窓の外ではけたたましく蝉が泣き叫び、一歩外に出れば肌を焼く日差しに滝のように流れ落ちる汗と、本格的な夏がやってきた。
実は筆者「好きな料理は?」と聞かれたらコンマ1秒のレベルで「牛丼!」と回答するレベルで牛丼が好きなのだが、これだけ暑いと心なしかあの丼もかすんで見える…
と言いつつも牛丼屋に吸い寄せられてしまうのが牛丼好き。 ヤバイTシャツ屋さんも「週10ですき家」と歌っていることだし、今回はすき家にしよう。
前回の記事では「この暑い時期に丼なんてもってのほか」みたいな事を書いてはいるが、それはソレ。全ては胃袋との相談次第である。 暑かろうが寒かろうが、食べたい時に食べたいものを食べるのが幸せなのだ。
すき家でタコライス…!?
さてそんなワケですき家にやってきたわけだが、筆者はそこで驚くべきものを目にした。
「メニュー:タコライス」
タコライス!?なぜここにお前が。私は牛丼屋に入ったはず… 話によれば沖縄の吉野家などではメニューに存在するという噂を聞いたことがあるが、ここは東京都内。断じて沖縄ではない。 いつの間に関東に上陸していたのか。
すき家のリリースで確認してみると、どうやら夏限定の商品らしい。 レタスのさっぱり感に心ひかれた筆者のお腹は、すっかりタコライスの気分になっていた。
牛あいがけタコライス大盛を実食
とはいえせっかくなので牛丼成分は残したい。そんなワガママを叶えてくれるのも、牛丼屋ならではな要素だろう。がっつり気分でもあった筆者は「牛あいがけタコライス大盛」をチョイス。注文から3分と経たないうちに着丼だ。
着丼して最初に目につくのは、同時に提供されるタバスコ。おおよそ牛丼屋で目にすることはない調味料だろう。ただ、モノがタコライスだとすれば話は別。
個人的にはタコライスなどの料理はしっかり辛くあってほしいが、たいていの場合は万人向けに調整する都合上ほぼ辛さゼロで提供されることが多い。「お好きにどうぞ」スタンスは非常にうれしい。
お言葉に甘えて調整しながらいただくとしよう。
丼の構成は「レタス」「タコミート」「チーズ」の一般的な形。思いのほかしっかりレタスが乗っている所が好感度高い。正直レタスにはあまり多くの栄養素は含まれていないのだが、なぜかしっかり野菜を食べた気になれるため、ちょっと罪悪感が減るのだ。牛丼食べに来て気にするのも”野暮”というものだが、気持ちよく食べれるというのも大事な要素だと思う。
また大部分を占めているチーズはおそらく「とろ~り3種のチーズ牛丼」とほぼ同じもの。一番上にかかっている溶けたチーズがないことから、2種のチーズだろうか?
タコミートはひき肉がベースで、ミートソースというよりはボロネーゼに近い”肉々しい”味に仕上がっている。一方でトマト感は薄いため、個人的にはサルサソースやケチャップなどを足したくなるが、その辺りは好みの範疇だろう。
チーズが加わることによってより濃厚な風味が強化されるため、単体で食べると少しこってり気味だが、ここでシャキシャキのレタスが効いてくる。 肉+チーズ+レタスの組み合わせはやはり最強。こってりに偏りかけた口内を、さっぱりとした瑞々しいレタスがリセットし飽きることなく口に運ぶことができる。
「永久機関が完成しちまったなアア~!!」
さてお忘れかもしれないが、筆者が注文したのは「牛あいがけ」。タコライスと牛皿(厳密には違うが便宜上牛皿と呼ばせてもらおう)のハーモニーについても言及したい。
もちろんタコライスの具をすべて食べ切った後、牛丼として食べるのもアリだが、それでは芸がない。一緒に盛られている以上、親和性についても確認しておく必要があるはずだ。
結論から言おう、非常に美味しい。
チーズやひき肉によって、脂質からくるこってり感が強かったところに、牛皿に含まれるしょうゆベースの風味や牛肉から溶け出した出汁、玉ねぎをベースとする僅かな甘みが加わることによって、圧倒的な味の奥行きが生まれるのだ。
とある家事番組によれば、”味の深み”とは五味「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」のうち3種以上が含まれると感じるという。牛皿が加わることにより「甘味」と「うま味」が明確に強化さるのだから、そりゃ奥行きの生まれようというモノ。
そしてここで更に付け加えたいのが、紅しょうがの存在だ。
先ほどの理論に準ずるのであれば紅ショウガがつかさどるのは「甘味」「酸味」「苦味」。
もうお分かりだろう。当然のように美味しい。
一見、メキシコ料理に端を発するタコライスと、牛皿の組み合わせには何のタクティカルアドバンテージもないように思えるが、それは早計というものだ。ぜひ一度食べてみてほしい。
すき家でタコライスをオーダーする理由はあるのか
すき家の限定メニュータコライスは、非常にクオリティの高いドノーマルな一皿であった。全くと言っていいほど奇をてらっておらず順当に美味しい。
しかしここで疑問になるのは「あえてすき家で注文する必要があるか」と言う所だろう。
ここに関して筆者なりの回答を出すのであれば「タコライスをファーストフードとして楽しめる」 という要素が大部分を占めるように思う。
体感として、都内における一般的なタコライスの価格帯は普通盛りで700~800円。ランチ営業をしている飲み屋か、メキシコ・沖縄系の料理店で食べる事になるため、提供速度もそこそこで待ち時間も含め最短でも30分程度は必要になるだろう。
その点すき家であれば、牛あいがけ大盛で810円(税込)。さらに着丼から完食まで約10分と非常にスピーディだ。これこそが早い、安い、旨いを叶える牛丼チェーンでタコライスを食べる理由になるのではないか。
夏場のスタミナ食であるタコライス、サクッとエネルギーをチャージして次へ行こう。