「掃除とは、極論やらなくていいのであればやりたくない作業である。」
格言のように語ったが、あくまで筆者の持論だ。そんな筆者は、床掃除の全てをロボット掃除機に丸投げをしていたズボラ人間である。自動化できるものは自動化して、浮いた時間を別のことに当てられることがロボット掃除機をはじめとした全自動家電の最大の魅力だろう。
熱く語り始めたロボット掃除機についてはまたの機会にするとして、残念ながら現行のロボット掃除機だけでは対応できない床掃除に関する問題があるのをご存知だろうか。(厳密には一部ハイグレードな機種で対応できる可能性はありつつ、まだ十分なラインまで到達していないイメージだ)
その問題とは、”床に落ちた長い髪の毛”と”幼い子供をもつ家庭の床”だと筆者は捉えている。一般論として床は綺麗に保つべき場所だと思うが、先述の二つの問題が巻き起こすトラブルはただの床掃除をかなり面倒なものへと変貌させる。
今回はそんな問題に対して、原点に帰るような形で辿り着いた結論と適する製品を紹介していこうと思う。
床掃除をするなら掃除機?クイックルワイパー?
本題に入る前の予備知識として簡単に筆者の自己紹介をさせてもらうが、パートナーと同棲をしているアラサー男性で、自分にしか影響しないことになると極限にどうでもよくなるB型だ。
わかりやすいエピソードとしては、誰にも迷惑をかけない一人暮らしの時は掃除の頻度がかなり低く、友人が家に来る直前に家を掃除し始めるタイプの人間だった。もちろんその時には便座の裏まで綺麗にする。
長い髪の毛は大変
そんな筆者がパートナーと同棲を始めて気づいたことが、長い髪の毛は特に目立ちやすいということだ。私のような男性にありがちな短い毛も「なんでそんなところにお前が?」というあるあるネタができるぐらいには抜けるが、長い髪の毛が目立つ問題は割と大変な問題だろう。例えばお風呂上がりのドライヤー後の床やブラッシング後のブラシなど、気にしたことがない男性は機会があれば注力して見て欲しいほどである。通販番組でかつらが紹介されている理由がよくわかる。
長い髪というのは床掃除においてかなり面倒で、掃除機を掛ければ回転ブラシに絡まり、ロボット掃除機でも回転ブラシやサイドブラシに遠慮なく絡まる。頼むから素直に吸われてくれ。
最初の頃はこの問題に気づいておらず、掃除機の回転ブラシに謎の黒い指輪が生成されていたことすらある。一部掃除機ではそんな問題に対応した製品も出ているが、まだまだ一般的ではない印象だ。
幼い子供をもつ家庭は大変
また、アラサーということもあり周囲の友人らに目を向けると、かなりの確率で子供をもつ家庭ばかりになってくる。筆者もゆくゆくはその仲間入りを果たすことになるだろうが、幼い子供というのは特に衛生面で気を使うものだろう。主な移動手段がハイハイであったり何かと床に転がっている生き物であるらしいため、床の衛生面には気を使わざるを得ない。
余談だが筆者にはかなり歳の離れた弟がおり、子育て中の両親を間近に見ていた。どこにいくにも除菌シートを持ち運び、外食時の食器がどんなに綺麗だろうと必ず拭いてから使っていたことがとても印象強い思い出となっている。(一応だが、コロナウィルスが流行する10年ほど前の話だ)
また、幼い子供をもつ家庭でよく聞く話として、寝かしつける難しさがあるだろう。ただでさえ神経を使う育児生活に加え、なかなか寝付かない日もあれば夜泣きが激しい日もある。子供の成長のためにも、両親の休息のためにも、一度寝ついた子供を極力起こしたくないことは想像に難くない。
そんな時に問題になるのが、掃除機の騒音問題だろう。現代において主たる床掃除ツールである掃除機は、吸引力の関係から残念ながら音が大きいものが多い。ゴミが残っては意味がないのである程度はしょうがないのだが、子供のための床掃除で子供を起こしてしまっては元も子もない。
床掃除にクイックルワイパーが最適かもしれない
