SAKEICE:ほろ酔いでは済まない!?日本酒×アイスの専門店をレビュー

株式会社えだまめ

アイス

SAKEICE

季節は初夏。暖かいというよりも暑い日が増え始め、こんな日にはキンキンに冷えたビールを流し込みたい!そんな人も多いのではないだろうか。

しかしここで忘れてはならないのが和の心。キリリと冷えた冷酒も捨てがたいものだ。
特に生酒などは相性がよく、夏の暑い日などにキュウリやナス、カブの浅漬けをつまみに一杯。 実に乙というものだろう。 ビールが喉越しを楽しむものであるなら、日本酒は口当たりや香りを楽しむもので、どちらかといえばワインに近い。温度変化による香りの立ち方の違いなどを楽しむには冷酒はうってつけだ。

ちなみに邪道ではあるが、筆者は炭酸水で割るハイボール的な飲み方も好きで、アレはあれでまったく雰囲気が変わる。特に甘口・濃醇系の日本酒などですると、炭酸の爽やかさが加わることで驚くほど飲みやすく、そして加水によってより香りが分解され豊かな色彩が楽しめる。少々とっつきにくいタイプの日本酒でも、ゴクゴクいけてしまう危険な飲み物へと変貌するのでぜひ機会があれば試していただきたい。

さて話は逸れたが、今回はそんな日本酒アレンジの中でもスイーツに近い、日本酒を使ったアイスについて紹介しようと思う。さっそく美味しさをお伝えしたいところではあるのだが、まずは一呼吸おいてブランドであるSAKEICEについてご確認いただこう。

目次

SAKEICEは日本酒をたっぷり練りこんだ大人のアイス

SAKEICEとは日本初の日本酒アイスクリーム専門店。東京八重洲と池袋に店舗を持ち、提携店とオンラインショップではカップアイスを購入することができる。

SAIKEICE webコンセプトイメージ

一般的にお酒を使用したアイスというとワインやリキュールを使用したシャーベット系や、ブランデーやウィスキーなどをアイスにかけるソース系の2パターンがイメージされると思うが、SAKEICEで扱っているのは、お酒を使ったアイスでは少々珍しいミルク系のアイスクリームに混ぜ込む形式だ。

それも、これまであったような「運転される方はお控えください」程度の微量ではなく、製品段階でどれも3%以上のアルコール度数と、チューハイ程度にはしっかりとアルコールが含まれているモノになっているのが特徴的。ただし酔うのためのアルコール度数というよりは、それだけしっかりと日本酒を練りこんだ結果によるものだと考えるとよいだろう。そのあたりも良くある”大人の〇〇”系の製品と異なるところだ。

SAIKEICE web 高アルコール度数
公式サイトでも高アルコール度数が謡われている。詳しくは味の紹介の際に述べるが、鼻につくようなアルコール臭さは全くないので安心してほしい。

和を感じさせる店内で日本酒アイスを味わう

前述したとおりSAKEICEには八重洲と池袋に実店舗が存在する。我々編集部は偶然カップアイスからその存在を知ったのだが、HPで見る限り店舗はなかなかお洒落な店構え。その上その場でスクープをしたアイスを食べれるというのだから、行ける場所にお店があるのであれば現地で食べてみたい。

その瞬間我々編集部の脳裏に浮かんだのは、これまでの慌ただしいイベント取材の日々である。 たまにはただただ編集部が美味しい思いをする記事があっても良いのではないだろうか…? こうして思いを一つにした編集部は現地へと足を運んだ。

SAKEICE Tokyo Shop(八重洲)の様子

東京駅の八重洲口をでてすぐYANMAR TOKYO裏手に向かうと、SAKEICE Tokyo Shopの外観が見えてくる。和食系の店舗や酒造、あるいはお米屋さんなどを想起させる和風のデザインが特徴だ。店舗ロゴもロゴというよりは、紋といった雰囲気になっておりこちらも和の空気に一役買っている。

