「ノートPCの性能は低い」そんな固定観念に囚われている方はいないだろうか。近年ではCPU・GPUともに進化が目覚ましく、それによりノートPCも高性能化の一途を辿っている。数年前であればデスクトップPCでしかできなかったことが、ノートPCでもサクサクできてしまうのが”今”なのだ。
本記事ではそんな最新のノートPCの中でも、さらにハイエンド寄りの新製品「ASUS ROG Zephyrus G16(2024)」を発売前にレビューする機会を得たので紹介していきたいと思う。薄型かつ軽量な新デザインのボディに秘められた、圧倒的ハイスペックを少しでも感じてもらえれば幸いだ。
またonesuiteでは、合わせて発売されるROG Zephyrusの14型モデル「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」についてもレビューを行っているので、気になる方はこちらもチェックしてもらいたい。
ASUS
ROG
ROG Zephyrus G16(2024)
GU605MI-U9R4070G
「ASUS ROG Zephyrus G16(2024)」は薄型・軽量ボディに16型の大画面を備えたハイスペックなゲーミングノートPC
さて例によって、細部の紹介に入る前に製品の概要について確認しよう。
「ASUS ROG Zephyrus G16(2024)」は、ASUS社がこれまでも販売していた「ROG Zephyrus」シリーズの最新モデルにあたるゲーミングノートPCだ。
シリーズを通して薄型かつ持ち運びやすい製品で、本記事で紹介する2024年モデルはデザインを一新し更なる薄型化と軽量化を果たしていることが特徴。加えてCPUには「インテル® Core™ Ultra 9 プロセッサー 185H」もしくは「インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 155H」を搭載し、GPUには「NVIDIA® GeForce RTX™ 4080 / 4070 / 4060 Laptop GPU」のいずれかを搭載するなど高いスペックを持つ。さらにノートPCの中では大画面かつ高性能な16型のディスプレイを搭載した機体のため、CGや映像制作、写真編集などクリエイティブな作業にもオススメ。
自宅での作業やゲームプレイをメインとしつつも、必要に応じて持ち出せるワークステーションに近い位置付けの製品だ。
ノートPC一台でクリエイティブもゲームも叶える16型のディスプレイ
「ASUS ROG Zephyrus G16(2024)」の概要を掴んだところで、まずは本製品の大きな特徴でもありG14との差別化ポイントでもあるPC本体に搭載された16型のディスプレイについて触れていきたい。
「ASUS ROG Zephyrus G16(2024)」では製品のスペックにあわせ、OLEDパネルと通常の液晶パネルの2種類が用意されている。
「インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 155H」と「NVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Laptop GPU」を搭載したモデル「GU605MV-U7R4060GS」のみ液晶パネルで、そのほかのモデルはOLEDパネルだ。
パネル種類の違いはあれど、どちらも解像度は2560 x 1600 pxとなっており、ゲーミングノートPCらしく240Hzの高いリフレッシュレートを持つ。OLEDパネルを搭載したモデルなら、ここにDCI-P3 100%の広色域と最大500nitの輝度が性能として加わる形になる。
16型の広い画面とWQHDに近い解像度のため、スケーリング100%でも極端に視認性が落ちることは無く、そしてこの解像度であれば240FPSも狙いやすい。さらにDCI-P3 100%の色域があれば、映像や写真といった”色”が重要なクリエイティブ領域であっても使えるため、外部モニターを使わずノートPC一台で全てを済ませたい方であればG16を選択すると良いだろう。
ハイスペックなのに持ち出しやすい薄型軽量の新デザイン
お次は新しくなった筐体デザインを見ていこう。ちなみに「ASUS ROG Zephyrus G16(2024)」には2種類のカラーが用意されており、プラチナホワイト / エクリプスグレーという名称だ。今回記事内ではエクリプスグレーを使用している。
艶消しグレーの筐体はブラックに近い濃いめのシックな色合いで、強い光が当たると鈍くシルバーに輝く。この色の変化がカラー名であるエクリプス(蝕)の由来だろうか。オシャレな雰囲気のプラチナホワイトも捨て難いが、筆者個人としてはエクリプスグレーはかなり好きなカラーリングだ。
以降では外観から得られる情報を元に特徴を列挙していくが、「ASUS ROG Zephyrus G16(2024)」の特徴はその大部分が兄弟機でもあるG14と共通のモノとなっている。そのため既にそちらのレビュー記事を読んでいる方については、適度に飛ばしつつ読み進めてほしい。
雰囲気を引き締める天板に引かれた「SLASH LIGHITING(スラッシュライティング)」
デザインにおける大きな目玉として、天板を斜めに切る”\”型のイルミネーション「SLASH LIGHITING(スラッシュライティング)」が登場した。発光していない状態では、いわゆる”ゲーミング”感がほとんどないスタイリッシュなデザインで、オフィスやカフェなどで使用しても違和感なく溶け込めるだろう。
