiberty 4の違い
大きな違いは音質、ノイズキャンセリング、充電ケースの仕様だろう。ドライバーが「A.C.A.A 3.0」から「A.C.A.A 4.0」へ変更され、より精密な音表現が可能になった。そして「ウルトラノイズキャンセリング 2.0」から「ウルトラノイズキャンセリング 3.5」へ進化し、さらに強力なノイズカットを実現。
それだけでなく充電ケース内にスクリーンを搭載し、バッテリー状況の確認、ノイズキャンセリングと外音取り込みの切り替えなどに対応した。今まではアプリからノイズキャンセリングの強度を変更できたが、今回はケースからも操作できるのが便利なポイントだ。
また、バッテリー性能もパワーアップ。Liberty 4はイヤホン単体で最大9時間のところ、Liberty 4 Proはイヤホン単体で最大10時間も使えるようにった。そしてケース込みなら最大28時間だったところ、最大40時間も使えるほどに進化。より普段使いしやすくなったと言えるだろう。
ちなみにLiberty 4にはあったヘルスケア機能だが、Liberty 4 Proには搭載されていない。Liberty 4 NCもヘルスケア機能が削られていたようなので、Liberty 4 Proで復活すると思ったがそんなことはなかった。
Liberty 4 Proの良いところ
より繊細でバランスの良い音質へ進化
じっくりと聴いてみて分かったが、Liberty 4 Proは全体的にバランスを保った音作りになっている印象だ。Liberty 4は高音が伸びやかだった反面、女性ボーカルやサ行の刺さりなど、聴いていて疲れる部分もあった。しかしLiberty 4 Proでは高音の刺さりは緩和されており、低音もよりパワフルになった印象だ。
しかしLiberty 4のようなドンシャリサウンドが好きな人にとっては、Liberty 4 Proはマイルドすぎて物足りないと感じるかもしれない。特に中音が少し遠めに位置しているので、ボーカルの音に張りを感じづらい気がする。
とはいえ、そんな時はイコライザーの出番だ。専用アプリからイコライザー設定をし、中音と高音を少し強調させた。おかげでボーカルのメリハリが良くなり、個人的に好みなサウンドへ変化。イコライザー設定で違和感のある音になるかと思ったが、意外と問題なさそうだ。
何も設定していないとデフォルト状態なので、味変をしたい人はアプリからカスタマイズしてみるといい。あらかじめ設定されたプリセットや、アプリ上でイコライザーを最適化してくれる「Hear ID」機能もある。イコライザー設定がよく分からないという人は、Hear IDで設定すれば簡単に自分好みのサウンドへカスタマイズできるのでおすすめだ。
ノイズキャンセリング性能が素晴らしすぎる
Liberty 4と比べても、Liberty 4 Proの方が明らかにノイズキャンセリング性能は進化している。特に低音域のノイズカット性能がパワーアップしており、空気清浄機の音や電車の走行音などほとんど気にならないレベルだ。中音域はLiberty 4と同様にカットしきれていないが、Liberty 4 Proの方がわずかに静寂さを感じられる。
また、ANCの強度は5段階に調整できるほか、飛行機モードも搭載。気圧に合わせてノイズキャンセリングを調整できるため、飛行機用のワイヤレスイヤホンとして活躍しそうだ。
正直のところLiberty 4を使っていた時はノイズキャンセリング性能が物足りないと思っていたので、Liberty 4 Proは満足度の高いノイズキャンセリングと言える。これで2万円以下なら文句はないだろう。
外音取り込みはLiberty 4よりも自然になった
Liberty 4の外音取り込みは低音がこもっているからか、とても不自然な感じがした。しかしLiberty 4 Proではそれが改善され、不快感がなくなったようだ。
また、アプリかケースで外音取り込みのレベルを1~5まで変更でき、レベル1にすれば車の走行音や人の話し声を聞き取りやすくなる。機種によっては外音取り込みの強度を調整できないものもあるので、Liberty 4 Proの使い勝手は優秀だ。
ケース内スクリーンが地味に便利
新たな要素として追加されたケース内スクリーン。初見ではあまり使わないだろうと甘く見ていたが、これがなかなか便利だ。
スマホのアプリを開かずとも、ノイズキャンセリングと外音取り込みの強度を調整できるのがポイント。ケースにくぼんでいる箇所があり、そこがタッチセンサーとなっている。タッチセンサーを右にスワイプさせてノイズキャンセリング、左にスワイプして外音取り込みという調整が可能。
Liberty 4ではイヤホン本体の操作でノイズキャンセリングと外音取り込みの切り替えはできるが、強度の変更まではできなかった。細かいところまで調整できるようになり、より使い勝手が向上したのはメリットだ。
また本体のバッテリー残量も確認できるため、充電のタイミングが分かりやすいのも便利。
他にも便利な機能として、3Dオーディオやイヤホンを探すといった機能もスクリーンで操作できる。デフォルトではANC切り替えのみだが、アプリの設定から変更可能。
中でもユニークな機能がリモートシャッターだ。Liberty 4 Pro自体がスマートフォンカメラのリモコンとして機能するため、遠隔でシャッターを切れる。実際に使う場面は少なそうだが、人によっては役立つ機能と言えるだろう。ただし対応していないスマートフォンもあるようなので注意が必要だ。少なくともiPhoneなら対応している模様。
イヤホンの操作性が快適になった
イヤホン本体の操作が感圧式なところは相変わらず。指でつまみながらカチカチと操作し、音楽の再生や停止ができる。
それだけでなくLiberty 4 Proではスワイプセンサーも搭載。本体カラーがブラックだと少し見づらいかもしれないが、薄っすらとくぼんでいる部分がある。そこを上方向にスワイプすれば音量を上げ、下にスワイプすれば音量を下げられるようになった。スマホを取り出さずとも音量調整できるのはありがたい。イヤホン本体だけでだいたい程度の操作が可能なのは非常に便利だ。
Liberty 4 Proの微妙なところ
イヤーピースが安っぽくなっている
Proモデルとは言いつつ、なぜかイヤーピースがLiberty 4より安っぽくなってしまった。Liberty 4のイヤーピースは独自の2層構造を採用し、着け心地も優れている。対してLiberty 4 Proはこれといって特徴がなく、一般的なイヤーピースといった感じ。着け心地も普通なので、付属イヤーピースの質が落ちているのは残念だ。
しかし別売りのイヤーピースに着け替えれば改善できる。筆者の場合、AZLAの「SednaEarfit Max」にすることで装着感と清潔感が向上。さらに高音の質も少しだけ上がったので、AZLAのイヤーピースはおすすめだ。
AZLA
SednaEarfit MAX Mサイズ2ペア
LDACと3Dオーディオの併用はできない
Liberty 4ではLDACと3Dオーディオの併用ができたが、今作は非対応となっている。そもそも筆者は3Dオーディオは使わない派なので気にならないが、人によってはデメリットとなるだろう。
ちなみにLDACにするとマルチポイントも使えなくなるので、なにかとデメリットが多い。LDACじゃない場合はAAC接続となるが、筆者的に音質の違いはあまり感じられなかったので、LDACはOFFにしても大丈夫そうだ。
質の高いノイキャンと音質を求める方におすすめ
2万円以下でノイズキャンセリングや音質の質を求める方ならLiberty 4 Proを強くおすすめする。約2万円以下としては珍しいケース内スクリーンやスワイプセンサーの搭載など、機能性も抜群だ。既にLiberty 4を持っている人でも、高音の刺さりやノイズキャンセリング性能に不満を感じているなら、買い替えを検討する価値はあるだろう。
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