「ROG Swift OLED PG49WCD」使用レビュー!ゲームも仕事もこれ一台の万能型ゲーミングウルトラワイドモニター

近年、家電量販店でも姿を見かけるようになったウルトラワイドモニターだが、実は似たような横長の見た目に反し、いくつかの解像度に分かれているのをご存じだろうか。フルHD(1920 x 1080 px)を横に広げたワイドFHD(2560 x 1080 px)や、WQHD(2560 x 1440 px)を横に広げたUWQHD(3440 x 1440 px)といった解像度が主流であり、その他にもフルHDやWQHD枚分に相当する解像度を持った製品もあったりと実は様々な種類が存在する。

中でもモニター大好きな筆者がいま注目しているのが、WQHD2枚分にあたるスーパーウルトラワイド、或いはデュアルQHD(5120 x 1440 px)と呼ばれる解像度のウルトラワイドモニターだ。

この解像度の魅力としては、4K(3840 x 2160 px)よりも横に広い作業領域、現実的に使いやすいDPI(Dots per inch)、そして圧倒的な没入感。同様の解像度だけ求めるならWQHDのモニターを2枚用意すれば実現できるものの、中央にベゼルが挟まらないことやPC側の出力端子を2つ占有することも無いため何かとメリットが多い。
一方でネックになるのは価格帯で、このクラスになると15万円~25万円前後とお高く、おいそれと買ってみるのは難しい。そのため筆者自身なかなか試すことができずにいたのだ。

しかし今回、非常にうれしい事にASUS社のご厚意で先日発売されたばかりのスーパーウルトラワイドモニター「ROG Swift OLED PG49WCD」をお借りすることができた。読者の皆様の代わりに、と言ってはなんだが、2週間ほど実際に業務を含め使用してみたので、本記事ではその特徴や使用感についてお届けしようと思う。

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ROG

ROG Swift OLED PG49WCD

目次

「ROG Swift OLED PG49WCD」は、144Hz駆動のOLEDパネルを採用したゲーミングウルトラワイドモニター

細部の紹介に入っていく前に、ざっくりと「ROG Swift OLED PG49WCD」についておさらいしておこう。

このモニターは冒頭でも触れた通り、WQHD2枚分にあたる5120 x 1440 pxの解像度を持つウルトラワイドモニターに分類される製品だ。サイズは49型で1800Rに湾曲したOLEDパネルを採用し、ROG製品らしく144Hzのリフレッシュレートと0.03msの応答速度を実現している。もちろんG-SYNCやFreeSyncにも対応するため、このクラスの解像度を持ったゲーミングモニターとしては必要十分な性能と言えるだろう。

ROG Swift OLED PG49WCDは、144Hz駆動のOLEDパネルを採用したゲーミングウルトラワイドモニター
コレだけの性能となるとスペックをフルに引き出すにはPC側の性能も必要になってくるが、解像度から逆算すると4K120Hzを狙えるスペックであれば十分”使い切れる”可能性が高い。

OLED採用の49型スーパーウルトラワイドモニターがもたらす圧倒的没入感

さてこのモニターにおいて何を語るべきかと言えば、この画面サイズと圧倒的な没入感に触れないわけにはいかない。

こうしたウルトラワイドモニター共通の特徴として、ゲーム中に得られる広い視野角は大きなメリットの一つなのだが、そうした”ロジカル”なメリット以上に体感として得られる没入感が凄まじいのである。

今回モニターをテストするにあたってプレイした原神は、もともとオープンワールドかつフィールド描写が美しいことに定評がある作品。そんな作品を「ROG Swift OLED PG49WCD」で写すと、視界いっぱいに広大なフィールドが広がり、まるで自身がその場に立っているかのような気持ちでゲームをプレイすることができる。揺れる草花やきらめく水面など、ただ探索しているだけで時が過ぎてしまうほどだ。

ROG Swift OLED PG49WCD OLED採用の49型スーパーウルトラワイドモニターがもたらす圧倒的没入感 原神
横幅約120cmの広さで描画されるゲーム世界は圧巻だ。

