「水月雨(MOONDROP)試聴発表会2026」レポート。静電型「MOONZERO」に平面磁界型「DARK SIDE」など日本初公開の新製品がずらり

HiFiイヤホン・ヘッドホンブランドとしてすっかりお馴染みになった水月雨(MOONDROP)が2026年9月5日(土)、東京・サピアタワー内のステーションコンファレンス東京にて「水月雨(MOONDROP)試聴発表会2026」を開催した。同社が日本国内で試聴イベントを単独主催するのは、これが初めてのこと。

これまでMOONDROPの新製品といえば、深圳などで開催される中国国内のオーディオショーで発表されるのが基本であり、その情報をネット越しに見るしかなかった読者も多いはず。それが今回、この試聴会によって国内未発売の製品をまとめて体験できる…!これは是非とも聞きに行かねば。

というわけで本記事ではそんな新製品を中心に、当日のレポートをお届けしていこう。

イベント概要

水月雨(MOONDROP)試聴発表会2026


イベント名:水月雨(MOONDROP)試聴発表会2026
開催日:2026年9月5日(土) 11:00〜16:00(最終入場15:30)
会場:ステーションコンファレンス東京5F 502・503A
(東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー
公式サイト:https://moondrop.co.jp/
公式X:https://x.com/MOONDROP_JP

目次

国内未発売の新製品が目白押し!静電ドライバーに平面磁界型も

今回の試聴会ではメディア向けの発表が行われたのち、少し時間を開けて一般開放という流れで行われた。発表パートでは、試聴会に合わせ来日したMOONDROPの社長「鄭(水月) 氏」自らが登壇し、日本語で製品の紹介を実施。日本語があまり得意ではないと言いつつも、全パートを日本語で説明していくれた。

MOONDROP 社長「鄭(水月) 氏」
MOONDROP 社長「鄭(水月) 氏」

会場の中でもひときわ人だかりができていたのが、MOONDROPがブランドとして初めて手がけるハイエンド機の一角だ。中国本国の発表会以来、大きな注目を集める新製品達が日本でもまとめて初披露となった。

7年もの歳月をかけた、MOONDROP念願の静電ドライバーヘッドフォン「MOONZERO」

まず目を引いたのが、静電ドライバーヘッドフォン「MOONZERO」。会場で登壇した代表の鄭(水月)氏いわく、7年前から開発を始め、数えきれないほどの試作と数々のトラブルを乗り越えてようやく完成させた「念願の静電型ヘッドフォン」とのこと。

静電ドライバーヘッドフォン「MOONZERO」

スペックを見ると、直径112mmという大型の静電ドライバーを独自開発。振動板には厚さわずか1.2μmという極薄の素材(詳細は企業秘密)を採用し、温度・湿度の変化に強く、分極電荷分布も均一な特性を実現したという。ハウジングはオープン型で二重の保護ネットを備え、ドライバー保護とハウジング内反射の低減を両立。ヘッドバンドにはドライカーボンを使用し、装着感と耐久性、軽さを兼ね備えたとのこと。イヤーパッドはラムスキンで、入力プラグは汎用5ピンのため、市販の静電型ヘッドフォンアンプの多くに対応できるそうだ。

静電ドライバーヘッドフォン「MOONZERO」
静電ドライバーヘッドフォン「MOONZERO」
静電ドライバーヘッドフォン「MOONZERO」

会場にて視聴した感触としては、静電型らしい繊細さと、中高域の煌びやかさが特に印象的。かといって低域が足りないかといえばそうではなく、バランスの取れた音作りなのがわかる。この音で国内売価10万円切りをイメージしているというのは素直に驚きだ。もちろん静電型である以上、アンプも対応のものが必要になるためその点だけはネックだが、ヘッドフォン単体でみたら破格の水準と言えるだろう。

