自作PCにおける基幹ともいえるパーツ、マザーボード。近年のPCにおいては、ほとんどのデータや電力がココを通してやり取りされるため非常に重要なパーツなのだが、意外となんとなく決めている方も多くいるのではないだろうか。加えて「マザーボードは似たような見た目と性能で種類が多いため、どれを選んでいいか分かりにくい」というのもその原因の一つだろう。
ということで今回は、ついに発表となったASUSのB860(Intel向け)/ B850・B840(AMD向け)マザーボードの概要と注目すべきポイント、そして編集部が選ぶオススメのモデルについてご紹介していきたい。コレを読めば次世代マザーの良い所が分かる事間違いなし、という気持ちでお届けするので参考にしてもらえれば幸いだ。B860モデルは2025/1/14 11:00より※、B850/840モデルは2025/1/7 11:00より発売予定。
※一部モデルを除く。
ASUS
ROG STRIX
ROG STRIX B850-A GAMING WIFI
一度に計21製品が発表されたASUSの次世代マザーボード
今回ASUSから発表されたのは、主に最新世代のCPU「Intel® Core™ Ultra デスクトップ・プロセッサー (シリーズ 2) 」と「AMD Ryzen™ 9000 シリーズ」にそれぞれ対応するマザーボードだ。
実のところ、既に上位のレンジであるZ890(Intel向け)やX870(AMD向け)のマザーボードは発売されており、この記事で取り扱うB860/ B850・B840はミドルレンジに相当するモデル。ただし、ミドルレンジとは言っても実質的に一番の普及帯に当たるため、性能としては十分すぎる製品も多くなかなか侮れない。
チップセットの見方と選び方、B860/B850・B840の特長について
さて製品の概要へと話を進める前に、一旦寄り道として簡単に「チップセットとは何ぞや」と言う話をさせていただきたい。とはいえあくまでも”簡単に”な内容のため自作玄人の方や、既に他サイトなどで知識としてご存じの方は読み飛ばしてもらってOKだ。
まずチップセットについて、これはCPUに続くサブの頭脳だと思っていただければいい。主にCPUとパーツ・デバイスとの橋渡しを担当しており、このチップセットの性能がCPUやGPU・メモリ・ストレージといった各パーツの性能をどれだけ引き出せるかに関わってくると言えるだろう。
ちなみに最新世代であればIntelはZ890・B860・H810の3種類、AMDならX870E・X870・B850・B840の4種類が用意されている。既にお気づきとは思うが、このアルファベット+数字が示しているのがチップセットの名前(性能)なのだ。
ざっくりとした解説として上から順に、Z890/X870系はCPUやメモリなどのオーバークロックが可能であったり、USB等の数が多い最もハイエンドな仕様。B860/850がスタンダードな仕様となり、H810/B840がポート数や機能を抑えた比較的廉価な仕様だ。基本的に3桁の数字のうち2桁目(十の位)が性能のランクに対応しており、1桁目(百の位)が世代に対応すると覚えると、なんとなく見方もわかってくるのではないだろうか。
また今回主に発表されたのB860/B850は、最新CPUへの対応と合わせDDR5・PCIe 5.0といった最新規格への対応や、枯渇しがちだったPCIe 4.0/3.0レーンおよび10 Gbps以上のUSBポートなどの増強が行われている。一般的なユーザーであればまず間違いなく十分な性能で、M.2ストレージを複数台接続するといったコアゲーマーやクリエイターにとっても嬉しいアップデートと言えそうだ。
注目すべきはASUSならではの組みやすさ&使いやすさにこだわった機能の数々
最新CPUへの対応もさることながら、ASUSの次世代マザーボードは性能はもちろんのこと自作PCを組み立てる際の組みやすさや、組んだ後の使いやすさに関わる機能も数多く搭載されている。特に今回発表された製品では、先行したZ890・X870モデルで採用された上位機種譲りの機能が惜しげもなく投入されており、単なるミドルレンジに留まらない製品も多数。ここでは特にコレは!と思った機能についてピックアップしてご紹介したい。
- PCIe Slot Q-Release Slim
主にGPUを取り付ける一番上のPCIeスロットに搭載されたこの機能は、GPUをワンタッチでスムーズに取り外せる優れもの。近年GPUが大型化した結果スロットを完全に覆ってしまい、取り外す際にロックが解除できず苦労した方も多く居るかと思う。しかしこの機能が付いたマザーボードなら、RTX4090クラスですら楽々外すことができるのだ。
- M.2 Q-Slide & M.2 Q-Release
近年一般化したM.2規格のSSD。使用したことが有る方ならお分かりだと思うが、固定するためのネジ留めはかなり気を使う瞬間だ。使用されるネジがかなり小さく、場合によってはケース内に落下して「アレ、どこいった… ?」となることもしばしば。しかし、このM.2 Q-Slide機能が有ればココもワンタッチ。さらにM.2 Q-Release機能に対応するマザーボードなら、その上から取り付けるヒートシンクまでワンアクションで取り付けられる…
ASUSの次世代マザーボードならSSDの取り付けにネジ留めはもはや不要なのである。
- BIOS Q-Dashboard
自作初心者にとって一つの壁になりがちなのが、BIOS(UEFI)の設定である。特にココは必ずしも細かく設定する必要がないこともあり、「初回起動時以降は触ってない」なんて方も居るだろう。そんなBIOS設定をより手軽に行えるのがBIOS Q-Dashboard機能である。メモリークロックやファン速度といった設定項目へ直感的にアクセスできるため、従来必要だったメニュー構造をたどって探す手間とはオサラバ。初めて自作PCを組む方でも比較的安心して設定を触ることができるだろう。