また視界の広さばかりに目が行きがちだが、この没入感の秘密はDisplayHDR 400 True Blackに対応したOLEDパネルによる画面の表現力も要因の一つに違いない。

「ROG Swift OLED PG49WCD」にも使用されているOLEDパネルは、液晶パネルとは違い各画素の素子そのものが個別に発光しているため、画素単位で消灯することで比較的簡単に完全な黒を作ることができるという特徴がある。その結果ダイナミックレンジを広く取ることが可能になり、より滑らかな色の階調表現ができるのだ。DisplayHDR 400 True Blackはその証明と言えるだろう。

またこの特徴は原神のようなフィールド表現が美しいゲームで画面が綺麗に見えるのはもちろん、暗い場所の視認性が高くなるというのもポイント。FPS系やアクションゲームなどにも向いており、暗所に隠れた敵やアイテムが発見しやすくなるはずだ。

映像編集などクリエティブな用途にも使える広色域なモニター

本製品のような広大な表示域を持つモニターであれば、ゲーム以外の用途で使いたいシーンも多いだろう。特に横に長い32:9の画面比は、映像制作などのタイムラインを使用する編集作業に親和性が高い。

しかし画面が綺麗に見えることと、色が正しく表示されているかは別の問題で、特定のモニターでどんなに綺麗に見えていたとしても、別のモニターで見た際には色味が全く違うなんてことも珍しくない。確認すべきはモニターの対応する色域についてだ。

ROG Swift OLED PG49WCDなら動画編集でタイムラインも広々
写真のようにWQHD2枚分の横幅をフルに使ってタイムラインを表示することもできる。

「ROG Swift OLED PG49WCD」はゲーミング用途としては珍しく、色域のカバー率が公開されているモニターで、DCI-P3カバー率 99%を誇る。

このDCI-P3というのは、iPhoneなどでも使用されているDisplay P3のベースとなった規格でもあり、近年多くのモニター製品が対応している色域規格だ。そのため「ROG Swift OLED PG49WCD」を使用して色を合わせれば、他のモニターや端末で見た際も極端に外れた色味になることは無いだろう。

加えて製品の出荷前に個体ごとの色域をチェックしたキャリブレーションレポートも付属しており、ROG製品ながらクリエイティブ用途に使ってくれと言わんばかりの対応が取られている。自分の手元に届いた個体の情報を正確に知ることができるため、別途ソフトウェアキャリブレーションなどを行うことで、マスターモニターを求めないレベルのグレーディングや写真現像であれば十分使っていくことができそうだ。

3系統の映像入力とUSBハブ搭載で周辺機器の接続もバッチリ

コレだけハイスペックなモニターとなると、映像周りの入力端子も気になるところだ。もちろん最新のモニターということもあって、メジャーな端子や機能はおおよ全てフォローされているため安心して読み進めて貰えれば幸いだ。

まずは一番気になる映像の入力ポートから。

DisplayPort / HDMI / USB Type-Cでの映像入力に対応

「ROG Swift OLED PG49WCD」では映像入力は画面右手背面に電源用のケーブルとまとめて設置されている。ゲーミング液晶らしく伝送帯域の広い最新フォーマットが採用されており、HDMI v2.1(以下 HDMI) / DisplayPort 1.4(以下 DP) / USB Type-Cの3系統に対応。HDMIポートとDPはいずれもDSC対応のビデオカードとケーブルを使用することにより4K144Hzでの映像伝送が可能なため、本製品の持つ高いリフレッシュレートを発揮させたいのであれば、このどちらかを選択すると良い。

またUSB Type-CポートにPCを接続した際には、映像入力と併せUSB Power DeliveryによるPCへの90W給電と、モニター側のUSBハブ機能をケーブル1本で利用することができる。こちらは主にノートPCとの接続に使用すると良さそうだ。

ROG Swift OLED PG49WCD 左からUSB Type-B(入力)、USB Type-A(USB 2.0)、USB Type-A(USB 3.2 Gen1)、SPDIF(出力)。また画像左下には3.5mmのイヤホンジャックを備える。
画像左から電源ケーブル用のコネクタ、HDMI、DP、USB Type-Cのポートが用意されている。

