「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」の性能をゲーム、映像編集をしてチェック
さてここからは多くの読者が気になっているであろう、「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」の性能を実際にゲームや映像編集にトライしつつ紐解いていこうと思う。今回検証に使用した機体のスペックは下記の通りだ。
今回使用したASUS ROG Zephyrus G14(2024)のスペック
正式型番:GA403UI-R9R4070W
OS:Windows 11 23H2
CPU:AMD Ryzen™ 9 8945HS
GPU:NVIDIA® GeForce RTX™ 4070 Laptop
GPU / 8GB (最大90W)
RAM:32GB
ROM:1TB
CPU、GPUともに最新世代のものであり、RAM(メモリ)も32GBと十分。嬉しいことに以前ニュース記事を出した際に予想した構成が、CPU型番まで的中した形である。
正直なところ、設定さえうまく選べばほぼプレイできないゲームはなく、映像編集も問題ないと言っていいレベル。なので今回はあえて上に振って「最新ゲームを最高設定でどこまで楽しめるか」や「高解像度のカット編やエンコード、モーショングラフィックスの作成がどこまで快適にできるか」が焦点になりそうだ。
セガ(SEGA)の人気シリーズ最新作「龍が如く8」を実際にプレイ
まずはメインの用途でもあるゲームからプレイしていこう。今回はセガ社の大人気シリーズ最新作「龍が如く8」をチョイスさせてもらった。
「龍が如く8」は年明けにリリースされたばかりの最新タイトルであり、シリーズで初めてメインマップに海外であるハワイが登場するという。マップ自体が広大かつ美麗に作られていることもあって、いかにも描画負荷が高そうだ。加えて戦闘シーンもよりド派手なものとなり、各種エフェクトやカットインなども発生することから、最高設定で快適に遊ぶには高いPCスペックが要求されることだろう。
当然「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」であれば推奨スペックは余裕でクリアしているが、実際に設定を上げていけば推奨スペックでも物足りなくなるゲームタイトルは多い。今回のテストはそれを踏まえての実験だ。
「龍が如く8」動作テスト用の設定とテスト内容
PC側:GPUモードを「Ultimate」にし、ディスプレイを本体パネルの最大解像度に設定。PC全体の設定としては電源接続時は「Turbo」を使用し、バッテリー駆動時は「パフォーマンス」を使用する。
ゲーム側:垂直同期を切った上でリフレッシュレートは120Hz、画質設定を「最高」に設定。解像度はPC側と同じくパネルの最大解像度とした。
テスト内容① 動作の快適性
NEW GAMEの状態から初め、第一章「白日」をプレイしながら検証を進めていく。 開始直後のムービー・イベントパート終了後、自機である「春日一番」が操作可能になったタイミングから記録を開始。その後イベントパートをスキップしながらストーリーを進め、ホームレス村の村長との会話までを区切りとし、その間の平均FPSを計測する。
テスト内容② バッテリー持続時間
記録開始タイミングはテスト内容①と同様。その後イベントパートなどはスキップせず、1時間経過後のバッテリー残量を計測する。
進め方の都合上まずはテスト内容②から行ったのだが、この時点でどうやら最高画質設定では難しそうな気配が出てきた。
というのも筆者自身、お恥ずかしながら今回初めて「龍が如く」シリーズをプレイして知ったこととして、この作品はリアルタイムでレンダリングされているイベントパートと、事前にエンコード済みのシーンを映像として流すムービーパートの境目が一見してわからないほどグラフィックが高品質。右上に表示させていたフレームレートを見なければ気づけないレベルでシームレスにムービーからイベントに移行していく。
これを最高品質設定+「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」のパネル解像度(2880 x 1800 px)で実行するのは相当な高負荷だ…
それも踏まえ急遽動作の快適性については、別途平均して60FPSを狙える設定も用意することにした。
「龍が如く8」を最高設定&平均60FPS設定でプレイ
最高設定での平均FPS
まずは最高設定から。テスト中に右上に表示させていたフレームレートはあまり芳しくない数値が出ているものの、実際のゲームプレイにおいてはほとんど影響を感じない。振り向きやフィールド移動も軽快で、唯一感じられるのは、戦闘中のジャストガードだろうか。筆者自身の”腕”もあるだろうが、タイミングを合わせたつもりでも失敗判定になることが多いと感じた。