当然の事ながら、これらすべての機能が搭載されているのは今回発表された中でもハイエンド寄りの製品のみではある。一方でBIOS Q-Dashboard機能のように発表されたほとんどの製品で対応している機能もあるため、性能アップだけではない次世代マザーボードの良さとして、製品選びのポイントに加えて貰えれば幸いだ。
ラインアップはB860(Intel向け)が14製品、B850・B840(AMD向け)が7製品
さてそんなASUSのミドルレンジマザーボードだが、なんと一度に計21製品も発表されている。内訳としてはB860(Intel向け)が14製品、B850が5製品、B840が2製品だ。
何でこんなに多いかといえば、まずチップセットが3種類に加え、ATX・microATX・miniITXとマザーボードのサイズが3種類。加えてハイエンドなゲーマー向けのROG、高耐久がポイントのTUF GAMING、そしてエントリー価格帯のPRIME他と3ラインから幅広く展開されているためである。
またIntel・AMDとプラットフォームよる違いあるものの、共通の名称が使用されている製品は概ね共通の仕様になっている。なのでまずはCPUのメーカーで絞りこみ→続いて組みたいPCのサイズ→用途や好みに合わせてブランドといった順番で決めると良いだろう。
- B860(Intel向け)
サイズ | ブランド他 | 製品名 | 市場想定売価(税込み) |
---|---|---|---|
ATX | ROG | ROG STRIX B860-F GAMING WIFI | 50,980円 |
ROG STRIX B860-A GAMING WIFI | 未定 | ||
TUF GAMING | TUF GAMING B860-PLUS WIFI | 40,980円 | |
PRIME | PRIME B860-PLUS WIFI-CSM | 37,980円 | |
PRIME B860-PLUS-CSM | 34,980円 | ||
microATX | ROG | ROG STRIX B860-G GAMING WIFI | 45,980円 |
TUF GAMING | TUF GAMING B860M-PLUS WIFI(専売) | 40,980円 | |
TUF GAMING B860M-PLUS | 37,980円 | ||
PRIME | PRIME B860M-A WIFI-CSM | 34,980円 | |
PRIME B860M-A-CSM | 未定 | ||
PRIME B860M-K-CSM | 未定 | ||
EX | EX-B860-V5-CSM | 未定 | |
AYW | B860M-AYW WIFI(専売) | 34,980円 | |
miniITX | ROG | ROG STRIX B860-I GAMING WIFI | 43,980円 |
- B850・B840(AMD向け)
サイズ | ブランド他 | 製品名 | 市場想定売価(税込み) |
---|---|---|---|
ATX | ROG | ROG STRIX B850-F GAMING WIFI | 55,980円 |
ROG STRIX B850-A GAMING WIFI | 50,980円 | ||
TUF GAMING | TUF GAMING B850-PLUS WIFI | 45,980円 | |
PRIME | PRIME B840-PLUS WIFI-CSM | 39,980円 | |
microATX | TUF GAMING | TUF GAMING B850M-PLUS WIFI | 44,980円 |
PRIME | PRIME B840M-A WIFI-CSM | 34,980円 | |
miniITX | ROG | ROG STRIX B850-I GAMING WIFI | 59,980円 |
次世代マザーの良さを体験したいなら、「ROG STRIX B860-A (B850-A) GAMING WIFI」がオススメ
一通り特徴や概要を紹介したところで、最後に今回発表された中から編集部のオススメマザーボードを挙げてこの記事の締めとさせていただきたい。それはズバリ、Intelを使うなら「ROG STRIX B860-A GAMING WIFI」AMDを使うなら「ROG STRIX B850-A GAMING WIFI」だ。
この2つのマザーボードは上で紹介した「PCIe Slot Q-Release Slim」をはじめとする便利機能にすべて対応。加えて2.5GbpsのLANやWi-Fi 7といった最新のネットワーク規格にも対応している。もちろん、最新世代CPUのアップデートポイントでもあるDDR5メモリの使用やPCIe 5.0でのGPU・M.2ストレージ接続も可能なため、次世代のマザーボードによるメリットを十分に味わうことができるはずだ。
正に筆者自身がそうなのだが2025年となり、約4-5年前(RTX3000番台の頃)に組んだPCがそろそろスペック不足を感じ始める頃合いである。2月には大型タイトルも控えている事だし、これを機に自作PC内部のアップデートや初の自作に取り組んでみるのはいかがだろうか。
ギャラリー
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ROG STRIX
ROG STRIX B850-A GAMING WIFI
出典:メディア向け製品発表会資料
記事内画像は発表会にて撮影