2月も終わりに差し掛かり、今年もこのイベントの季節がやってきた。「カメラと写真映像のワールドプレミアショー CP+」である。
CP+とは、毎年この時期に開催されている国内最大規模のカメラの祭典であり、国内外問わず多くの関連企業が新製品やサービスの発表を行う場としても知られている。しかしながら近年ではコロナ禍の影響もありオンライン開催になることが多く、実際に製品などに触れることのできる会場イベントについては見送られてきた。
そんなCP+の会場イベントだが、この度4年ぶりに実施されるということで、「映像×記事を掲げている我々onesuite編集部としては見逃すわけにはいかない!」ということもあり開催初日から現地に赴き、編集部独自の視点で選りすぐりのアイテムをピックアップしてきたのでご覧いただければと思う。
まずは前半ということで、カメラ本体を製造している各メーカーのブースと製品について紹介していこう。
SONYブース
特別エリアにてプロのフォトグラファーやビデオグラファーによる特別講座や、モデルを被写体とした実機の試し撮りを行えるブースだ。実機の種類は最近発売された「デジタル一眼カメラ α7R V」や「デジタル一眼カメラ α7 IV」をはじめとするカメラやレンズを試すことができる。
もちろん注目するのはカメラ2種類だ。
・デジタル一眼カメラ α7R V
人物の骨格などの詳細な情報をもとにした、AI処理を搭載したことによる高精度な被写体認識が可能となったα7Rシリーズの第5世代だ。被写体認識AFの進化はめざましく、ダンス中の人物を瞬時に捉えて合焦していた。また横顔などでも問題なく、ダンスやスポーツ、子供といった動きの激しい被写体で効果を発揮するはずだ。
・デジタル一眼カメラ α7 IV
約3300万画素数を誇るフルサイズ機だ。今までの世代に比べ画質の大きな進化を遂げている。また「α1」や「α7sⅢ」で採用された画像処理エンジンを搭載しており、共通する機能も多い。またSやRではない無印のα7シリーズで、初めてのバリアングル液晶採用モデルとなっており動画ユーザーにとっても使いやすい1台だ。
モデルの方々を被写体として撮影可能なブースが常設されており、定期的にダンスを披露するシーンがあるので、その際にはぜひ進化を続けるαシリーズのAF性能を試してみて欲しい。
Nikonブース
モデルを被写体として、三脚に設置されたカメラ実機にて試写会を行っているコーナーがある他、「Z fc」の専用コーナーが設けられており、全プレミアムエクステリアカラーが展示されている。また発売前の「Z fc ブラック」の展示や、「LOVOT(ラボット)」を被写体とした撮影体験、人気フォトグラファー等による特別セッションも行われているため、学ぶことは多いだろう。
注目は2種類のレンズだ。
・NIKKOR Z 26mm f/2.8
俗にいうパンケーキレンズでありながら解放 F2.8と明るいレンズとなっており、ボケ感を柔らかく表現することができるため、風景などの空間表現に適したフルサイズ用広角単焦点レンズだ。 サイズ感もあいまって街角でのスナップや旅行先などに持ち出して手軽にクリエイティブな表現を楽しめる。
こちらは3月3日に発売を予定しており、現在予約受付中の製品だ。
・NIKKOR Z 85mm f/1.2
ポートレートの定番焦点距離となる85mmのレンズで、開放F1.2の明るさにより滑らかでとろけるようなボケ味と合焦部の高い描写力によって臨場感ある絵作りを可能としている。
こちらも発売前のレンズ展示となっており、3月24日に発売を予定している。同じく現在予約を受付中の製品だ。
また、Nikonでは「Z fc」のボディカラーを期間限定で張り替えることができるキャンペーンを今後実施予定とのこと。ブースではカラーの種類や組み合わせを目で見て確認することができるため、興味がある方はこの機会にお気に入りのカラーを探してみても面白いだろう。
FUJIFILMブース
直近で発売されたX-H2S/H2Sをはじめ、モデルの方を被写体に実際に撮影を楽しめる。注目すべきは点としては、FUJIFILMのブースではinstaxやチェキなどインスタントカメラのコーナーが半分程度を占めており、根強い人気を感じさせる他、人気ゲームとのコラボモデルも展示されるなど独自の地位を築いてるのが見て取れる。他にもWALLDECORなどのフォトグッズやフォトブックのようなプリント商品も紹介しているのもFUJIFILMならではだ。
今回注目するのは以下2点である。
・instax
スマホの写真をチェキプリントする「instax Linkシリーズ」やハイブリッドインスタントカメラ「instax mini Evo」などを試すことができるコーナーが作成されている。スプラトゥーンとのコラボ商品の展示やチェキプリントの汎用性の紹介が行われている。