結果として一連の検証を終えて出た数値は、平均 53FPS ・10%タイル値※ 40.75FPSだった。
先にも記載した通り、これはおそらくグラフィック品質と解像度が主な要因となりGPUパワーの限界を超えていると思われる。このことは下記に示した検証中のGPU使用率とGPU温度の推移からも明らかだ。
※この10%タイル値というのは、計測時間中のフレームレートを下から順に並べた際の下位10%と上位90%の境目にあたる数値。簡単に言えばこの計測中、10秒のうち9秒が40.75FPSを超えていたことを示している。
グラフを見る限りGPUはほとんどの時間、そのパワーを最大限発揮しており、途中下落している瞬間はムービーが差し込まれているシーン。温度変化と見比べてみても熱による性能低下なども発生しておらず、「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」の冷却機構が十分に働いていたのは間違いない。それでもこの美麗さと解像度を保ったまま最新ゲームを動かすのは厳しかったということだろう。
解像度をWQHDに設定した際の平均FPS
上記の結果から、グラフィック品質もしくは解像度を落とせば、十分60FPS超えが狙えそうな手応えを掴んだ筆者。品質はあえて「最高」設定から変えず、PC側・ゲーム側ともに設定解像度をWQHDにして再挑戦を行なった。
するとどうだろう、グラフィック品質は保ったままでもWQHD解像度なら、平均 69FPS・10%タイル値 53.15FPSをマークすることができた。
現在多くのゲーマーが使用している外部モニターは、おそらくWQHDのはず。であればこの解像度かつ最高品質設定で平均60FPS以上をマークできれば十分なスペックと言えるだろう。「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」の持つ解像度をフルに活かせないのは多少残念ではあるものの、そもそも本機は14型としては珍しいWQHDを上回る高解像度パネルを使用しているため、普段からスケーリング100%で使用することは考えにくい。そのことを踏まえれば、いっそ常に解像度を落として使用するのも手の一つかもしれない。
「龍が如く8」を最高設定でプレイしてバッテリー持続時間を検証
先ほどで記載した検証設定(グラフィック品質 最高)を使用してバッテリー持続時間の検証を実施。また「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」はバッテリー駆動時のため「パフォーマンス」設定を使用し、ディスプレイ輝度は75、PCのスピーカーを使い音量20でプレイした。
その結果バッテリー100%から1時間ほどプレイした結果、バッテリー残量は8%となった。
一見バッテリー持ちが悪いようにも思えるが、これは計算上妥当な数値だ。本機に搭載されているCPU+GPUのTDP(Thermal Design Power)は合計して約135W※で、搭載されたバッテリーは74Wh。仮に135Wを常に維持した場合はバッテリーが1時間も持たないはずだ。それでも1時間持たせたということは、PCがうまくバッテリーを使ったことの証左だろう。
もちろんゲーム側の設定を調整したり、輝度や解像度の設定などでもう少し伸ばすことはできると思うが、腰を据えてゲームをするのであれば電源ケーブルは持ち歩くことをオススメしよう。
※CPUのTDPはスペックシートで記載がないため、CPU側の標準TDPにて計算
AdobeのPremiere Proを使用して映像制作用途でテスト
さてお次はクリエイティブ領域のテストとして、映像編集では定番の「Adobe Premiere Pro」を使用し実際に映像を作成した際のプロジェクトデータを触りながら、動作を確認していこうと思う。
「なんでゲーマー向け製品でクリエイター向けの検証を?」と思う方が居るかもしれないが、実のところゲーマーが使用するPCとクリエイターが使用するPCは、現在本質的には非常に近しい立ち位置にある。特に「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」はDCI-P3 100%のOLEDパネルを搭載し、NVIDIAがクリエイター向けPCとして認定した証でもある「NVIDIA Studio」を取得していることを考えれば、半分ぐらいはクリエイター向けPCと言ってしまっても過言では無いだろう。
ならばこちらもクリエイター向けの検証をしなければ無作法というもの…