もう一つのフラッグシップ級モデル。平面磁界型ドライバー搭載の「DARK SIDE」

MOONZEROと並んで注目を集めていたのが、平面磁界型ドライバーを搭載するもう一つのフラッグシップ級ヘッドフォン「DARK SIDE」。2025年に開発中であることが明かされていたモデルで、1年間の開発・調整をへてついに完成したモデルだという。

平面磁界型ドライバー搭載の「DARK SIDE」

フレームには多層複合カーボンファイバーを採用し、ヘッドバンドパッドは3Dプリント製で柔軟性と調整機能を両立。ドライバー部はユニットと本体構造を一体化させた特許構造で、CNC切削によるPMMAフレームやセラミック製の振動板固定ブラケットを組み合わせている。振動板は厚さ500nmと薄く、そこに純金の導体パターンを施すことで、面積の95%以上を直接駆動するFDT全面駆動を実現したそうだ。それぞれ鄭氏曰く「(素材・技術コスト面で)すごく高い」とのことで、その他にもキャリングケースや固有シリアル入りの金属プレートまで付属するプレミアムなモデルになりそうだ。

フレームには多層複合カーボンファイバーを採用。
フレームには多層複合カーボンファイバーを採用。
「DARK SIDE」
「DARK SIDE」
「DARK SIDE」
「DARK SIDE」

中高域の煌びやかさが印象的だった「MOONZERO」と異なり、「DARK SIDE」は全体的に滑らかに音が出ている印象だった。低域は控えめではあるものの、開放型なのもあって、中高域は非常に伸びやか。一方で外音の影響を受けやすいため、可能なら静かな環境で聴けるとなお良いだろう。

5ドライバー・トライブリッド構成の新作イヤホン「Silicon」

有線イヤホンの新作として、シンガポールのオーディオ評論家Crinacle氏とのコラボモデル「Silicon」も国内初公開された。1DD+2BA+2MEMSの5ドライバー・トライブリッド構成で、高域には新型MEMSドライバーを2基搭載。専用のパワーアンプを必要とせず、フラットで切れ味の鋭い高音描写が可能だという。

5ドライバー・トライブリッド構成の新作イヤホン「Silicon」

低域用ダイナミックドライバーには極薄の無垢バーチを使ったドーム形状の複合振動板が用いられているほか、中域は専用設計のBAドライバーで、3Dプリント製のネットワークや高精度なRC周波数分割回路を採用しているとのこと。ケーブルは2ピンの着脱式で、4.4mm・3.5mmのプラグを両方同梱。イヤーピースも2種類付属するなど、細部の作り込みは価格帯を考えても手厚い。価格は43,920円で、発売時期は未定だ。

5ドライバー・トライブリッド構成の新作イヤホン「Silicon」
5ドライバー・トライブリッド構成の新作イヤホン「Silicon」
パッケージイラストのキャラクターはCrinacle氏とのコラボに合わせて新たにデザイン
パッケージイラストのキャラクターはCrinacle氏とのコラボに合わせて新たにデザインされたという。

周波数特性を見ると低域が印象的なタイプのイヤホンかと思っていたが、実際に聞いてみると低域をしっかりと出した上で、しっかりとバランスの取れた製品だった。必要十分な低域が質量を感じさせつつ、抜けのいい高域によって音のボヤつきがない。装着感も安定しており、明確に“良い”と感じられる製品だ。もし「今回試聴した製品から、一つだけ欲しい物を選べ」と言われたら、間違いなく「Silicon」を選ぶだろう。

周波数特性から低域強めの製品かと思いきや、非常にバランスの取れた音作りがされていた。
周波数特性から低域強めの製品かと思いきや、非常にバランスの取れた音作りがされていた。

