ROG Xbox Ally & Ally Xをレビュー。バッテリー持ちと性能アップを果たし、さらに遊びやすくなったハンドヘルドPC

先日発表されたASUS ROGの新型ハンドヘルドPC「ROG Xbox Ally」と「ROG Xbox Ally X」。コンシューマー機として歴史の長いXboxシリーズを手がけるマイクロソフトとの協業により、前身であるROG Allyから、さらに”ゲーム機”としての性能を高めた新モデルだ。なかでもSoC(System on a Chip)の変更&バッテリーの増強により獲得した、バッテリー持ちの良さと性能アップは大きなポイントで、本記事ではこの辺りに注目してレビューしていきたい。

また今回はASUS様のご厚意により、通常モデルである「ROG Xbox Ally」と、その上位モデルである「ROG Xbox Ally X」の両方をお借りすることができたので、2モデルまとめて紹介しよう。本製品は2025年10月16日に発売し、価格は89,800円から。

製品概要

ASUS

ROG Xbox Ally

RC73YA-Z2A16G512


製品名:ROG Xbox Ally
価格:89,800円(税込)
カラー:ホワイト
発売日:2025年10月16日
製品ページ:https://rog.asus.com/jp/gaming-handhelds/rog-ally/rog-xbox-ally-2025/

ASUS

ROG Xbox Ally X

RC73XA-Z2E24G1T


製品名:ROG Xbox Ally X
価格:139,800円(税込)
カラー:ブラック
発売日:2025年10月16日
製品ページ:https://rog.asus.com/jp/gaming-handhelds/rog-ally/rog-xbox-ally-x-2025/

※商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームよりメディア運営元のONESELに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報、または自動で更新されています。

目次

ディスプレイとXboxコントローラーが融合したかのような本体デザイン

性能について触れる前に、まずは前モデルから大きく変わったそのデザインから見てみよう。1番の変化はグリップ周りで、前モデルではPSPやSwitchのように直方体をベースとしたデザインだったのに対し、ROG Xbox Allyシリーズではディスプレイの両サイドにXboxのコントローラーを融合させたかのようなデザインだ。

ROG Xbox Ally
ROG Xbox Ally
ROG Ally
ROG Ally

決して前モデルが握りにくかったわけではないのだが、ROG Xbox Allyシリーズではより”コントローラーらしい”形状になったことでホールド感がさらにアップしており、よりアクションゲームなどがプレイしやすくなった印象だ。

ROG Xbox Ally_03

またROG Allyと比べた際には608gから670g(ROG Xbox Ally)と70g弱重くなっているものの、グリップ形状の変更によって、より手のひら全体で支える形に自然となるため体感重量としては軽く感じる。流石に上位モデルであるROG Xbox Ally X(715g)になるとある程度の重さは感じるものの、仰向けなどで長時間プレイしない限りはあまり気になることはないだろう。

加えてL1R1、およびL2R2といったトリガーボタンも大型化しており、こちらもより押しやすくなった印象だ。筆者自身は普段Xbox ワイヤレス コントローラーをPC用のゲームパッドとして使用しているのだが、そこと比べても押し心地は遜色なく、トリガーを多用するTPS系タイトルでも問題なくプレイできるはず

一方でグリップの分だけ少々厚みは増しており、初代Nintendo Switchと比べた際のサイズは下記の写真の通り。処理能力やバッテリーなどの差もあるため仕方がない部分ではあるものの、率直に「大きい(厚い)な」という印象だ。

ROG Xbox Ally XとNintendo Switchの比較
ROG Xbox Ally XとNintendo Switchの比較。
上からNintendo Switch2、Nintendo Switch、ROG Xbox Ally X
上からNintendo Switch2、Nintendo Switch、ROG Xbox Ally X

ちなみにROG Xbox AllyとROG Xbox Ally Xの間で外観上の差はなく、カラーリングの違いのみとなっている。ROG Ally / ROG Ally Xのカラーを踏襲しており、通常モデルがホワイト、上位モデル(Xつき)がブラックだ。

