8年ぶりのフルモデルチェンジ。最薄部は4mm! 新たにPro Pen 3にも対応したワコム「Intuos Pro」シリーズを体験してきた。

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筆圧レベル8,192を誇るワコムのプロフェッショナルペンタブレット「Intuos Pro」シリーズ。ハイアマチュアからプロまで、描き味にこだわりたいユーザーをはじめ、3DCGや映像クリエイターにもファンが多い本製品がフルモデルチェンジされた。

新たにWacom Pro Pen 3に対応したほか、キーボードとの併用を考慮しExpressKeyとダイヤルの位置を上部に変更。そして製品の最薄部は4mmという薄型でフラットなデザインとなった。これにより自然体でストレスの少ないワークフローをもたらすという。

本記事ではプレス向け体験会のレポートを交えて、一新したIntuos Proシリーズの見どころを紹介する。発売日は未定、価格はSサイズ41,580円(税込、ワコムストア価格)から。

製品概要

Wacom

ペンタブレット

Wacom Intuos Proシリーズ


製品名:Wacom Intuos Pro Small
製品型番:PTK470K0C
ワコムストア価格(税込):41,580円

製品名:Wacom Intuos Pro Medium
製品型番:PTK670K0C
ワコムストア価格(税込):62,480円

製品名:Wacom Intuos Pro Large
製品型番:PTK870K0C
ワコムストア価格(税込):82,280円

製品ページ:https://www.wacom.com/ja-jp/products/pen-tablets/wacom-intuos-pro

目次

ワークフローを止めない製品デザインを追求

今回発表された「Wacom Intuos Pro」シリーズは、2017年に発売されたSmall(PTH460)、Medium(PTH-660)、Large(PTH-860)3モデルの後継機。実に8年ぶりの世代交代であり、ユーザーからの様々なフィードバックを基に全面的に改良が施された。

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新しくなった「Wacom Intuos Pro」シリーズ。左から、Small(PTK470)、Medium(PTK670)、Large(PTK870)

Intuos Proシリーズは「Work=どう創造を作り出すか」と「Flow=どう制作に向き合うのか」を一体化させることをコンセプトに開発・改良が重ねられてきた。新モデルでは、具体的に次の3つのポイントを訴求する。

  1. 描画と操作に適した高いペン性能
  2. ワークフローを止めない製品デザイン
  3. プロレベルでの制作効率の向上

1.Wacom Pro Pen 3に新対応〜ペン性能〜

ここから3つのポイントを具体的に紹介していく。まずはペン性能だが、新モデルでは板タブ(ペンタブレット)としては初めて「Wacom Pro Pen 3」に対応した。それと同時にサンプリングレートを上げたことで、円の軌跡をより忠実に滑らかに再現するなど操作性も向上しているという。

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Wacom Pro Pen 3(フレアグリップ装着)

2022年10月に発売した液晶ペンタブレットのプロフェッショナルモデル「Wacom Cintiq Pro 27」と同時に導入されたPro Pen 3は、ペン先が前世代(Pro Pen 2)よりも細くシャープになったことで視認性が向上。さらにペン先が出る芯の長さも約1mm長くなっていることから、板タブユーザーからもPro Pen 3を使いたいといった要望が多く寄せられていたとのことで、満を持しての対応となった。

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Pro Pen 3とPro Pen 2のペン先を比較した図
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会場に展示されていたPro Pen 3

Pro Pen 3は、内部構造も改良された。従来品はペン先に少し遊びのある構造だったが、遊びがより小さくなった。また芯をペン本体にしっかりと挿すことができる形状になったことで、芯自体が回転しにくくなったそうだ。

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好みや作画スタイルに合わせて全36通りのカスタマイズが可能

2.サイズはコンパクトに、描画スペースはより広く〜デザイン〜

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(右)新しいMedium/(左)従来のMedium

新しいIntuos Proは、全てのモデルで従来品よりもコンパクト化&軽量化を実現。その一方で、描画エリアは広くなっている。特に重さは前モデルよりも4割近く、Largeの場合は半分以下にまで軽くなった。

新モデル旧モデル
外形寸法(L×W×H) / 質量Small:215 × 163 × 4〜7 mm / 240gSmall:269 × 170 × 8.45 mm / 450g
Medium:291 × 206 × 4〜7 mm / 411gMedium:338 × 219 × 8.0 mm / 700g
Large:377 × 253 × 4〜7 mm / 660gLarge:430 × 287 × 8.0 mm / 1,300g
読み取り可能範囲(L×W)Small:187 × 105 mmSmall:160 × 100 mm
Medium:263 × 148 mmMedium:224 × 148 mm
Large:349 × 195 mmLarge:311 × 216 mm
最薄部は、わずか4mm(※全モデル共通)。より薄くなったことで、デスクとの段差が気になりにくくなっている。紙の資料を横に置いて作業するときなどは、その薄さをより実感できるはずだ。
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有機ELディス最薄部4mmを誇る「Wacom Movink」向けセンサーの知見を応用することで、新しいIntuos Proでも最薄部4mmを実現

