フルサイズカメラならではのボケ味や高画質、優れた暗所性能は、多くの写真ユーザーを魅了してきた。その特長を継承しながら、比較的手の届きやすい価格帯での本格的な撮影機材として、ニコンは4月3日、フルサイズミラーレスカメラの新モデル「Z5II」を発表。上位機種「Z9」と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」を搭載し、AIによる被写体検出や高速AFを実現するという。2025年4月25日より発売され、直販価格は258,500円(税込)から。
製品概要

Nikon
Z5II 24-50 レンズキット

製品名:ニコン Z5II(フルサイズ/FXフォーマットミラーレスカメラ)
発売日:2025年4月25日
予約開始:2025年4月10日 10時より
メーカー直販価格:
本体:258,500円(税込)
24-50 レンズキット:298,800円(税込)
24-200 レンズキット:338,800円(税込)
製品ページ:https://nij.nikon.com/products/lineup/mirrorless/z5_2/
Z9譲りの高性能AFと進化した暗所性能
Z5IIの最大の特徴は、フラッグシップモデル「Z9」から継承した画像処理エンジン「EXPEED 7」の搭載だ。AI技術により、人物(顔、瞳、頭部、胴体)、犬、猫、鳥、飛行機、車、バイク、自転車、列車と9種類の被写体を自動的に検出。さらに、前モデルと比較し約1/3の時間で合焦できる高速AFを実現している。

さらにニコンのフルサイズミラーレスとして初めて、被写体の動きに応じてAFモードを自動で切り替える「AF-A」を搭載。動きの予測が難しい被写体でも、カメラが最適なAFモードを選択することで、より確実な撮影が可能となった。この機能は先日発表されたZ50 IIの際にもアピールされていたもので、AFモードを意識する事無く撮影できるため撮影環境が大きく変わりやすい旅行や運動会などイベント系の撮影に便利そうだ。

豊富な色表現とクラウド連携
「Nikon Imaging Cloud」との連携により、ニコンやクリエイターが作成した画作りプリセットを無料でダウンロードできる「イメージングレシピ」にも対応。加えて専用ソフトウェア「NX Studio」を使用することで、ユーザー自身による独自の色表現の作成も可能だ。こちらはZ6 III発売時に実装された機能で、新規の製品には標準搭載が進められているのだろう。あらかじめ色作りを済ませておけば、撮って出しでも思い通りの写真や映像を用意できる。

加えて暗所性能も大幅に向上し、静止画ではISO 64000、動画ではISO 51200の常用感度を実現。さらに、最大7.5段の手ブレ補正効果により、暗いシーンでも手持ち撮影での高画質な撮影が可能だという。
暗所性能は、フルサイズへのステップアップを行う理由の一つとしてよく上がる印象があるため、この部分は気にする方も多いはず。比較を見る限りノイズ感に大きな差は無いものの、よりディティールを残すことができるようになっているようだ。近年ではLightroomをはじめAI処理によるノイズ除去が非常に優秀なため、個人的にはディティールがどれだけ残るかを重要視している。その点においては、間違いなく大きなアップデートと言える。

動画・写真で活きる本体機能
もちろん動画機能も強化され、Zシリーズとして初めて、N-RAW形式の動画をSDカードに直接記録できるようになっている。もちろんN-Logにも対応するため、撮影後の編集を前提とした本格的な映像制作にも活用できる性能だ。
また操作においても、約3000cd/m²の高輝度EVFを採用し、明るい屋外でもクリアな視認性を確保。バリアングル式液晶モニターにより、様々なアングルでの撮影にも対応する。基本的なターゲットは写真用途に置きつつも、映像撮影用途で価格を抑えた高機能なフルサイズ機を求めている方にも良い選択肢になるかもしれない。


実質的なミドルレンジ機となった新型Z5
Z5IIは上位機種の優れた機能を継承しつつも、比較的手の届きやすい価格帯に抑えた製品だ。ただ、これまでのZ5と同じくエントリーと呼ぶかは大いに疑問の残るところで、一部機能をオミットしたZ6IIIと呼ぶのが正確な気がする。ミドルレンジ帯だったZ6IIがIIIに代わり、ちょうど良い価格帯のボディが不在となっていたことを思えばちょうど良い階段かもしれない。写真も動画もこなしつつ、価格を抑えた高機能なモデルが欲しい方にはオススメできる製品だ。
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Z5II 24-50 レンズキット

出典:プレスリリース
記事内画像は同リリースおよび製品ページから抜粋