SAKEICE Tokyo Shop 店頭
当日は絶好のアイス日和というべきか晴天だったこともあり、ちょうど日陰になっていた店前を歩く人影も見受けられた。
SAKEICE Tokyo Shop ランチハッピーアワー
訪れた際にはランチハッピーアワーが開催されていた。平日14時までアイスとドリンクがセットでお得に注文できる。

店内に入ると、アイスクリーム用のカウンターと今後販売予定だという日本酒用の冷蔵庫が目に入る。それ以外はカップアイス用の冷凍庫に、奥に見えるおそらくストック用冷蔵庫、ベンチくらいと店舗内はそこまで広くなく、少々お行儀は悪いが買った後は食べ歩きをするのが良いだろう。この辺りは店舗の入っている建物であるYANMAR TOKYOを始め、商業施設が集合しているためショッピングモールを巡った後の小休止にもよさそうだ。

SAKEICE Tokyo Shop 店内の様子
正面のガラスケースがメインのアイスが選べるカウンター。右手側がテイクアウト用のカップアイスだ。

前述のとおりオンラインでも購入できるSAKEICEの製品だが、店舗で販売されているものとは食感と種類の点で大きく異なる。店舗ではアイスを手作りしている一方、カップアイスは大量生産のため機械化されているからだ。
ちなみに池袋の店舗「SAKEICE 池袋店」では店内でアイスを作っており、今回伺った「SAKEICE Tokyo Shop」は店舗スペースの都合上、池袋店で作成したものを運び込んでいるのだという。出来立てが気になる人は池袋店に足を運ぶのもオススメしたい。

加えて店舗には期間限定のものなどもあり、オンラインで購入できるものより種類が豊富になっているほか、サイクルも早いので訪れる毎に違う味が楽しめるだろう。

SAKEICE Tokyo Shop 店頭ラインアップ
当日販売されていたラインアップはこちら。
現在販売中のものはホームページの店舗メニューから確認できるので参考にしてほしい。
https://sakeice.jp/products/scoop-shop-flavors/?type=alcoholic

SAKEICEはとろみのある滑らかな舌触り

さて少し焦らしたところで、食レポに移っていこう。カップアイスも冷凍庫から出して少し溶け出したくらいが一番食べごろと言うし。

一見すると一般的なアイスクリームと何ら変わりが無いのだが、受け取ってすぐその差がわかる。日本酒が多分に練りこまれているからか、それともディスプレイカウンター内の温度が絶妙なのか、とても表面が溶けだしやすいのだ。こういう表現をするとネガティブに聞こえてしまうかもしれないが、要するに渡された瞬間にもう食べごろなのである。

SAIKEICE 日本酒アイスの光沢感
この写真など溶けだしたことによる表面の光沢感がわかりやすいと思う。早速楽しみたいところを我慢して、記事にするため写真をキチンと残した筆者をほめていただきたい。

口に含むとわかるのは、とろける様な舌触り。純粋に溶けだしたアイスというだけでなく「濃醇系の日本酒のような若干の粘りを感じる」そういった方向性でのとろみだ。アイスクリームというより、食感そのものはジェラートやソフトクリームが近いように思う。

SAIKEICE 日本酒アイスの粘り
スプーンですくい上げた際には視覚的にもわかる。ネバネバでもなく、トルコ風のように伸びるでもない、濃厚さによって生み出される独特の延性を持っている。

またいくつかの種類を試させていただいたが、共通しているのは”いい意味でのアルコール感の無さ”だ。よくあるアルコール入りのアイスやチョコレート、缶チューハイに感じるアルコール臭さは全くと言っていいほどないため、お酒が苦手な人でもパクパク食べれてしまう。

しかし気を付けなければならないのは、どんなに食べやすくてもこのアイスは高アルコールを売りにしているという点だ。一緒に行った「ほろよい」を一缶飲みきると“ほろ”が抜けてしまうような編集部員は、いわずもがなしっかり酔っていた。筆者も体がポカポカするくらいにはアルコールを感じていたので、美味しいが故に自制が求められるという点でも”大人のアイスクリーム”なのかもしれない。