新設された「Xboxボタン」であらゆる機能にアクセス可能

ボタンやインタフェースなど、その多くを前モデルから踏襲しているROG Xbox Allyシリーズだが、唯一増えたボタンが「Xboxボタン」だ。

左スティック横に備えたXboxボタン

名前の通りXboxのロゴマークが特徴的なこのボタンからは、ROG Xbox Allyシリーズが持つほぼ全ての機能や設定項目にアクセスできるようになっており、よりわかりやすいUIになっている。

イメージとしてはWindows PCにおけるWindowsキーのような立ち位置で、電源周りの設定やデスクトップへの移動、インストール済みのゲーム一覧などを呼び出すことが可能。従来から存在する「コマンドセンター」や「Armoury Crate」と、Windowsの設定まわりがこのボタンに集約された形だ。

上記の4枚は製品発表会時に撮影

個人的に「うまいな」と思ったのがWindows標準機能の転用で、「Xboxボタン」を長押しした際に行えるアプリ切り替えは、Windows PCでWindows + tabキーを押した際のウィンドウ切り替えと全く同じ挙動。しかし「Xboxボタン」という専用ボタンを設けている点や常にアプリが全画面表示になっていることで、全く違和感なくUIに溶け込んでいる。

操作時には特に疑問を感じなかったのだが、改めて見ると完全にWindowsのウィンドウ切り替えの挙動である。

そのほかにも画面録画やスクリーンショットの見た目や動きが完全にSnipping toolだったり、各種アイコンやフォント、設定項目がよく見る順番だったりするなど、うまく入口や項目を制限しつつWindowsの持つ機能周りを使い回していることがよくわかる。従来のROG Allyシリーズにはあまりこうした印象は抱かなかったため、このあたりもマイクロソフトとの協業による効果だろう。

よりゲーム機らしくなったシステム周り

さてここまで読んだ方の中には、筆者が随所にWindowsを発見して喜んでいることに対し「いやいや元々Windows PCじゃん」と感じた方も居るかもしれない。確かにおっしゃるとおりROG Xbox AllyシリーズはWindows PCなのだが、一見するとゲーム機のように振る舞うのがこの製品なのだ。

まず初期設定が終わり、初回起動時に初めて表示されるが通常のデスクトップではない。なんと「Xboxを起動しています」から始まるのだ。

そして起動後に表示されるのは、テキストどおりXboxのライブラリ。Windowsらしい、というよりはPCらしい動きは鳴りをひそめ、あくまでもゲーム機然とした挙動になっているのである。

もちろん通常のデスクトップを表示させることも可能なのだが、それには一手間必要。
もちろん通常のデスクトップを表示させることも可能なのだが、それには一手間必要。

そして既にインストール済みのゲームがある場合は、XboxやSteam、EAなどゲームクライアントを問わずこちらに表示され、プレイヤーは希望のタイトルにカーソルを合わせてゲームを始めるだけ。加えてこの間マウスカーソルは一切登場せず、また基本的な操作や設定も全てコントローラーのボタンや画面タッチで完結するのだ。この動きに慣れてくるとだんだんと本製品がWindows PCであることを忘れてしまうのも無理はないだろう。

ゲームタイトルが複数インストールされた状態。写真は製品発表会にて撮影。
ゲームタイトルが複数インストールされた状態。写真は製品発表会にて撮影。

言葉遊びのようだが、感覚だけ表現するなら「ゲーム機の皮を被ったWindows」というよりも「Windowsを流用して作ったゲーム機」と言う方が近い。それくらいには作り込まれたUIなのだ。

ちなみにログオン時のPin入力もボタン操作で行えるようになっており、気分は「コマンド入力」。もちろん電源ボタンに指紋認証リーダーが搭載されているため、事前に登録しておけばそもそもこの画面自体もスキップできる。

おもわず「上上下下左右左右BA」あたりにしたくなってしまうが、Pinには予想しにくいものを設定しよう。
おもわず「上上下下左右左右BA」あたりにしたくなってしまうが、Pinには予想しにくいものを設定しよう。