この二つの問題(一つはまだ先の話だが)に対してズボラ人間である筆者はロボット掃除機で対応を取りたいところだが、先述の通り髪の毛が絡んで二度手間だったり、ゴミは取れても清潔とは言いづらかったり、そもそも掃除機を動かしづらかったりするのが現行のロボット掃除機だ。解決できないのであれば、別の手段に頼らざるを得ない。ズボラの天敵である面倒な問題だからこそ、クイックに解決する必要がある。こうして導き出された候補が次のものだ。
※なお使用環境としては木材が主のフローリング、水回りで見かける合成樹脂などのビニール系の床材を想定している。
- 誰もがやったことのある雑巾で水拭き
- 蒸気の力で綺麗にするスチームクリーナー
- クイックルワイパー的な掃除用ワイパー
誰もがやったことのある雑巾で水拭き
ほとんどの人が見たことのある・経験のある方式かと思うので詳細は割愛させていただくが、こと筆者においては、論外である。
何度もお伝えするが、ズボラの筆者にとってこの選択肢はあり得ない。この選択肢が取れるならズボラになんてなっていないのは百も承知である。もちろん、手作業による汚れ除去性能の高さや、薬剤を併用できる選択肢の多さなど、優秀な面があるのは理解している。
蒸気の力で綺麗にするスチームクリーナー
高温のスチーム(水蒸気)を出すことで汚れを浮かせ、除去することができる家電製品だ。ものによっては高温のスチームとモップのように磨く動きが合わさった製品もあり、こと汚れを除去することに関してはかなりの性能を持つ。
Anker社から最新機が登場するように今後の成長が非常に楽しみなスチーム領域だが、まだまだコストと性能の両立が取れていない印象を受ける。ましてや今回の要件は髪の毛を吸い取ることも含まれるため、除去する方向に強いスチームクリーナーは適切ではないだろう。
クイックルワイパー的な掃除用ワイパー
日本在住で知らない方はほとんど居ないと思うが、長いスティックの先にゴミ捕集用のシートが取り付けられる製品で、用途に合わせたドライタイプのシートやウェットタイプのシートにより、ゴミの捕集だけでなく汚れ除去・除菌も行うことができる優れものだ。
正直、これだと確信した。これこそ今回の問題をクイックに解決できる最良の選択肢ではないだろうか。使いたい時にさっとゴミを捕集するだけでなく、汚れ除去や除菌も十分にでき、音もほとんど発生しない。まさに今回の要件にぴったりである。
結果、購入に至ったのが今回紹介する花王 クイックル マグネットワイパーという訳だ。 では各性能と実際の使用感を合わせてお伝えしよう。
新旧比較レビュー、クイックルワイパー vs マグネットワイパー
筆者は実家に暮らしていた際にクイックルワイパーを使用していたが、一人暮らしを始めるタイミングで手元から離れ、最近買い直しをした一種のリピーターのような形だ。理由はどうあれ、筆者のようにクイックルワイパーを使った経験がある人や、基本的なイメージが湧いている人が大半かと思うので、基本的な性能はある程度割愛しつつ紹介させてもらうこととする。
まずお伝えしたいのは、実は今年の3月に新製品が登場していたということだ。最大の変更点は、記事タイトルでもわかるように、マグネット式にリニューアルした点。
実際に細かい箇所も含め、クイックルワイパーとクイックル マグネットワイパーの新旧比較レビューをしていこう。
装着方法比較、シートを挟むだけの簡単装着
従来のクイックルワイパー(以下、旧式)はシートをヘッド(床に押し付ける部分)の下に轢き、シートの端をヘッドの切れ込み穴に差し込む形だったと思うが、マグネット式に変わったことで使い勝手が大幅に向上した。12年ぶりのリニューアルとのことだが、むしろ12年も変わらずに使われ続けていることにびっくりした次第である。
マグネット式ではヘッド部分が上下に分かれるようになっており、差し込むのではなくヘッド自体で挟むだけで装着完了だ。
具体的な装着工程は次のとおり。
2. ヘッドをつつみ込むようにシートを折る(下半分)
4. 上からヘッドの上部をのせるだけで装着完了だ