総評はここまでとして、編集部が現地で食した4種類について個別に紹介しよう。

日本酒アイス(アルコール)

ミルク系の味を主としながらも、しっかりと日本酒らしい味わいを感じることができる。 最初に来るのはよく慣れ親しんだミルクの風味、その後ベースとなった日本酒の味とその香りであろうバナナやメロンに似たフルーティな香りが漂い、その後はまさに溶けるようにミルクに収束していく。 銘柄は公開されていないため筆者の想像でしかないが、日本酒の味はいわゆる甘口・濃醇系のものが使われていると思われる。ただその手のある種”もったりとした味わい”がミルクとうまく調和しているため、辛口・淡麗系が好きな方でも楽しめるはずだ。

「日本酒アイスってどんなもの?」という人に、まず食べていただきたい「SAKEICE」の基本形と言える。

SAIKEICE 日本酒アイスのシングル
店頭ポップには「不動の人気 No.1」の文字がおどっていたが、それも頷ける味わいだ。

隠岐誉 室町の純米酒(アルコール)

フルーティだった日本酒アイスと比べ、黒糖や干しブドウなどやや重みのある香りと甘さは、ベースとなった隠岐誉 室町の純米酒に由来するものだろうか。日本酒アイスと同じ系統の味わいなのだが、より甘口・濃醇系の日本酒らしい日本酒の味を感じることができる。

ミルクの影響か、おそらく元の味わいよりもマイルドになっており、どちらかと言えば淡麗系が好きな筆者でも美味しく食べることができた。特に、ブランデー+アイスやウィスキー+アイスが好きな人にはオススメだろう。

ライチアイス(アルコール)

こちらはSAKEICEの中では変わり種、日本酒ではなくライチのリキュールを使用している。海外のイベントに招待された際に企画したものだそうで、ノーマルの日本酒アイスと同じくミルク系の風味にライチの爽やかな甘みが感じられ、後味がすっきりしているのが特徴だ。 日本酒ではないためかよりお酒感はなくなっているが、それでもアルコール度数は2.5%。しっかり含まれているので食べすぎには注意してほしい。

SAKEICE 「隠岐誉 室町の純米酒」と「ライチリキュール」のダブル
「隠岐誉 室町の純米酒」と「ライチリキュール」のダブル。しっかりした甘口・濃醇系日本酒と爽やかなライチの組み合わせは、選んでくれた店員さんナイスチョイスだったと思う。ありがとうございます。

ピンクの米粉アイス(ノンアルコール)

アルコールの含まれたフレーバーだけでなく、ノンアルコールも存在する。ピンクの米粉アイスはその名の通り富山県産の赤いもち米粉を使用しており、着色料不使用にもかかわらず淡いピンク色をしている。表面には前述の米粉と思われる粒がまぶしてあり、こしあんのような舌触りだ。 もちろん味はこしあんとは異なり、ミルクベースにお米の甘さが加わった優しい味で、どこかほっとする雰囲気を味わえる。

他にはない食感のアイスのため、アルコールが苦手な人やお子様だけでなく、アルコールが大丈夫な人も含めぜひ多くの人に試してほしい。

SAKEICE ピンクの米粉アイスのシングル
うっすら桜色に色づいたピンクの米粉アイス。
写真では少しわかりにくいが、米粉によるサラリとした口当たりが特徴だ。

宅配で自宅でもSAKEICEが楽しめる。

ここまで店頭でのSAKEICEの魅力をお伝えしたが、ここからはオンライン販売されているカップアイスにフォーカスしていこう。今回編集部では6種類ものフレーバーが含まれているパックを試しているので、それぞれの味に触れつつも誌面の都合上”簡単に”でお許しいただきたい。

左上から日本酒アイスのチョコレート、抹茶、柚子、ノーマル。そして男山とノンアルコールの紫あまざけだ。

日本酒アイス(アルコール)

店頭で食べたものと同一フレーバーの、こちらはカップアイス版。店舗で伺った通り手作りと機械製造の差か、若干口に含んだ際に感じる粘度が異なるが味は高いレベルで一致している。自宅で食べるなら追い日本酒をしてもいいだろう。その際にはベースの日本酒同様、甘口・濃醇系のものをオススメしたい。

