今や毎度お馴染みとなった、Apple社による新製品発表。
日本からするといつも深夜に行われるため多少大変ではあるのだが、なんだかんだ気付くとワクワクしながら見ているという方も多いだろう。
例年9月にiPhoneを始めとした発表を行うということもあり、今回もSNSでは噂やリークを元にした様々な憶測が飛び交う盛り上がりを見せていた。6月に行われたWWDCでは15インチMacBook AirやM2関連、Apple VIsion Proが発表されたが、今回の行われた発表では何が紹介されたのか。
早速本記事でも紹介していこう。
新たなApple Watch Series 9が登場
まずはAppleWatchから。最新となるSeries 9が発表された。
新型SiP「S9」を搭載
CPU性能としては、Series 8のS8よりもトランジスタが60%増えた56億個に。
GPU性能としても30%高速化。watchOS 10のアニメーションやエフェクトがかなり滑らかになるようだ。
また「S9」では新しい4コアNeural Engineを搭載。機械学習のタスク処理が、最大2倍早くなるとのこと。
Siriの一般的なリスクエストも端末上で処理が可能になり、通信状況などに影響を受けることがなくなった。音声入力もSeries 8より最大25%正確になり、処理全般がより早く安全に行えるようになったそうだ。そのおかげもあってか、ヘルスケアデータにもアクセスできるようになり、Siriだけでアクセスできる情報が増える形となる。(なお、日本語対応はまだ先の模様)
そして、各種性能が向上したにも関わらず、バッテリー駆動時間も従来モデルの18時間をキープ。
第2世代の超広帯域無線チップを搭載
機能面としては、第2世代の超広帯域無線チップを搭載したことにより、同チップを搭載したiPhoneを「正確な場所を見つける」ことができるようになる。
今までのざっくりとした位置情報ではなく、向きや距離を正確に検知するため、iPhoneの場所がわからなくなっても、迅速に見つけることができるだろう。
2000〜1ニトに対応したディスプレイ
ボディとしてはディスプレイが改善し、Series 8の2倍となる2000ニトの明るさを可能に。暗い場所では1ニトまで下げられるとのことで、より使いやすくなったと言えるだろう。
最大の目玉「ダブルタップ」ジェスチャー
こちらが一番の目玉かなと思うが、Apple Watchを装着している片腕だけで、新たなジェスチャーが可能となった。具体的には人差し指と親指を2回タップ(触れる)だけで、任意のアクションを起こすことができる。
例えば電話に出たり、離れたiPhoneのカメラシャッターを押したり、タイマーをつけたりなどなど、できることはかなり多い。仕組みとしては加速度センサー・ジャイロスコープ・光学式心拍センサーを用いており、新しいNeural Engineの機械学習により小さな動きを認識・処理できるようになったという。
どこまでカスタマイズができるかはまだ不明だが、アプリによってアクションを変えられるとしたらかなり便利な機能ではないだろうか。 Apple Watchが次の一歩を踏み出したと言えるだろう。
Apple Watch Series 9は、 9色のラインアップで59,800円〜(税込)、本日から注文可能で、9/22発売予定。
よりパワフルになったApple Watch Ultra 2
アスリート向けとも言えるUltraシリーズも、 新型SiP「S9」により進化。
より遠く、より高く、より深い場所まで対応できるようになったそうだ。
S9に連動する形となる性能の向上、超広帯域無線チップ、ダブルタップといった部分はSeries 9と共通なので割愛するとして、Ultra 2だからこその要素を紹介しよう。
Apple史上最も明るい3000ニトのディスプレイ
もはやどこまで正気なのかわからないが、なんと3000ニトもの明るいディスプレイを搭載。UIとしてもディスプレイのエッジに沿った高度・水深・経過秒数などをまとめた文字盤が追加された。
言わずもがな、優れたタフネス性
より様々な環境で使えるよう、-500m〜9000mという広域な高度で試験が行われているようだ。 バッテリー駆動時間としても、変わらず36時間(通常モード)〜72時間(低電力モード)をキープしている。
Apple Watch Ultra 2は、 9色のラインアップで128,800円〜(税込)、本日から注文可能で、9/22発売予定。
待ちに待ったUSB Type-C対応、iPhone 15 / 15 Plus
次にお待ちかね、ついに登場したType-CのiPhoneの時間だ。
充電コネクタがUSB Type-C(USB2.0)に