取り回しに優れたTWSの新モデルや手に取りやすいエントリーモデルも登場

ハイエンド機ばかりに目が行きそうになるものの、そこはエントリーにも強いMOONDROP。今回の試聴会でも普段使いのしやすいモデルが一通り揃っていた。

TWSの上位モデルとして登場した「The Garden」

完全ワイヤレスイヤホン(TWS)の上位モデルとして披露されたのが「The Garden」。ドライバーは13mm径の平面磁界型で、UDカーボンファイバー製の振動板により軽量かつ低歪みを狙っているという。

TWSの上位モデルとして登場した「The Garden」

Bluetoothコーデックは LDAC・LHDC-Vに対応し、フィードバック・フィードフォワード式のハイブリッドANCも搭載。またアプリのパラメトリックイコライザーは、自分好みに調整した設定を他ユーザーと共有できる面白い仕様だ。その他にも本体12時間、ケース併用でさらに30時間のバッテリー駆動など、死角の少ない仕上がりにとなっている。

価格は27,900円予定とやや高価だが、ハイエンドクラスのTWSとしてはある種一般的。独創的なデザインと平面磁界ドライバーが気になる方は、一度実機をチェックしてみて欲しい。

「竹」シリーズ第3世代「竹III – CHU3」の姿も

「竹」シリーズ第3世代「竹III - CHU3」

8月27日に発売されたばかりの「竹」シリーズ第3世代「竹III – CHU3」も並んでいた。価格4,950円というエントリー帯ながら、通常はハイエンドクラスに採用される「Al-Mg合金ドーム複合振動板」や「N52ネオジムマグネット」を惜しみなく搭載。B&K 5128リファレンス級測定システムに基づく精密なチューニングを施すことで、原音に忠実な高品位サウンドを実現したという。カラーはブラックとシルバーの2色で、すでに購入できる製品だけに、これから初めてMOONDROPのイヤホンを試す方への入り口としても分かりやすい一台だ。

2Pinの有線イヤホンをTWS化できるDACアンプ「EVO 2」

有線イヤホンをワンタッチでワイヤレス化できる耳掛け式のDACアンプ「EVO 2」も、今後の登場が予告されていた。専用設計のBluetoothコントローラーと高効率なデジタルパワーアンプにより、よりパワフルにイヤホンを駆動できるという。

DACアンプ「EVO 2」

コーデックはLDACとLHDC-Vに対応し、連続再生は本体で最大15時間、ケース併用でさらに45時間と必要十分。さらに大型の充電ケースによりカスタムIEMすら装着したまま収納できるとのこと。アプリからは10バンドのパラメトリックイコライザーでのユーザー・チューニングも可能で、設定を他ユーザーと共有できる機能もThe Gardenなどと共通している。価格は16,650円の予定。

ケース自体の深さに余裕があり、ハウジングの大きなイヤホンでも装着したまま持ち運べる
ケース自体の深さに余裕があり、ハウジングの大きなイヤホンでも装着したまま持ち運べる

ゲーム向けの新シリーズ「MOONDROP GRAVITY」がお目見え

今回の試聴会で個人的に気になるところと言えば、ゲーミング領域向けの新サブブランドとして発表された「MOONDROP GRAVITY」だ。近年では様々な中国系オーディオメーカーがこの領域に参加しており、MOONDROPがそこに加わった形だ。

MOONDROP GRAVITY発のヘッドセット「GM01 Pro」&「GM01」

おそらくMOONDROP GRAVITYの代表的な製品となるのが、この「GM01 Pro」および「GM01」だ。2.4GHzワイヤレス、Bluetooth、USB-C有線、3.5mm有線という4つの接続モードを備え、独自のワイヤレスリンクと高出力トランスミッターにより、理論値で最短15ms、実測でも最短30msという低遅延を実現しているという。ゲーミングヘッドフォンとしては珍しいほどコストをかけたというユニットは50mm径で、N52ネオジウムマグネットとカーボンファイバー複合ドームの振動板を採用。ハウジングにはカーボンやアルミの装飾パーツを使い、質感も作り込まれている。