男山(アルコール)

ノーマルに比べよりミルク感が控えめで、日本酒っぽさを感じるのがこちら。とはいえアイスになることでアルコール分が抑えられているせいか、酒造でよく売られている酒粕を絞ったタイプの、若干のアルコール分を残しつつあまり砂糖の入っていない甘酒に近い雰囲気を感じる。筆者は酒造の甘酒が大好きなため、同じような人にはマッチするだろう。

紫あまざけ(ノンアルコール)

宅配パックのノンアルコール枠がこの紫あまざけだ。その名の通りこちらはハッキリと”あまざけ”で、麹をベースとした一般的なあまざけの味に近い。また使用しているお米の種類によるものか、さつま芋や栗に似た味わいも感じられる。

チョコレート(アルコール)

お酒と言えばチョコレートと言っても過言ではないほど定番のフレーバー。そして当然のごとく美味しい。よくある洋酒系に比べアルコール感はなく、それでいてベースの日本酒の持つフルーティな香りがチョコレートに程よくプラスされている。チョコレート・抹茶・柚子の中で最も万人受けするだろうと言えるのがコレだ。

抹茶(アルコール)

日本酒が加わったことによる変化が最も大きい。抹茶アイスの”抹茶ミルク”感はあまりなく、どちらかと言えば緑茶に近い味わいに柑橘系のフルーツのようなの爽やかさが加わっており、一般的なモノを想像していると確実に驚かされるだろう。それでいて後味は抹茶な面白いアイスに仕上がっている。

柚子(アルコール)

多くの人が、柚子シャーベットを食べたことはあっても柚子ミルクは無いのではないか。このフレーバーではそんな柚子ミルクを味わうことができる。柚子特有の爽やかな香りと、少し苦みを持った独特の甘酸っぱさがミルクに溶け込むことで、主張を残しつつも角の取れた絶妙なバランスを感じられる。

やはり屋内でまったりと楽しむアイスはこれはこれで良いものだ。確かに店頭で食べる方が、食感や選べる種類の面で優れてはいる。がしかし、食べる環境や食べ方の自由度の点でいえば宅配のカップアイスも捨てがたい。夏に食べても十分美味しいが、冬場に炬燵にくるまって食べたならアルコールによるポカポカ感も相まって最高だろう。

またタイミングによっては「店頭では販売されていないフレーバーが、宅配でなら食べられる」なんてこともあるので、都内に行きにくい方や自宅でゆっくりと食べたい方は、ぜひこちらも試してみてほしい。

日本酒×アイスという新たな日本酒の楽しみ方

近年では徐々に日本酒(SAKE)の海外認知も進み、また国内においても「ぽんしゅ館」がSNSで注目を浴びたり、獺祭品薄のニュースによる転売の横行といった事実も記憶に新しい。古くから親しまれている日本酒が、ここ10年ほど徐々に再度注目を集め、新たなファンを増やしている印象だ。そんな中でこれまで「アイスクリームと言えば洋酒」だった空気に風穴を開けるSAKEICEの存在は、非常に面白いものになるだろう。

また日本酒と言えば辛口・淡麗が好まれやすい印象のある現代において、クセの強い甘口や濃醇な日本酒は嫌煙されがちに見える。しかし、アイスクリームという形であればまた見方も変わってくるに違いない。ミルクによって丸められた味は、より口当たりがよく親しみやすいものに変わる。

こんなことを書くと日本酒が好きな人からは「本来の味で楽しめ!」と怒られてしまうかもしれないが、「珈琲や紅茶は苦手だけど、カフェオレやミルクティーなら好き」という人が居るように「日本酒もアイスクリームなら好き」という人が居てもいいと思うのだ。
きっとそこからベースになった日本酒を好きになって、日本酒というカルチャーをより一層盛り上げる人々が生まれてくるはずだ。その初めの一歩にSAKEICEはちょうどいい。

まずは試しに一口、いかがだろうか。

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