USB+イヤホンなど豊富な周辺機器を一括して接続できるハブ機能

この手のモニターにあると便利な機能としてUSBハブ機能は定番になりつつあるが、「ROG Swift OLED PG49WCD」に搭載されたハブ機能は一部特殊な配置がされていて面白い。

まずは画面に向かって左手側、一般的な画面下部には幾つかのUSB Type-AとSPDIF(Optical Digital Audio Out)が設けられている。この位置は”ド定番”の配置で多くのモニターで目にすることができるはずだ。しいて言うならばSPDIFが搭載されているのが珍しいポイントだろうか。

ROG Swift OLED PG49WCD 左から電源ケーブル用のコネクタ、HDMI、DP、USB Type-Cのポート
画像左からUSB Type-B(入力)、USB Type-A(USB 2.0)、USB Type-A(USB 3.2 Gen1)、SPDIF(出力)。また画像左下には3.5mmのイヤホンジャックを備える。

そして面白いのが画面に向かって左手、画面上部側の背面にもUSB Type-Aが1ポート用意されているほか、スタンドの天面には三脚などでよく使用されているサイズのねじ穴が空いている点だろう。

筆者もはじめこのポートとねじ穴をどうするのか不明だったのだが、これはおそらくUSBカメラもしくはマイクの取り付け用では無いだろうか。

ストリーマーはもちろんテレワークなどの普及により、近年ではカメラやマイクもマウス・キーボードと並んでPC周辺機器として必須の立ち位置になりつつあるように思う。特にカメラにおいてはケーブルがそこまで長く取れないことも多く、また画角を考えればなるべく正面に設置したいところところ。そんな時このねじ穴にカメラ用の小さなアームを取り付け、ケーブル含めモニター上部で完結させれば非常にスッキリと設置できるに違いない。

また「ROG Swift OLED PG49WCD」には上記のポートを含め4つのUSB Type-Aが用意されており、マウス・キーボード・カメラ・ヘッドセット(マイク)といった多くの機器を繋げておくことが可能なため、PCと接続するケーブルを最小限に抑えることができるはずだ。

KVMよりさらに便利!2つのPCをまたいで周辺機器を使えるSmart KVM

USB Type-Cによる接続と、USBハブ機能が搭載されているのであれば当然気になるのがKVMスイッチ機能だ。コレはここ数年でいくつかのハイエンドモデルに取り入れが進んでいる機能で、KVMすなわちKeyboard Video Mouseを一括で切り替えができるスイッチ機能の事を指す。

通常この機能は2つ以上の映像入力を持ち、かつUSBハブ機能がついているモニターに搭載されるモノで、PC①からの映像入力が選択されている際はUSBハブに繋がる周辺機器もPC①に、PC②が選択されている場合はUSBもPC②へといった形で、映像の入力ソースに合わせモニター側のUSBハブが繋がる先を切り替えてくれるというものだ。この機能を使うことで、モニター側にマウスやキーボードといった周辺機器を繋いでおけば2台のPCでデバイスを使いまわすことができるようになる。

と、ここまでが一般的なKVMスイッチ機能なのだが「ROG Swift OLED PG49WCD」に搭載されたSmartKVM機能はさらに一歩進んで”Smart”になった強力なモノだ。

ROG Swift OLED PG49WCD PBP / PIP に対応

このSmartKVM機能が活きるのは、写真のようにPBP(ピクチャー・バイ・ピクチャー)機能を使用し2台のPCから映像を映しているシーン。一般的にこうしたシーンではモニターのUSBハブはどちらかのPCに接続されており、併用はできないという欠点があった。

しかしそれを可能にしてしまったのがSmartKVMだ。

この機能についてはASUS公式の動画がわかりやすいので、こちらを参照してもらいたい。前半は設定方法について解説しているので、実際の挙動については2分10秒頃から。

ノートPC、デスクトップPCの2つを、まるで一つのPCのように操作しているのがわかるだろうか。

本製品のようなモニターを検討する層であれば「2台のPC(例えば自宅のデスクトップと持ち出し用のノート)を同時に立ち上げて操作したい」という瞬間は十分に考えられる。そうした時でも切り替えを意識することなく一組のマウスやキーボードで、シームレスにそれぞれのPCを操作できるようになるのだ。