またこの「SLASH LIGHITING」によるイルミネーションはいくつかのパターンから選ぶことができ、ROG製品お馴染みのコントロールソフト「Armoury Crate」から設定可能だ。
各発光パターンはテーマとしてまとまっており、テーマ固有の3つの発光パターン×5テーマ、ここに加えて「ソニックマッチ」と「ダーク(発光オフ)」の2種類を加えた計17パターンが用意されていた。筆者が気に入ったのは上記の「ソニックマッチ」を選択した時で、PCから流れている音声をベースに明滅するようになるため、プレイしているゲームや流している音楽などで変化するので飽きがこない。例えばPCで音楽流しながら、何か別の作業をするシーンなどでマッチしそうだ。
厚さ約1.5cm重量は最大約1.95kg!スリムな筐体でハイスペックを実現した新型ボディ
筐体デザインにおけるもう一つ大きなトピックスとしては、「インテル® Core™ Ultra 9 プロセッサー 185H」「NVIDIA® GeForce RTX™ 4080 Laptop GPU」を搭載可能にもかかわらず、圧倒的な薄さと軽さを実現していることだ。「ASUS ROG Zephyrus G16(2024)」の薄さは最薄部が約14.95mmと驚異の15mm切りであり、最厚部でも約16.43mm※とこのクラスの性能を持ったゲーミングノートPCとしてはトップクラスの薄さに仕上がっている。その上重量も約1.85kg※に抑えられているため、16型の大画面を搭載しつつも、気軽に持ち出すことができるサイズ感と重量だ。
※CPU・GPU・本体ディスプレイのパネル構成によって最大厚と重量は若干異なる。記載のスペックは今回使用した「GU605MI-U9R4070G」のモノ。
特に薄型化においては、本体ディスプレイにOLEDパネルを採用したことが大きいはずだ。そのことはスペックシートからも読み取ることができ、液晶パネルを搭載したモデルが最も厚くなっていることからまず間違いないだろう。
OLEDパネルの詳しい特徴については割愛するが、従来の液晶に比べ物理的な構造が単純化するため、パネル自体を非常に薄く作ることができるというメリットがある。そのため本機のディスプレイ部はかなり薄く、筆者も初めて見た際は大いに驚かされた。
底面から垣間見える安定稼働を実現するための冷却機構
ハイスペックをスリムな筐体で実現するには、冷却機構も高性能でなければならない。その冷却能力を担保するために背面の大部分には冷却用のスリットが設けられ、いかにも風通しが良さそうな作りになっている。各スリットからはうっすらと内部の基盤や冷却システムを見ることができ、メカ好きにはたまらないデザインだ。
そんな底面から見えていたPCの内側には「Tri Fan テクノロジー」と呼ばれる3つのFANで構成された冷却ユニットが用意され、CPU・GPUの発熱をヒートパイプに移した後、そのヒートパイプを底面から取り入れた外気で冷却する仕組みになっている。
またこの「Tri Fan テクノロジー」が使用されているのは「NVIDIA® GeForce RTX™ 4070 / 4060 Laptop GPU」を搭載したモデルであり、「NVIDIA® GeForce RTX™ 4080 Laptop GPU」を搭載したモデルでは155個のフィンを搭載したベイパーチャンバーと「第二世代Arc Flow FAN」を使用したものに変わる。GPUの発熱量に合わせ、一つの製品群に対し複数の冷却機構を設計してくるあたり、冷却に強いこだわりを持つASUS社らしい特徴と言えるだろう。
用途に合わせた充実のポート数で周辺機器との接続性も抜群
「ASUS ROG Zephyrus G16(2024)」は薄くて軽い製品ではあるものの、豊富なポートが用意されていることも魅力の一つだ。ターゲットとする用途に合わせて適切なポートの種類や数、なんなら配置までこだわって設計されているため詳しく見ていきたい。
まずは画面向かって左側面。当然のように備えられたHDMIに、映像・電力・データ転送を1ポートで実現するThunderbolt4、マウスやキーボードに使いやすいUSB Type-Aが見て取れる。HDMIは4K120Hzも可能なHDMI 2.1に対応するため、高リフレッシュレートなモニターとの接続もバッチリ。USB Type-Cでの接続が可能かつハブやUSB PD機能があるモニターを使っている方であれば、ケーブル1本の接続でよりフランクにPCとモニターをつなげることができるだろう。
続いて右側面。こちらにはSDカードリーダーとUSB Type-A、映像と充電に対応したUSB Type-Cを備えている。カードリーダーはUHS-IIに対応する高速なもので、これは本機のターゲットにクリエイターが含まれているためだろう。また右側面についているUSB Type-CはThunderboltでこそないものの、映像出力・PC本体への充電にも対応。
特にクリエイター向けで考えた場合には複数の外部モニターを使用するシーンは多く、左右どちらでも映像出力と充電に対応することで設置場所の自由度が大きく向上する。たとえデータ転送に絞って考えたとしても、比較的高速なUSB 3.2 Gen2に対応しているため、外付けSSDなどの接続に困ることもなさそうだ。
また比較的抜き差しの多いSDカードリーダーやUSB Type-A / Type-Cが右サイドに一つずつ用意されているのは、おそらく世界的に見て右利き人口が多いためであろう。頻繁にアクセスするポートはなるべく利き手側にあった方が都合がいい。
それを踏まえて考えれば、左側のポートはマウスやモニターといった常時使用するデバイス用、右側は映像編集などの特定のクリエイティブなシーンで使うデバイス用、という見方もできそうだ。