AMD Ryzen AI Z2シリーズの搭載で、バッテリー持ち&処理能力が大幅アップ

デザインやシステム周りの紹介をしたところで、お次はいくつかゲームをプレイしての感触をお届けしていきたい。特に注目すべきは冒頭でも言及したように、SoCの変更がどこまで効いてくるかである。

バッテリーもちは飛躍的に向上

製品発表の際に筆者が特に気になっていたのは、ROG Xbox Allyシリーズが前モデルと比べ大きな省電力化に成功している点だ。特に標準モデルであるROG Xbox Allyに搭載されたSoC「AMD Ryzen Z2 A」の最大出力は20W、リミッターをかけることで最大6Wに制限することもできる。搭載されているバッテリーは60Whなので、計算上は10時間近く持たせることが可能になるはず…。

もちろんリミッターをかけることを考えると、その分性能も制限されるため、負荷が少ないゲームとして一般的なノベルゲームをチョイスしてみた。推奨スペックは下記の通り。

筆者がプレイしたノベルゲームの推奨スペック
プロセッサー:Intel Core i5 8400
メモリー:8 GB RAM
グラフィック:VRAM 6GB以上
DirectX:Version 11
ストレージ:4 GB の空き容量

簡単に読み解くと、この推奨スペックはおおよそ7-8年ほど前のミドルスペックに相当するライン。当時であればローエンドのグラフィックボードくらいはあった方が快適だったかもしれないが、現代であればROG Xbox Allyのようなハンドヘルド端末でも十分動作可能である。

まずは実際のゲームプレイをイメージして、バッテリーが満タンの状態から、30分プレイして3時間スリープモードで放置。その後30分プレイした後のバッテリー残量をみてもらおう。ROG Xbox Ally側の設定は1280 × 720 pxでパフォーマンスモードを使用。その結果、バッテリー残量は55%となった。

解像度設定1280 × 720 pxでパフォーマンスモードを使用。バッテリー残量100%から、30分プレイ+3時間スリープ+30分プレイした後のバッテリー残量。

ちなみにパフォーマンスモードはSoCの消費電力を最大15Wに制限するモードなのだが、その他ファンやストレージなどにも電力が回された結果、プレイ中の消費電力は概ね15W〜20Wで推移していた。これを元にプレイ中の消費電力を約17.5Wとした場合、ゲームプレイによって消費したのは約29%分で、残りの16%はスリープ中に消費した分ということになるだろう。

つまり連続プレイなら計算上、3時間20分程度でバッテリーが0になるということだ。以前、前モデルであるROG Allyでモンスターハンターライズをプレイした際には1時間20分程度でバッテリー切れとなっていたことを思えば、これは大健闘と言える。3Dのアクションゲームと2Dのノベルゲームでは直接の比較にはならないが、歴代のAllyにおいてネックの一つだった「プレイ時間」は飛躍的に伸びているのは間違いない。

ではここで、最大6Wに制限されるサイレントモードならどうだろうか…?興味にしたがって、そのままオペレーティングモードを変更してみた。

オペレーティングモードをサイレントに設定すると、SoCの最大消費電力が6Wに制限される。

今回は先ほどのバッテリー残量55%から、モードのみ変更し連続して1時間プレイ。その後に残ったバッテリーはなんと34%だった。なんと1時間のプレイで21%しか消費していなかったのである。

解像度設定1280 × 720 pxでサイレントモードを使用。バッテリー残量55%から、1時間連続プレイした後のバッテリー残量。
解像度設定1280 × 720 pxでサイレントモードを使用。バッテリー残量55%から、1時間連続プレイした後のバッテリー残量。

つまり計算上はサイレントモードなら5時間弱バッテリーが持つということ。もちろんリミッターをかけているため性能は落ちることになるが、ノベルゲームのように負荷の低いジャンルであればサイレントモードでも全く問題はなく、プレイ中に引っ掛かりは感じられなかった。

また今回プレイしたタイトルが、平均プレイ時間4時間ほどの短い作品だったこともあり、なんとそのまま充電することなくエンディングまで走り切ることができた。バッテリー残量も20%弱と余力を残しており、サイレントモードがこうしたノベルゲームと非常に相性がいいことが伺える。