まずはなんといってもこれだろう。長らくApple独自規格であるLightningが使われていたiPhoneだが、ついにUSB Type-Cへ移行となった。(次回の16?でどうなるかはまだ不明だが)
これにより、MacBookやiPadPro、AirPodsなどと充電ケーブルを”やっと”共通化できる。面白い点として、逆にiPhoneからの給電にも対応しているようだ。公式情報としては「AirPodsやApple Watchが充電可能」としか明記されていないためそれほど大きなパワーが出るわけではないと思われるが、わかりやすいType-Cの恩恵と言えるだろう。
新たな5色展開、美しくなった背面ガラスのボディ
次にボディ周り。サイズ自体はiPhone 14と変わらず無印が6.1インチ、Plusが6.7インチとなる。 変わった点としては色合いだが、塗装などといった従来の方式ではなく素材自体に色を浸透させる新たな背面ガラスが採用されており、パステル系のような「ブラック・ブルー・グリーン・イエロー・ピンク」がラインアップに。いわゆる無印シリーズが初登場の段階から5色もあるのはなかなか珍しいのではないだろうか。実物を早く見たいところ。
また、iPhone 14から継続してDynamic Islandを採用。各ディベロッパーが続々と対応することで、より便利になるようだ。
ディスプレイ自体も進化しており、iPhone 14の2倍となる2000ニト、HDRのピーク時でも1600ニトの明るさを誇る。
48MPメインカメラ & 進化したポートレートモード
次にカメラ性能だ。Xでデュアルカメラになって以来、シリーズを重ねるごとに進化を重ねているiPhoneのカメラだが、iPhone 15でももちろん進化している。
まず、iPhone 14では12MPだったメインカメラが、48MPに大幅進化。ただただ向上しただけでなく、Photonic Engineにより実用的なサイズで24MPの写真が撮れるように。
また、ピクセル数が増えたことで、一部分である12MPを使った光学2倍望遠(クロップ)を可能に。もちろん、ビデオも。
さらに、Xより登場したポートレートモードが、さらに進化。
単純なボケ感等の精度があがっているのはもちろんのこと、機械学習により、人物や犬猫などを自動で判別し、通常の撮影でもポートレートを記録してくれる。撮影時にいちいち切り替える必要がなく、写真の状態からポートレートへ切り替えることができ、もちろん被写界深度なども変更可能だ。
ビデオ撮影のシネマティックモードが追加された時も思っていたが、標準機能でここまで出来るようになってしまうとは…末恐ろしい時代である。
iPhone 14 Proと同じA16 Bionicチップ搭載
最後に性能面だが、iPhone 14 Proと同じA16 Bionicチップが採用。新しいものではないので詳細は割愛するが、元々Proように作られたチップが搭載されているだけあり、先ほどの24MP写真やポートレートの処理や、グラフィックスの処理、優れたバッテリー効率を実現することが可能となった。また、従来の機能として備わっていた通話時の「声を分離」についてもチップのおかげで性能が向上しているようで、こちらも実機で試したいところの一つだろう。
ちなみに、Apple Watch Series 9で紹介した第2世代の超広帯域無線チップも搭載されており、先ほどのApple Watchだけでなく、iPhone15同士の現在地共有もよりスムーズに。人混みの待ち合わせで、目印を必要としない時代が近づいているのかもしれない。
(他にも衛生サービスを利用した緊急SOS機能があったりするが、残念ながら日本では未対応のため、割愛させていただく)
iPhone 15 / 15 Plusは、 5色のラインアップで124,800円〜 / 139,800円〜(税込)、9/15から注文可能で、9/22発売予定。
新機能が搭載されたiPhone 15 Pro / 15 Pro Max
最後に紹介するのは、もちろんあります。iPhone 15 Pro。
チタニウムで軽く、頑丈に
まずはデザインに関して。従来のステンレススチールから、火星探知機と同じレベルのチタニウムへ変更となった。素材自体の耐久性はもちろんのこと、Proシリーズでは最も軽くなり、さらにさらにiPhone史上最も細い外枠が可能になったことで、ディスプレイサイズを変えることなく、寸法を小さくすることに成功している。ちなみに、ディスプレイサイズは変わらずProが6.1インチ、Pro Maxが6.7インチだ。おまけ(と言っていいかわからないが)として、チタニウムを採用することで内部構造の改善も図られているようで、背面ガラスの交換が容易になっているらしい。これで落下させても安心(?)だ。