また描画エリアは、16:10から16:9に変更。これにより現在一般的な16:9のワイドモニタやマルチモニタでも使いやすさが向上している。加えて描画エリアの表面には取り替え可能のオーバーレイシートが配置されており、描き味を損なうことなく芯の削れやすさを軽減させたとのこと。

芯が削れにくくなったことについては、当日のトークショーに登壇したイラストレーター吉田誠治氏も強く実感したところだという。

吉田誠治 氏:
背景を描くことを仕事にしているのですが、僕の場合は画面の全体を見ながらざっくりとしたブラシ運びで描くことが多いので、手元を隠してしまう液タブではなく板タブを愛用しています。

今回、ワコムさんから新モデルを1週間ほどお借りすることができて、実際の仕事でも使ってみました。板タブユーザーとしては待望のPro Pen 3を使えるようになったこともかなりありがたかったです。絵描きとして一番良いのが、芯の遊びが減ったこと。芯自体が回ってしまうこともなくなったので、すごく描きやすくなって、細かい描き込みができるようになった感覚があります。

僕の場合、前のモデルだと芯がわりとすぐに削れてしまい、1日で2度も芯を替えることがありました。僕はとにかくずっと手を動かしているタイプで、しかもペンを何度も何度も描画エリアに当てるので、どうしてもペン先が早く削れてしまうのです。それが新しいIntuos Proでは、1週間使っても芯を替える必要がなく驚きでした。

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イラストレーター吉田誠治氏

3.キーボードの併用を想定した改良〜制作効率〜

先述した通り、新しいIntuos Proシリーズは、ExpressKeyとダイヤルの位置をタブレットの上部に移動させた。これにより、キーボードを横に並べた状態での作業効率を向上させている。

新たに搭載されたダイヤルは、回してみるとカチッ、カチッと触覚的なフィードバックがある。ダイヤルを使うことでブラシサイズの変更や拡大、ムービーファイルのタイムライン操作などが簡単に行えるようになっている。

左から、ExpressKeyとダイヤル

配置変更の背景としては、板タブユーザーへのヒアリングを通じて、キーボードを併用している人が多くいることが確認できたため。そこで、ペンを持つ利き手ではない手の動きを最小限に止めつつ、簡単にアプローチできる場所、なおかつキーボードを操作したときにタブレット側のボタンを誤って触れることが少ない場所として、上部に移すことに決めたそうだ。

この変更により、前モデルが上下対称のデザインだったのに対して、新モデルは左右対称のデザインへと改められた。

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Large新モデル
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Medium新モデル
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Small新モデル

さらに新しいIntuos Proシリーズでは、大幅なコンパクト化&軽量化を実現すると同時に、カスタマイズ性も向上させている。

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Small新モデルを利用した3DCG作業のイメージ

ExpressKeyとダイヤルには、ペイントソフトなど主立ったソフトウェアの用途に合わせて、ワコムがオススメするショートカット設定を一括で行えるプリセットが新たに用意された。

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ExpressKey向けプリセット例

さらに製品の上部には、USB / Bluetoothセレクターが設けられており、これはUSB接続×1、Bluetooth接続×2という最大3台のPC切り替えをケーブルを抜き差しすることなく行えるようにするためのもの。

この機能を開発した背景にも、やはりユーザーの使用実態の調査がある。例えばIntuos ProをUSBでデスクトップPCに繋ぎつつ、手持ちのノートPCやタブレットでも別の作業を並行して行うといったユーザーが多くいることが確認できたのだ。そこで、USBケーブルはデスクトップに繋げたまま、Bluetooth側を切り替えることで、最大3台までIntuos Proをシームレスに使い続けられるように、このセレクターが誕生したそうだ。

ワークスタイルや好みに合わせたカスタマイズ性も向上

そのほか、Pro Pen 3には新しいIntuos Proシリーズの発売に伴って、映像編集や3DCGなどの細密なソフトウェアの操作に適したラバー芯が追加された。さらにデュアルペンテクノロジーにも対応。これによりPro Pen 3だけでなく、文房具メーカーとのコラボレーションによって展開されているステッドラー社のノリス デジタルなどのデジタルペンも板タブで使えるようになった。

今回のプレス向け説明会で発表された内容からは、より幅広いクリエイターにIntuos Proシリーズを利用してもらおうというワコムの意志が伝わってきた。特にキーボードの併用を想定した改良については、左手デバイスを使わずとも同等の作業スタイルが実現できそうだ。

コンパクト化&軽量化だけでなく、Bluetooth接続時の連続駆動時間も16時間へと強化(※前モデルは12時間)されているので、持ち歩いて使うユーザーも増えるにちがいない。

フルモデルチェンジしたIntuos Proシリーズ。長年の愛好者はもちろん、イラストレーターなど筆圧を利かせたクリエイティブワークから動画編集や3DCGといったペンによる正確なソフトウェア操作まで、幅広いクリエイターにオススメできる製品だ。

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新モデルのパッケージ

ギャラリー

Wacom

ペンタブレット

Wacom Intuos Proシリーズ


出典:プレスリリース
記事内画像はプレス向け発表会にて撮影

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