これで2つのPC用にそれぞれマウス・キーボードを用意して、どっちがどのPCにつながっているかわからなくなることや、物理的なUSBスイッチによる複雑怪奇な配線とはおさらばできるだろう。

必要なケーブル類は全て付属。買ってすぐに使い始められる

モニターを購入した際に要注意なのがケーブル周りの付属状況だ。よくあるパターンとして一部のケーブルが別売になっており「使おうと思っていた接続方法に必要なケーブルだけ無い!」なんてこともある。

その点「ROG Swift OLED PG49WCD」なら、およそ必要なケーブルは全て付属しているため安心だ。

特にDisplayPortやHDMI、Type-Cケーブルはケーブル自体の性能への依存度が高く、別途購入したケーブルのスペックが低いがためにモニター・PCの性能をフルに発揮できない可能性も十分ありうる。しかし付属のケーブルがあればそんな事を気にする必要も無いので、初めからセットになっているのは素直にありがたい。

ROG Swift OLED PG49WCD 必要なケーブルは全て付属
左上から USB Type-C to Type-Cケーブル、DisplayPortケーブル、HDMIケーブル、USB Type-A to Type-Bケーブル、電源ケーブルだ。その他説明書や前述したキャリブレーションレポート、ステッカー、保証書などが付属する。

またROG製品であればお馴染みと言っていい点として、各ケーブルにはROGロゴが刻まれており一目で付属品だとわかるのもポイント。こうしたモニターやUSBケーブルは単体で保管することも多く、複数のケーブルが入り混じった際にケーブルの性能がわからなくなってしまうこともしばしば。そんな時もロゴ入りの製品=付属ケーブルなことがわかるため、ケーブルを間違えたが故にスペックを発揮できないなんてこともなくなるはずだ。

ROG Swift OLED PG49WCD 各ケーブルにはロゴ入り
電源ケーブルを除いた各ケーブル、端子の根本付近にロゴが刻まれている。

「ROG Swift OLED PG49WCD」はゲームもクリエイティブも1台で叶える万能ウルトラワイドモニター

しばらく仕事やゲームで使用してみてわかったのは、「ROG Swift OLED PG49WCD」が何にでも使えるモニターだということだ。

メインの使い方であるゲームにおいては、フルスクリーンで大画面プレイを楽しめる一方、高解像度を活かしてウィンドウモードでwikiなどを調べながらのプレイでも役に立つ。Discordなどのチャット・通話アプリを出しておいてもいいだろう。クリエイティブな用途では、映像編集や写真編集など色が重要な作業も可能な上、PBPモードなどを使えば2枚の16:9モニターとしても利用できる。

唯一の懸念としてはその本体サイズで、設置スペースや設置時の人員確保が必要なことだ。スタンド自体はコンパクトに抑えられているが、画面幅は約120cmと大きく重量もスタンド抜きで約8.5kg。実際に開梱設置をした筆者としても、モニターを取りまわせる広いスペースと2人以上の人数を用意した上で行う事をオススメしたい。

とはいえ一度設置してしまえば、上下方法の高さ調整や左右への首振り(スウィーベル)、前後方向の角度調整(チルト)も行えるため細かな調整は効きやすい。同梱されているVESAへの変換を使用すればモニターアームも取り付け可能なため、よりフレキシブルな運用をしたい方はアームを検討してもいいだろう。

「ROG Swift OLED PG49WCD」はゲーミングベースとしつつも、現状モニターに必要な要素は全て兼ね備えており、局所的な性能で上を行く製品はあれど、ここまで1台で叶える万能な製品はそう無い。
筆者もいずれは手に入れたい、現状最高峰のウルトラワイドモニターだ。

製品概要

製品名:ROG Swift OLED PG49WCD
パネルサイズ:49 inch
曲率:1800R
アスペクト比:32:9
パネル種類:OLED
スペック詳細:https://rog.asus.com/jp/monitors/above-34-inches/rog-swift-oled-pg49wcd/spec/
製品ページ:https://rog.asus.com/jp/monitors/above-34-inches/rog-swift-oled-pg49wcd/

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