カラーは「ブラック・ホワイト・ブルー・ナチュラル」の4種類。
初代から継承されていた着信 / 消音スイッチが、カスタマイズ可能なアクションボタンに
歴史的一歩と言えるかもしれない変化として、着信 / 消音スイッチが、カスタマイズ可能なアクションボタンに変更となった。初代iPhoneから全てのシリーズで継承されていた1種のアイデンティティとも言えるスイッチが、様々な用途に割り振れるマルチな存在へと進化を遂げた形。デフォルトでは従来のスイッチと同じ機能とのことだが、複数のアクションを割り当てることが可能。ボイスメモで録音をしたり、カメラの起動、ライブスピーチなどなど、自作のショートカットだって割り当てることができる。ホームボタンがなくなった衝撃・・・とはまではいかないかもしれないが、長年iPhoneを使っている人にとっては大きな変化と言えるだろう。
新世代のAppleシリコン A17 Pro
性能としても新たに開発されたA17 Proチップが採用されている。 細かい話となってしまうが、ベースとなるトランジスタに大きな革新があり、業界では初となる、3ナノミリメートルのものが使われている。記憶が正しければ既存の最小サイズは4ナノミリメートルのはずなので、数字は小さいがかなりの進歩と言えるだろう。
それが190億個も使われており、目新しいところだとAV1デコーダーなども搭載されている。先行してSafariがAV1コーデックをサポートしていたため、ハードでも対応する形となった。
大きなところとしては主にGPU性能で、6コアのデザインはパフォーマンス20%向上を実現。シェーダーといった演算関連だけでなく、レイトレーシングにも対応したことにより、特にゲーム領域において優れた性能を発揮するようだ。元々はPC向けに配信されていた「バイオハザード ヴィレッジ」といったゲームが、続々とiPhone 15 Pro向けに公開するとのことで、モバイルゲームは新たなステージへ進むこととなりそうだ。
ProだってもちろんUSB Type-C(USB3.0)に
iPhone 15がUSB Type-Cに切り替わったのだから、もちろんProだって切り替わっている。こちらはiPhone 15のUSB2.0とは違い、USB3.0をサポート。付属のケーブルで最大20倍の転送速度を可能にしている(最大では10Gbps)。これにより、48MP ProRAWで撮影したデータをすぐにMacへ転送したり、外部ストレージに直接録画することが可能になった。なんと、ProRes 4K 60fpsも可能に。
どこまでいくのか、Pro Maxは120mm5倍光学ズーム
Proシリーズといえば、やはりカメラだろう。毎度のことながら、また進化したカメラが備わっている。
iPhone15より大きなセンサーを持つ、より進化した48MPメインカメラにより、48MP Pro RAW撮影・48MP HEIFでの撮影も可能となった。
焦点距離としても24-28-35mmと使いやすいレンジが用意されており、尚且つHDRのダイナミックレンジも凄まじい。逆光気味の状態でこの表現力である。
さて、ここでPro Maxに着目して欲しいのだが、iPhone史上最長の光学ズームである120mmの5倍光学ズームが搭載されている。もはや何を撮ればいいのか… スポーツなどにも向いているとのことなので、興味がある人はぜひ実機に触れてみることをおすすめする。
また、Pro Maxはマクロでの撮影も可能となっており、焦点距離13mm〜120mmの光学ズームと合わせると実に7種もの焦点距離を持つ。レンズ切り替え不要でこの選択肢、本当にいいのかと逆に不安になる。
6月に発表されたApple Vision Proと連動するところで言うと、Proでは空間ビデオの撮影が可能になっている。2つのレンズを使うことで、立体的な映像を撮ることができ、Apple Vision Proと合わせて使うことでさらに楽しみ方が増えるはずだ。
なんだかんだ楽しんでしまうApple Event
ここまで駆け足でお送りしたが、いかがだっただろうか。本記事で少しでも情報が拾えたなら幸いだ。
ボリュームの問題で触れなかったものの、地味にiCloud+に6TBプランと12TBプランが追加されたり(ProRes4K60fpsが撮れるなら確かにと思いつつ、ファミリー向けにも)、カーボンニュートラル関連の話でリンゴマークの葉っぱが緑になったりと、ネタに追記ないApple Event。
やはり新技術というのは見ているだけでも心躍るところがあるなと再認識させてくれるAppleは、もやはエンターテイメント企業なのかもしれない。
次は来年になるであろう機会を待ちつつ、今回発表された製品をストアに見に行ったり、検討して過ごしてはいかがだろうか。