写真ではわかりづらいという方は冒頭にある動画も参考にいただければと思うが、これが思っている以上に楽だとお伝えしたい。旧式の時は4回も差し込む動きが必要な上、ゴム製の差し込み穴とはいえ装着時に指が挟まるのが気になりやすかった。
ましてや、長年使うと差し込み穴にゴミが溜まりやすいという、掃除ツールが一番汚れる展開が多々あった。それが多少シートを折って乗せるだけになり、フラットでゴミも溜まらない作りになるとは。
イメージとは裏腹にズレにくいフィット感
「正直磁石でくっ付けるってどうなの?」「すぐズレない?」と思う方も多いと思うが、実際の使用感としてはそんな心配は全くの無用だとお答えしたい。旧式は力強く使用するとシートがズレることが多々あり、その度にしゃがんでつけ直す作業が発生していたが、マグネット式になってからはかなりズレにくくなった。こればっかりは個人差も出るところだと思うので実際に試してもらうほかないのだが、筆者の周囲に貸し出してもズレないという意見が大半だったので少しは安心して欲しい。
少しでも降ろしてしまうと、すぐにくっついてしまうぐらいには磁石の力は強力だ。
地味に改良、横の動きにも対応したマルチ捕集構造
旧式からの仕様だが、実は床に押し付ける際によりゴミを捕集するよう、ヘッドの裏は凹凸の模様がついている。マグネット式になるにあたり、その模様にも改良が加えられている。
逆に円が四方から内に向け重なっているのがマグネット式(右)
旧式は正体で前進・後進する動きに対応した円の配置・模様の切れ目になっていたが、左右へ向かう動きだとゴミを横に流してしまう模様になっていた。マグネット式では四方に対し内に留める模様に変わったため、狭い場所や部屋の端でも存分にゴミを捕集してくれる。
その他の改良点、細かな配慮の効いたストレスフリー設計
大きな変更点としては前述のとおりだが、他にも細かな配慮が施されている。
マグネット式になった構造の違いも起因するが、重さが100g以上増えたこともあり、ヘッドの全面に力がかかりやすくなった感触がある。体感レベルとなってしまうが、旧式ではどうしても四隅に力が偏りがちだったものが、マグネット式では中央にも力が加わり、より無駄なくゴミを捕集してくれている印象だ。公式情報としても、旧式より密着面積が126%向上したとデータが出ている。
画像引用元:https://www.kao.co.jp/quickle/lineup/wiper/
また持ち手の先がラバー素材になっており、ふとした拍子に壁に立てかけても倒れづらくなっている点や、持ち手の棒がほぼ90度倒れるため、高さ3cmの隙間でも掃除できる点は旧式から変わらずマグネット式でも採用されている。
掃除機では対応できない問題にこそ、クイックル マグネットワイパー
ズボラ人間でも必要に駆られ手にしたクイックル マグネットワイパーだったが、その仕事っぷりには感心している。とは言えあわよくば自動化できないものかと日々新製品情報を追いかけることにはなるが、床掃除において長い髪の毛を残さず幼い子供にも安心して使える製品となると、しばらく右に出るモノは現れないだろうと思う。
ちなみに、旧式と紹介した従来のモデルも引き続き生産されているようで、公式としては旧式がドライシート向き(拭き掃除)、マグネット式がウェットシート向き(水拭き掃除)という分け方をしているようだ。筆者の環境ではそもそも水拭きを想定していたのもあるが、使い勝手の体感としては重量の差ぐらいのため、個人的には気にせずマグネット式をおすすめする。(強いていうなら高所の拭き掃除をする人は考慮すべき点かもしれないが)
汚れ除去や除菌性能はどうしてもシートに依存する部分のため割愛させていただいたが、私と同じような悩みを抱えている方には是非一度試してほしい。ロボット掃除機がいらなくなる世界が訪れる………かもしれない。
製品詳細
製品名:クイックル マグネットワイパー
価格(執筆時点):2,398円(税込)
公式サイト:https://www.kao.co.jp/quickle/lineup/wiper/