先日(2023年11月1日)行われたイベント「Anker Power Conference 2023 Fall」で発表された新製品の中には、これまでAnkerが得意としていたバッテリーから一歩進んで、家庭向け大容量蓄電池の要素を兼ね備えたポータブル電源なども登場していた。本記事で紹介するのは、シリーズ名が「Anker Solix」と改められた、そんなポータブル電源の新製品たちだ。
家庭用・アウトドア用のポータブル電源をつかさどる「Anker Solix」
これまでもAnker製品にポータブル電源は存在していたものの、「Portable Power Station」や「Anker PowerHouse」といった形でいくつかの名称に分かれており、共通のシリーズ名としてはAnkerの名が用いられていた。それが今回発表された製品からは「Anker Solix」という共通のシリーズ名を冠するようになり、この製品がどういった目的の製品なのかがより分かりやすくなった形だ。
高速充電とハイパワーが魅力の「Anker Solix C1000 Portable Power Station」
そんなAnker Solix の先鋒として登場したのが、「Anker Solix C1000 Portable Power Station」および「Anker Solix C800 Portable Power Station」。大容量かつ充電も高速なポータブル電源である。
独自技術「HyperFlash」により世界最速の本体充電を実現
この製品最大の特徴は、Anker独⾃の急速充電技術「HyperFlash」により実現した、ポータブル電源とは思えない充電速度の速さだ。なんとその速度は1時間を割り、最短58分で本体を満充電可能だという。特に「Anker Solix C1000 Portable Power Station」の速度は世界最速。
こうした大容量のバッテリーを備えた製品は、その容量が大きくなればなるほどその充電速度は遅くなる傾向にあり、持ち出すときのネックになりがちだ。しかしこの容量が1時間で充電できるので、あれば充電時間がネックになることはまずないだろう。
最大1500Wの高出力で、電子レンジやドライヤーまで動く
一方でこうしたポータブル電源でありがちなのは、容量に反して出力が小さく、電子レンジやドライヤー、電気ポットなどの大出力を必要とする家電が使えないといった現象だ。
しかし「Anker Solix C1000 Portable Power Station」においてそんな心配は必要ない。この製品であれば1500Wの最大出力を備えており、一般的な家電であればほとんどのモノを動かすことが出来るだろう。
「Anker Solix C1000 Portable Power Station」はコンパクトなのにすごいヤツ
忘れてはならないのが、本製品は家庭用の蓄電池ではなくポータブル電源だという事だ。ポータブルを名乗るのであれば、そのサイズも重要になる。
「Anker Solix C1000 Portable Power Station」は同容量帯において、一般的な他製品と比べて約15%小さい世界最小レベルのコンパクトさを実現したという。それだけ小さいながらも前述の高速充電や高出力と言った特徴を備え、さらには高耐久を実現し10年使えるポータブル電源を謡っている。その他にも自然放電の軽減や、追加拡張バッテリーのラインアップなどポータブル電源に求められるモノは一通り兼ね備えた魅力的な製品だ。
同じく高速充電に対応しており、こちらも最短58分でフル充電が可能。
電気自動車や家庭の電力まで賄える「Anker Solix F3800 Portable Power Station」
続いて登場したのがAnker 史上最⼤容量&最⾼出⼒を謡う「Anker Solix F3800 Portable Power Station」だ。その容量は一般家庭が停電時に必要とする電力の1日分に匹敵し、出力電圧は200Vと電気自動車やIHクッキングヒーターまで動作可能という凄まじいパワーを秘めている。 加えて「Anker Solix」の別製品と合わせて使用することで家庭用蓄電池として使用できることも特徴の一つだ。
合計5000Wの出力と3840Whのバッテリー容量を備えた「Anker Solix F3800 Portable Power Station」
その最大の特徴は、何と言ってもそのパワーと容量だろう。200Vと100Vそれぞれに対応したコンセントを備え、合計出力は最大5000W。さらにバッテリー容量は3840Whと、先に紹介した「Anker Solix C1000 Portable Power Station」の約3.8倍もの大容量だ。
停電時でも部屋の家電を丸1⽇動かせる他、200Vの出力と組み合わせることで一般的な電気自動車であれば約23km分の走行が可能な電力を供給出来るという、まさに規格外のポータブル電源と言えるだろう。
加えて別売の拡張バッテリーを最大で6台連結させることもでき、その際には合計容量26880Whと⼀般的な家庭⽤蓄電池を上回る容量を蓄電することが可能になるという。
C1000・C800と同じくAnker独自の独⾃の急速充電技術「HyperFlash™」に対応。80%までは約2.6時間、フル充電までは約3.3時間で完了するという。
家庭用の電力システムと連動可能になる「Anker Solix Home Power Panel」
F3800を紹介した章の冒頭にて「Anker Solix」の別製品と合わせて使用することで~と記載したが、この「Anker Solix Home Power Panel」こそが「Anker Solix F3800 Portable Power Station」を家庭用蓄電池として利用可能にする別製品だ。
この製品は電源自動切換え装置と説明されており、「Anker Solix F3800 Portable Power Station」と家庭の分電盤を繋ぐ役割を果たす製品と思われる。会場に展示されていたパネルを見る限り、ソーラーパネルや電力会社などから供給された電力を本製品を介してF3800へ給電し、停電などが発生した際には、F3800からの電力を「Anker Solix Home Power Panel」から増設分電盤を介することで家庭内に供給するという仕組みのようだ。
「Anker Solix Home Power Panel」は2024 年春以降に販売開始を予定している様なので、製品の挙動や仕様については追って発表されることだろう。詳細な情報が出てくるのが楽しみだ。
電気への不安をゼロにする新シリーズ「Anker Solix 」
記事冒頭では「家庭用・アウトドア用のポータブル電源をつかさどる」という表現をしたが、どうやら語弊があるかもしれない。と言うのも「Anker Solix Home Power Panel」の情報などを見る限り、「Anker Solix」が叶えるのは”電気への不安をゼロにする”ことであり、事はポータブル電源に留まらないからだ。今後はソーラーパネルであったりパワコン、ポータブルではない家庭用蓄電池などもこの「Anker Solix」から登場してくる可能性がある。
スマートフォン周辺機器というデスク周辺環境から始まったAnkerが、Eufyなどの家電を経てついに家全体までその範囲を広げてきた。
次はいったい何を見せてくれるのだろうか。今後もAnkerの作る未来に注目していきたい。