・ FUJIFILM X-H2s
昨年夏に発売されたXシリーズのフラッグシップモデルだ。高解像度にウェイトをおいたX-H2と異なり秒間40コマの高速連写や4K120pでの動画撮影など動体撮影に重きを置いた製品となっている。
余談ではあるが、撮影可能エリアは常に賑わっており筆者が訪れた際には30分待ちの状態だった。初日ながらもその盛況ぶりが伺える。
Canonブース
発売前の新製品である「EOS R8」や「EOS R50」をはじめとする複数種類のカメラを試すことができる。それだけでなく、自身で撮影した写真をプリンターで印刷できるエリアやVR体験など、来場者への体験をメインにしたブースとなっている。ブースにはBMX用の巨大スロープが目を引いており、もちろんそのパフォーマンスの様子を実機を使用して撮影することができる。他にもくじ引き抽選会や、これから発売される予定のカメラそれぞれ1台が当たるキャンペーンもあるので要チェックだ。初日は祝日だったことも手伝ってか昼過ぎには整理券配布が終了してしまっていたため、訪れる際にはなるべる最初に向かうことをおすすめしたい。
Canonブースでの注目商品は以下2点である。
・EOS R8
センサーサイズがフルサイズのカメラとなり、最高約40コマ/秒連続で撮影が可能だ。オートフォーカスの精度も向上し、動き続ける被写体の撮影も十分に対応してくれる優れものだ。また、これだけ十分な機能を備えながら、本体約461gとかなりの軽さを誇る。
・EOS R50
センサーサイズがAPS-Cとなる。「EOS R8」同様、本体約376gとかなり軽い。また、自身の思い描いている画を撮影する際にアシストできる機能も搭載されている。初めてカメラを持つ人にとってオススメできる一台だ。
OMデジタルソリューションズブース
カメラや機能についての展示が中心とされておりフィールドワークにつよいOM SYSTEMらしく自然をイメージさせるブースとなっている。一画にはカメラ本体やボディを試用できるカウンターがあり、スタッフに声をかけ希望するレンズを伝えることで実際に試すことが可能だ。
注目は以下2点である。
・ M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO|交換レンズ
超高倍率の撮影を可能とするレンズで、数値は4倍の倍率を誇る。最大7段5軸のシンクロ手ぶれ補正により安定した撮影が可能だ。また、高級感のある質感に反しレンズ自体は相当軽く感じられ、フルサイズ換算180mmの望遠レンズとしても一役買ってくれるだろう。 被写体として設置されていたアゲハ蝶を撮影した際には、その鮮やかな色彩とスエードのような質感をしっかりと映し出してくれた。
・星空オートフォーカス機能
OM SYSTEM製品の得意とする機能として、カメラ本体内で撮影中に比較明合成が可能なライブコンポジット機能や、通常MFで調整が必要な星空をAFで捉えることのできる星空AFなども紹介されている。登山家などにも愛好者の多いOM-Dにおいて非常に相性のいい機能と言えるだろう。
LUMIXブース
MFTセンサーのフラッグシップモデルであるGH6や、LUMIXとして初の像面位相差AFに対応したS5IIなどの試写が可能だ。また事前予約が必須ではあるが「フルサイズ一眼カメラ S5Ⅱ」限定フォトウォークやモデル撮影のイベントに参加することができるほか、ショールームであるLUMIX BASE TOKYOで使用可能な、特別価格でのレンタル優待ケットなども配布している。気になる方はこの機会にもらっておくと良いだろう。
その中で注目するのはカメラ2種類だ。
・LUMIX S5Ⅱ
販売開始となったばかりのS5IIが複数用意され自由に触ることが可能なほか、運が良ければレンズ設計を担当した社員の方に話を聞くことができる。 最大の変更点となる像面位相差AFの精度は良好で、動体にもキッチリ追従するため動画ユーザーにとっても十分利用可能だろう。
・LUMIX S5ⅡX
参考展示としてS5II の動画機能を強化した上位モデルとなるS5II Xのモックアップが用意されていた。撮影時の映り込み対策としてLUMIXとしては初の黒色をロゴ部に採用しているほか、熱対策で搭載されたFANの吸排気口の位置など、非動体モデルながらもそのデザインの違いがみてとれる。
CP+といえばカメラの祭典だが、主役はカメラだけでは無い。カメラにとって無くてはならない存在でもあるレンズやアクセサリーなどを提供しているメーカーも数多く出店してるのを忘れるわけには行かない。
前編にあたる本記事では主にカメラをメインに取り上げたが、後編ではそうしたレンズやアクセサリー、周辺機器を中心に見ていこう。
後編はこちら