とはいえROG製品であること確かなので、今回は簡単に以下のような形で確認した。
「Adobe Premiere Pro」で4K素材の編集にトライ
記事冒頭にもあった通り、onesuiteではレビューやイベントなどの映像制作も行っている。そのため今回のテストでは記事用に撮影した映像のプロジェクトデータを使用し、社内の映像チームの力も借りつつ実際の映像編集用途での使用感を確認している。
今回使用したプロジェクトデータの概要
データ①
今回の記事用に撮影した映像のプロジェクトデータ。各動画素材は4K 120p H.264 / MP4 10bit 4:2:2で撮影されている。プロジェクト全体では約60GBと重めのデータだ。
データ②
別記事にて使用した縦型動画用のプロジェクトデータ。こちらは各素材4K 24p H.264 / MP4 10bit 4:2:2で撮影され、データ①との違いはフレームレートが主となっている。
はじめにデータ①を使用して編集作業にトライしてみた。ソフトそのものの動作は比較的軽快で、極端な引っ掛かりを感じる瞬間はあまりない。手ぶれ補正を行うワープスタビライザーなどを使用しても一瞬で処理が完了するなど、本機の性能がしっかりと発揮されていた。
一方でプレビュー画面については再生がおぼつかず、定期的なレンダリングが必要であった。これには2つ原因が考えられ、一つは元素材のフレームレートが120pと”重い”こと、もう一つはPremiere側の問題で4K H.264 10bit 4:2:2はGPU(RTX)による支援が受けられないらしいということだろう。
この”らしい”という部分については、公式のドキュメントではないため明言は避けるが、実際動作をさせていた際にもGPU利用率は高くても5%程度とほとんど使用されておらず、CPUパワーのみでプレビューを走らせている状況だった。しかしながらデータ②の24pでは比較的滑らかに再生できており、本機のCPUスペックとそれを引き出す筐体の完成度に驚かされる。
逆を言えばPremiere側の対応が進めばデータ①のような重いデータであっても、本機のGPUスペックを使用できるということであり、これについてはASUS社側というよりは、Adobe社およびNVIDIA社のアップデートに期待したい。また実際の使用シーンでは対応状況の良いH.264あるいはH.265の8bit 4:2:0を使用し撮影を行うことで、GPUの支援が受けられより快適に作業を進めることができるだろう。
「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」は高い冷却能力で安定稼働する持ち歩き可能な万能ノートPC
最後にここまでのテストを通してわかった本製品のASUS製品らしい特性を紹介して、この記事のまとめとさせていただきたい。
それは「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」の持つ、高い冷却能力である。この製品、ゲームのテスト時にも触れたように、とにかく本体を冷やしつつ性能を使い切るのが上手いのだ。
実はこの部分が疎かになっているノートPCは多く、MacBook Proだって熱が原因で性能が低下する。しかし「ASUS ROG Zephyrus G14(2024)」ならそれが起こりにくい。当然起きないと断言はできないが、実際テスト中に熱による性能低下が起こった形跡はなく、発熱の大きいCPU・GPUパワーをほとんど使い切った状態でも100度にすら達することはなかった。14型の小さな筐体であることを考えれば、これは驚異的なことだろう。
思い出せばASUS社は冷却に関して非常にこだわりの強いメーカーで、オシャレにまとまった本製品であっても、文字通り蓋を開けてみればその本質は変わらなかったようだ。むしろ「試合の最中だろうと作業中だろうと、常に高いパフォーマンスを維持してユーザーの手を止めない。薄くなろうが軽くなろうが絶対に冷やす。」そんな開発サイドの執念が漏れ出ている気すらする。
14型の薄くて軽いボディに詰め込んだハイスペックを、脅威の冷却能力で安定稼働させ続ける万能型ノートPC。ゲーマーやクリエイターが真に求めていた持ち運び用ノートは、コレだったのかもしれない。
ASUS
ROG
ROG Zephyrus G14(2024)
GA403UI-R9R4070W
製品概要
製品名:ROG Zephyrus G14 GA403
発売日:2024年3月6日(水)
製品ページ:https://rog.asus.com/jp/laptops/rog-zephyrus/rog-zephyrus-g14-2024/