GM01 Pro
GM01 Pro

Webブラウザやスマホアプリからはゲームタイトル別のプリセットや10バンドのパラメトリックイコライザーが使え、設定をクラウドに保存・共有することも可能。1,000mAhのバッテリーで2.4GHz接続なら100時間、Bluetoothなら150時間という長時間駆動をこなしつつ、本体重量は270g以下に抑えているという欲張りな仕様だ。価格は10,800円で、ブラックとホワイトの2色展開。

さらに、中国のECプラットフォームJD.comとのコラボモデル「GM01」も用意されており、こちらはGM01 Proをベースにドライバーや外装をコストダウンした廉価版という位置づけだそうだ(価格は未定)。これまでこうしたゲーミングヘッドセットはいわゆる“ゲーミング”なデザインが多かったこともあり、価格の手頃さも相まって一定の人気が出そうなモデルと言える。

GM01 ブラックモデル
GM01 ブラックモデル
GM01 ホワイトモデル
GM01 ホワイトモデル

E.S.Combo

MOONDROP GRAVITYシリーズからはもう一点、ケーブル着脱式の有線イヤホンをゲーミング用途に転用できるアクセサリーセット「E.S. Combo」も出展されていた。リケーブルに対応した2Pin接続のイヤホンであれば、なんでもヘッドセット運用ができるアイテムとなっている。

E.S.Combo

イヤホンケーブル、着脱式ブームマイク、ケーブル一体型DACアンプ、変換アダプター、クリップなどを組み合わせて使う仕組みで、ボイスチャット用のワンタッチミュートスイッチやAIによる環境ノイズ抑制機能も備える。DACアンプ部はUSB-C接続に加え、変換アダプターでUSB-A接続にも対応。5種類のチューニングモードをワンタッチで切り替えられるほか、Webブラウザやアプリからのパラメトリックイコライザー調整、設定の共有機能もしっかり用意されている。価格は7,380円で、発売時期は未定。

アクティブHiFiスピーカー「MM3A」は9月から10月に発売予定

専用の試聴ルームで聞くことができるのは、こちらも発表以来注目を集めているアクティブスピーカー「MM3A」だ。海外ではすでに7月22日に発売済みで、MOONDROPにとって同社初となるアクティブスピーカー製品にあたる。今回はその日本仕様が、入れ替え制の専用ブースで試聴できるようになっていた。

アクティブHiFiスピーカー「MM3A」

試聴した感想としては、そのコンパクトなサイズに似合わない音質の良さが印象的だ。多少低域にパワー不足感はありつつも、全体としてはかなりまとまっており、PCなどと組み合わせたニアフィールド環境では十分な性能と言える。ボーカルをはじめとした中高音域は同社らしい透明感があり、解像感もかなり高く感じた。日本での価格は25,200円になる見込みで、国内投入は9月から10月ごろになるとのこと。

今年登場予定のMOONDROP製品が一度に楽しめた「水月雨(MOONDROP)試聴発表会2026」

こうして振り返ってみると、静電型のMOONZERO、平面磁界型フラッグシップのDARK SIDE、Crinacle氏とのコラボイヤホンSilicon、そして初のアクティブスピーカーMM3Aまで、価格帯もカテゴリもばらばらの新製品が一堂に会していたのが、今回の試聴発表会の面白いところだった。会場では代表の鄭氏がスポットで登場する場面や、SNS投稿でグッズが当たる抽選会も用意されており、単なる新製品展示にとどまらない、ファンとの距離の近さを感じさせる。

水月雨(MOONDROP)試聴発表会2026
水月雨(MOONDROP)試聴発表会2026

今後、各モデルの発売時期が固まり次第、随時情報が公式X(@MOONDROP_JP)などで発信されていくはずなので、気になる製品があった方はそちらもチェックしておきたい。

ギャラリー

水月雨(MOONDROP)試聴発表会2026


出典・関連リンク

MOONDROP 公式サイト

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