Canonといえば、ハイエンドコンパクトデジタルカメラ「PowerShot V1」を先月発表したばかりだったが、今回この V seriesに新機種が加わることが発表された。
それがAPS-Cサイズミラーレスカメラ「EOS R50 V」だ。
この新機種は、映像表現の幅を広げたい動画クリエイター向けのエントリー機だという。
発売予定は2025年5月下旬で価格はオープン。
キヤノンオンラインショップの参考価格として、ボディ単体は113,300円(税込)、新発売となるRF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZが同梱するレンズキットは140,800円(税込)だ。

製品概要

Canon
EOS
EOS R50 V

製品名:EOS R50 V
価格:
ボディー 113,300円(税込)
レンズキット 140,800円(税込)
発売日:2025年5月下旬発売予定
製品ページ:https://personal.canon.jp/product/camera/eos/r50v
「EOS R50 V」は動画撮影向けエントリーモデルでありながら、様々なニーズに応える
製品発表会の場では実際に筆者も「EOS R50 V」を触ってみた。以降ではその所感を交えつつお届けしたい。率直な感想としてこのカメラは「これから動画撮影を始めるエントリーユーザーから現在活躍しているビデオクリエイターまで、幅広い層を刺激するカメラ」になりそうだ。SNSの普及によって「映像」のニーズは激増したように思うのだが、そのニーズに対して「EOS R SYSTEM」の強みをどう活かすのかというCanonの回答が「EOS R50 V」といえるだろう。
動画向けアクセサリーとの親和性を高めるデザイン
先ず目を引くのはそのボディデザインだ。
既に発売されている「EOS R50」と見比べてもらえば一目瞭然なのだが、動画向けアクセサリーとの親和性を高めるためファインダーを廃したフラットで直線的なデザインとなっている。


モードダイヤルも動画中心となっているだけでなく、縦位置撮影用の1/4インチ三脚用ネジ穴、動画撮影状態なのが一目でタリーランプなども搭載されている。
また自撮り撮影での利便性を考慮し、録画ボタンが前面にも追加され計2箇所になっている点も面白い。録画ボタン自体も大きく、とても押しやすくなっていた。これらの特徴は縦型・自撮りを主軸に撮影する動画クリエイターには嬉しい設計といえるだろう。


4K60pやフルHD120pに対応。気になるその動画性能は?
動画の記録モードも充実している。
「EOS R50」と同様、6Kオーバーサンプリングによる高画質4K動画(29.97/25.0/23.98fps)に加え、新たに4K Crop動画(59.94/50.00fps)での収録も可能になった。YCC 422 10bitの豊かな階調表現も可能なので、エントリーモデルでありながら高いクオリティが出せそうだ。
筆者が特に気になったのは、フルHD動画なら119.88/100.00fpsのハイフレームレート動画を音声ありで撮影出来る点だ。
ハイフレームレートで撮影する場合、音声収録が出来ないカメラは少なくない。その場合撮影モードを逐次切り替える必要があるため、時間的ロスや決定的瞬間を逃してしまうケースもありえる。スローをかけたい瞬間と音声を活かしたい瞬間が同時に来そうな場面で、この機能を使うと良いだろう。

こだわりの画作りを支える、3つのカラーモード
動画性能も申し分ない上に、「EOS R50 V」はカラーモードも充実している。
「EOS R50」にも搭載されていた「ピクチャースタイル」はもちろん、EOS R シリーズでは初となる新機能の「カラーフィルター」は、グレーディング無しで手軽にクリエイティブな映像を撮影することが出来る。
映画やドキュメンタリー作品の現場でも使われる「カスタムピクチャー」にも対応し、階調が豊かなCanon Log3での撮影が可能など、エントリーモデルとは思えない多彩な画作りが楽しめそうだ。
また、これらのカラーモードを選択するためのカラーモードボタンが「EOS R50 V」には新設されている。



「RFレンズ」初!パワーズームを内蔵した「RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ」
キットレンズも只者ではない。
「EOS R50 V」のために開発されたという「RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ」。このレンズは「RFレンズ」として初めてパワーズームを内蔵しており、一定速度でスムーズなズームが可能だ。レンズのズームリングでも操作可能なので、自撮り撮影の場合でも操作は容易だろう。
ズーム速度がズームリングの回転角度に応じて低速と高速の二段階で選択できるほか、
ズーム時に鏡頭が繰り出さない機構になっているため、ジンバルとの相性も良さそうだ。
重量は「EOS R50 V」と合わせても約551gと、他社のマイクロフォーサーズ機とほぼ同等なので、APS-Cとしてはかなり軽量ではないだろうか。

クリエイターの卵に最適な「EOS R50 V」
本格的な画作りを実現する高い動画撮影性能と操作性の高さを両立した「EOS R50 V」。
そして「EOS R50 V」のために開発された新型レンズ「RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ」。
小型軽量のモデルにここまでの機能を盛り込んでいるところにCanonの本気を感じずにはいられない。RFレンズには3Dや3DVRを撮影できるレンズもあり今後もレンズのバリエーションを増やしていく予定とのこと。「EOS R50 V」で撮影システムを組んでいくというのも、これから映像制作を始めるクリエイターの選択肢として大いにありだろう。
一方で、コンセプト的にそこまで求めるのは酷なのかもしれないが、HDMIの出力がタイプD(マイクロ)なのが些か残念だった。スタッフの方の話ではケージやリグなどが他社から出る予定も今のところないという。
ただ、外部アクセサリーに頼らずともかなりのポテンシャルを秘めているので、スマホでの撮影からレベルアップしたいクリエイターに強くオススメしたい一台だ。


ギャラリー














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EOS
EOS R50 V

出典:プレスリリース
記事内画像は同リリース、および製品発表会にて撮影