余談だがPSPやSwitchはこうしたノベルゲームやADV(アドベンチャーゲーム)とも相性が良く、数多くのタイトルが販売された過去がある。さらにROG Xbox AllyはWindowsが動くため、SteamやXboxなどのプラットフォームで配信されていないPC向けタイトルも遊ぶことが可能だ。ここまで書けば、察しのいい紳士諸君であれば”どんなゲームに適している”か察していただけるはずだ。

SoCの性能アップで、パフォーマンスモードでも前モデル相当の性能に

続いて簡単ではあるが、性能面の上昇についてもみてみよう。まずは手っ取り早く負荷をかけるため、ベンチマークを回してみた。

今回使用したのは、現状定番とも言えるベンチマークツール「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」で、その結果は下記。画像内にも記載されているが、解像度は1280 × 720 pxで画質設定「低」を使用している。ROG Xbox Allyシリーズ側の設定はパフォーマンスモードを使用した以外、FSRなど性能に影響しそうな設定はOFFの状態での結果だ。

ROG XBox Allyの結果。フレーム生成有でスコア6674
ROG XBox Allyの結果。フレーム生成有でスコア6674
ROG XBox Ally Xの結果。フレーム生成有でスコア9917
ROG XBox Ally Xの結果。フレーム生成有でスコア9917

スコアをそのまま過信するのは禁物だが、両者をパフォーマンスモードで比べた際のスコア差は概ね1.5倍程度の差となった。今回はフレーム生成をONにしているためフレームレートとしては半分の数値となる。

ちなみに、以前にROG XBox Ally Xの前モデルにあたるROG Ally Xでベンチマークを実行した際には、解像度は1600 × 900 pxで画質設定「低」+Turboモードのときスコア9238だった。若干条件は異なるものの、Turboと比べ出力の低いパフォーマンスでほぼ同等の数値を出していると言って良いだろう。発表会の際に言及されていた「バッテリー駆動でも前モデルと同等の数値が出る」という話は概ね間違いないようだ。

以前ROG Ally Xで同じベンチマークを実施した際の結果。
以前ROG Ally Xで同じベンチマークを実施した際の結果。

ただし、ROG XBox Ally Xならモンスターハンターワイルズが遊べるかと言われれば、それは少々難しい。ベンチマーク結果はあくまでも平均を元に算出されるため、タイミングによってはフレーム生成込みでも40FPS程度まで落ち込む瞬間もあり、快適というのは少々憚られるのだ。

実際にゲーム本編をプレイした感触としても、採取などがメインであれば問題ないが、ガッツリ狩りをするとなれば少々厳しい印象だった。とはいえワイルズは現状のPCゲームの中でもかなり重い部類にはいるため、例えばある程度長く続いているオンラインタイトルや他プラットフォームからの移植タイトルであれば、かなりの確率で問題なく遊ぶことができるだろう。

ROG Xbox Ally & Ally Xはコスパのホワイト、性能のブラックと悩ましいラインアップ

総合すると、ROG Xbox Allyシリーズは前モデルであるROG Allyシリーズから完成度を高めた順当なアップグレードモデルだ。よりゲーム機然としたUI、操作しやすい本体デザインを備え、より長時間のプレイも可能になった他、性能アップによって遊べるゲームタイトルも増えた。ハンドヘルドPCというジャンルが登場した当初から魅力を感じていた方にとっては、間違いなく完成系の一つと言ってもいいはずだ。

その点、少々悩ましいのがどちらを選ぶのかで、重量や価格で考えるとROG Xbox Ally(ホワイト)に魅力を感じる一方、遊べるゲームの幅などを考えるとROG Xbox Ally X(ブラック)も捨てがたい。両者の価格差は5万円ほどあるため、購入を検討している方は、ある程度用途を決めてから選ぶのがおすすめだ。

コスパのホワイト、性能のブラック。あなたならどちらを選ぶだろうか。

ギャラリー

ASUS

ROG Xbox Ally

RC73YA-Z2A16G512


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